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THE WORLD  作者: SEASONS
4月4日
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待機

試合を終えて受付に戻り、

生徒手帳の更新を終えたところで北条が話しかけてきた。



「さて、と。ここからが問題だがどうする?」



…そうだな。



これからどうするべきだろうか?


北条の質問は単純だが、

ただ単に俺の予定を聞いているわけではない。


そうではなく、もっと考えるべき問題があるからだ。



…これから、か。



試合を終えたことで俺の成績が上がった。


それ自体は喜ぶべきことだが、

現状、俺を上回る生徒がいないということでもある。



唯一、格上の成績を持つ北条がいるとはいえ、

今はまだ戦うつもりがない。



絶対に勝てないとは言わないが、

自信をもって勝てるとも言えない相手だ。


おそらく勝率は1割以下。


そんなあいまいな見通しで戦うべきではないだろう。



…ギリギリでも何でも勝てればいいが。



もしも敗北してしまった場合、

これまで蓄積してきた魔力を失うだけではなく、

再び魔力を集めるのにそれ相応の時間を取られてしまうことになる。



一か八かの賭けで戦うような相手ではないからな。



魔力の無駄は出来ない、となれば現時点で出来る事は限られている。


北条以外の生徒が訪れるのを待つしかないということだ。



「しばらく様子を見る。2時間ほど待っても無駄なら、その後のことはそれから考える。」



ひとまず行動は保留と判断してから休憩所に腰を下ろすと、

何故かすぐ隣に北条も座りだした。



「まあ、なんだ。ここまできちまったからな。もう少しだけつきあってやるよ」



お互いにこれ以上関わる意味はないのだが、

それでも北条はそれが当たり前のようにごく自然に隣に居座り続けている。



結局、立ち去るという選択肢はないらしい。



いまさら文句を言うつもりもないので好きにすればいいとは思うものの。


ただ傍にいるだけの北条は自分から話しかけてくることがあまりない。


その点だけは余計な気を使わなくて済むのはありがたい。



翔子なら時間のある限り話し続けてくるだろうからな。



そんな日常がすでにないことも改めて認識しつつ、

ただじっと過ぎ去る時間を待ち続けることにした。



その間。


時折、会場を訪れる生徒もいたのだが。


北条は何も言わなかった。



おそらく格下の生徒だったのだろう。



一々確認するのも面倒なので、

特に動かずに大人しく待ち続けることにした。



…たまには何もしないというのもいいだろう。



焦って行動しても意味はない。


それよりも空いた時間は体を休めておいたほうが効率がいい。



次の試合は今まで以上の激戦になると期待しながらただただ待ち続けていると。


試合場から5人の生徒達を医務室に運ぶ救急班が走り去って行く姿が見えた。



「まあ、あれだな。見た目はともかく、かなりの重傷だな」



運ばれていく生徒達を眺めていた北条が呟く。


おそらく、桃花の心配をしているのだろう。



そしてもう一人。



ここにはいない少女のことも考えているはずだ。



…聞いてみるか。



今は特にすることもないからな。


少しだけ北条に尋ねてみることにした。



「心配なのか?」



短い質問だったが、

今運ばれていった生徒達の事ではない。


今朝、医務室に運ばれた翔子のことだ。



「まあ、気になるが、心配してどうこうなるもんじゃねえしな。」



「…そうか。」



どこか遠くを見ながら真剣な眼差しで答える北条の横顔を見て、

聞くべきではなかったと思ってしまった。



後悔というほどではないが、

余計な質問をしてしまったとは思うからだ。


翔子が倒れたことに関して謝る必要はないが、

下手な言い訳もしない方がいいと思う。



北条も無理に追求する気はないらしく、

こちらが何も言わないことで話を続ける様子はなかった。



…今は話しかけないほうが良いな。



短い会話を終えた後。


しばらくの間は言葉を交わす事もないまま、

他の生徒達が来るのをじっと待ち続けることになった。



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