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THE WORLD  作者: SEASONS
4月17日
800/1212

森林戦

《サイド:雨宮奈津》



…くっ!!



敵の数が多すぎるわっ!!



「総員!迎撃準備!!!」



全力で叫ぶ私の声が樹海の中で響き渡る。



…と言っても。



すでに乱戦状態だから怒号が広がりすぎて上手く指示が伝わりきらないと思うけどね。



それでも前衛部隊が戦闘準備に入ったことで後続の部隊も即座に援護を始めてくれたわ。



その結果として一斉に詠唱を始めることはできたようね。



まずは先制の一撃。


迫り来るアストリア軍に向けて数千の魔術を発動させることに成功したわ。



もちろん今回は撤退が最優先だから無理に交戦するつもりはないわよ。



全方位へと放たれる爆炎によって急速に燃え上がる樹海。



これでアストリア軍の接近を阻めるはず。



牽制として拡散する雷がアストリア軍の接近を阻み。


飛び交う風の刃が次々と敵の命を奪っていく。



無数の魔術が放たれることで、

アストリア軍は一気に恐慌状態に陥っていたわ。



…さすがにね。



4000もの魔術なのよ?



樹海の中での木々の遮りによって全ての魔術が直撃したわけではないとしても、

多くの魔術がアストリア軍に被害を与えることに成功していたはずなのよ。



「あ、熱い…。体が…焼ける…!?」


「痛い…痛いよう…。」


「体が…足が…動かない…!?」


「うあああああっ!?腕がっ!?腕がぁぁぁぁっ!!!!!」



泣き叫ぶ兵士がいるし。


痛みを堪えて走り続ける兵士もいるし。


影響を逃れて突撃を続ける兵士もいるわ。



それらの様子を眺めながら、

再び部隊に指示を出す。



「全軍後退!一旦距離をとるわよ!!」



敵の足止めに成功したんだから、

無理に迎撃する必要はないわ。


再び敵が接近してくるまでに移動距離を稼ぐべきなのよ。



「撤退を急いで!!」



とにかく撤退が最優先。



私が預かってる部隊は決して軍隊ではないけれど。


それでも指示通りに動いてくれる魔術師達は実に優秀ね。



さすがに魔術師ギルドの精鋭というだけあって状況の判断能力は一級品だと思うわ。



そのおかげ…というべきかどうかは分からないけれど。


本来なら大きな被害を出しかねない撤退戦でも特に混乱に陥ることなく水路からの離脱に成功しつつあるみたい。



木村副隊長に預けた部隊がどうなったのかまでは確認する余裕がないけれど。


ひとまず私の率いる部隊はアストリア軍への迎撃を何度も繰り返すことで南門に接近しつつあったわ。



攻撃しては後退。


また攻撃しては後退する。


その繰り返しよ。



その地道な努力によって、

私の部隊は樹海を抜けることに成功したの。



「森が途切れたわ!」



ここまできたらもう敵の追撃を恐る必要なんてないわ。



森さえ抜けてしまえば範囲攻撃ができるからよ。



見通しの良い場所でなら味方に被弾する可能性が低くなるから、

ここからは全力で戦えるわね。



「全軍前進!!南門まで全力で駆け抜けるわよ!!!」



私を先頭として駆け出す共和国軍。



殲滅戦を行っている悠護隊長の部隊はすぐそこに見えているわ。



「あと少しよ!!悠護隊長の部隊と合流するわよ!!!」



南門に向かって一気に走り抜ける。



背後からの追撃を恐れながら走り続けたんだけど。


何故か私の部隊の背後にアストリア軍はいないみたい。



今は逃げることに必死だったから、

後方を確認している余裕がないせいでその理由には気付かなかったわ。



とにかく前方に見える悠護隊長の部隊に合流するだけで精一杯だったのよ。



「もう少しっ!」



目の前にいる悠護隊長の部隊。


そこには水門で別れたはずの別働隊がすでに合流しているように見えるわね。



…と言うことは?



木村副隊長に預けた部隊は無事に樹海を抜けていたということよ。



「悠護隊長っ!!!!!」



大声で呼びかける私の声が届いたのか、

悠護隊長が私達の部隊に気付いてくれたわ。



「雨宮までっ!?何故ここに!?」



戸惑う悠護隊長に駆け寄って、

息を整えながら状況の説明を急ぐ。



「申し訳ありません!西門の部隊は壊滅致しました!」


「なっ!なんだとっ!?」


「岸本司令官は戦死。西門からは追っ手の敵軍が迫っています!」


「くっ!!」



私の報告によって、

悠護隊長が西側へと視線を向けたわ。



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