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THE WORLD  作者: SEASONS
4月17日
815/1200

第3の拠点

《サイド:朱鷺田秀明》



「それではまず私から報告させていただいてもよろしいでしょうか?」



今回も私から率先して話し始めようと思います。



…と言うよりも。



話すべきことが何もありませんからね。


報告は一瞬で終わってしまうのです。



「北側に関してはこれと言った情報がありませんでした。幾つかの詰め所はありましたが、規模が小さいために調べるほどの価値はないかと思われます。」



報告という報告は特にありません。



強いて言うなら調べる必要がないというのが報告でしょうか?



何もないと告げた私に続いて、

今度は栗原さんが報告を始めました。



「南側も特に気になる場所は見つかりませんでした。強いて言うならここを見つけたくらいでしょうか。」



栗原さんの言葉に頷く琴平さん。



私達の報告を聞いた三倉さんが、

満面の笑みを浮かべながら立ち上がりました。



「それじゃあ、次は私の出番ね! 」



何か報告があるのでしょうか?



三倉さんは自慢気に語りだしました。



「西側には気になる場所があったわ!」



…ほう。



自信を持つ三倉さんに全員の視線が集中します。



「王都の西側には何故か軍隊が守りを固めてる研究所があったのよ。あまり近付く余裕がなかったから何の研究所かまでは分からないけれど『龍脈りゅうみゃく研究所けんきゅうじょ』って書いてあったわ。」



…龍脈研究所?



名前だけでは何の研究所なのか分かりませんね。



「…ふむ。龍脈ですか?」



呟いたのが気になったのでしょうか?



「何か知ってるの?」



三倉さんが問い掛けてきました。



「あ、いえ…。そうではなくて5年前にはそのような研究所はなかったと思っただけです。」



あやふやな記憶ですが、

聞き覚えはありません。



…いえ。



もしもそういった珍しい名前があれば忘れはしないでしょう。



だからこそ。



以前の潜入ではそのような名前は出てこなかったはずです。



「以前とは調査対象が違うとはいえ、ある程度の研究機関や軍事施設に関しては名前くらいなら聞いた覚えがあります。ですが、そのような名前は初めて耳にします。」


「…だとすれば、ここ数年の間に建てられた研究所ということでしょうか?」



私の発言によって栗原さんが疑問を口にしました。



ですが、私には答えられません。


アストリアの内情なんて何も知りませんからね。



「見た目は綺麗だったけど、行ったのは夜だから私もそこまでは分からないわ。」



三倉さんもはっきりとは確認できていないようです。



…ですが。



少し気になりますね。



それでもひとまず三倉さんが報告を終えたことで、

最後に天城さんが話し始めました。



「東側は軍隊の駐屯地があったが範囲が広すぎて内部までは調査出来なかった。とは言え、もう少し調べてみる価値はあるだろう。兵器があるかないかはともかく、軍の動きは調べておいて損はないはずだからな。」



ええ、そうですね。



一理あると思います。



ですが、そうなると。


この時点で調べるべき調査対象は2箇所ということでしょうか?



天城さんもこれまでの報告を考慮して今後の計画を立てました。



「もう一度、分散して調査を進めよう。調べるべき場所は3箇所だ。」



…ん?



「あれ?3箇所ですか?」


「ああ。」



私と同様の疑問を感じた栗原さんに、

天城さんは説明を続けました。



「俺は『駐屯地』の調査を続ける。その間に朱鷺田と三倉には『研究所』の調査を任せる。最後に徹と愛里には『王城』を任せたい。」



「「「「…っ!?」」」」



天城さんの指摘によって、

私達はまだ調べていない場所があることに気付きました。



もっとも危険で、

もっとも可能性の高い場所。



王城の存在を忘れていたのです。



王都の中心にあり。


その存在を誇示するかのようなこの国の象徴。



秘密兵器の在りかという意味では最も確率の高い場所です。



天城さんの示した第3の拠点に気付いたことで、

私達は密かに冷や汗を流しました。



内部への侵入はもちろん。


接近すら困難な危険地帯だからです。



それほどの場所に向かうとなると、

不安を感じるのは当然のことですし。


失敗すれば全員の死に直結する事態になってしまいます。



その可能性に不安を感じて戸惑う栗原さんの表情に気付いたのでしょうか?



「心配する必要はない。」



天城さんが栗原さんに話しかけました。



「先に言っておくが王城の内部まで潜入する必要はない。王城に関しては遠くから観察するだけで十分だ。どの程度の軍が動いて、どこに警備が集中しているのか?そういった簡単な情報さえ集められればそれでいい。」


「それだけで良いんですか?」


「ああ。あくまでも予想でしかないが、俺達が探しているものは王城には『ない』はずだからな。」


「え…?そうなんですか?」


「町を壊滅させる程の威力がある兵器を城に置けば、何かがあった時に自分達の命が危険にさらされることになるからな。それだけの危険を侵してまで兵器を保有しようとは思わないだろう?」



ああ、確かにそうですね。



天城さんの予想を聞いて、

私達は何となく理解しました。



その指摘は当然の判断だからです。



もしも天城さんの予想通りなら王城を調べる必要はありません。



「…ではなぜ王城を?」



問い掛ける栗原さんに天城さんは答え続けます。



「軍の動きが知りたい。いつ戦争が始まるのか?そして共和国軍がどうしているのか?その情報は王城に集まるはずだ。」



…なるほど。



王城に接近する目的は情報収集ですか。



天城さんの目的を聞いた栗原さんもようやく納得したよう様子ですね。



確かに調べるべき情報は兵器だけではありません。



軍の動きと戦争の行方も調べる必要があります。



「分かりました!!僕達は王城へ向かいます。」



栗原さんに続いて琴平さんも天城さんの指示を受け入れました。



「出来る限り頑張ります!」



気合いを入れる二人。



そんな二人に、

今度は三倉さんが話しかけました。



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