ギリギリの戦い
《サイド:近藤悠理》
「…ごめんね、悠理ちゃん…。」
一度だけ謝ってから、
優奈は突然倒れてしまったのよ。
「…ちょっ!?優奈!!」
慌てて抱きしめたけれど。
優奈はもう自分の力では立っていられないみたい。
「優奈っ!ねえ、優奈っ!?」
意識を失いそうな優奈に必死に呼びかけてみる。
だけど優奈は何も答えてくれない。
目を閉じてしまって、
体の力も抜けきってたのよ。
「しっかりしてよ!ねえ、優奈っ!!」
「落ち着いて、悠理ちゃん!」
何とか優奈に意識を取り戻させようとして叫んでいると翔子先輩が駆けつけてくれたわ。
そして指示を出してくれたのよ。
「何でも良いから、優奈ちゃんに魔術を使って!きっとそれで魔力が戻るはずだから!!」
…え?
…魔術を?
…あっ!
…そうか!
「はいっ!!」
翔子先輩の指示の意味に気づいた私は、
抱きしめている優奈に向けて魔術を放つことにしたわ。
「ファイアー・ボール!ファイアー・ボール!ファイアー・ボール!ファイアー・ボール!!!」
ひたすら攻撃魔術だけどね。
それでも私に使える最強の魔術はこれだから仕方ないわよね?
次々と炎が生まれては、
優奈の体に吸収されていったわ。
その繰り返しで優奈の魔力はちょっぴりだけど戻ったみたい。
「…う、ん…。」
…はぁ。
…良かった~。
私の魔術が間に合ったみたいね。
微かに魔力が回復した優奈が意識を取り戻してくれたのよ。
「みゃ~♪」
優奈の足元で鳴き声を上げるミルクの存在も安定してる。
とりあえず戦場で倒れるっていう最悪の状況は回避できたみたいね。
「ありがとう…悠理ちゃん。」
「ううん。たいしたことはしてないからお礼なんていらない…って言うか、私の魔力じゃ全然足りないでしょ?大丈夫なの?」
「…う、うん。今は何とか…。でも、もう…」
優奈は申し訳なさそうに翔子先輩に視線を向けてた。
「すみません…。もう供給は無理だと思います…。」
「それはまあ、仕方がないわね。みんな似たような状況だし、ここまで耐え切れただけで十分よ。とりあえず今は後退してゆっくり体を休めておいて。」
「…はい。すみません…。」
翔子先輩に謝った優奈は私と一緒に後方へと下がったわ。
だけど翔子先輩は前線に残るみたい。
「あとは残った魔力でどこまで出来るか…だけどね~?」
翔子先輩に残された魔力はすでにメテオストライクどころかアルテマさえ発動出来ないほど減少してるはずなのよ。
それでも私より多いんだけど。
戦力になるかどうかは微妙かも?
「ちょっぴりまずいわね〜…。」
呟いた翔子の視線の先にはまだまだ数千のアストリア軍がいるのが見える。
力尽きるのが先か?
それとも敵が全滅するのが先か?
ギリギリの戦いだと思うわ。
「さすがにちょっともう無理かも…?」
「…それでもね。今は勝利を信じるしかないのよ!」
翔子先輩の悩みに答えたのは、
後方に待機していた米倉理事長だったわ。




