砦からの離脱
《サイド:栗原徹》
水路を脱出したことで広がる視界。
薄暗い水路を脱出した僕達は、
急いで樹海へと逃げ込みました。
まだまだ巡回の兵士達は周辺にいるはずですが、
運良く警備の目を逃れた僕達は樹海の中を駆け抜けて砦からの離脱を成功させました。
ですが…まだ終わってはいません。
安全を確保するまで油断は出来ないからです。
巡回の兵士達が水路の異変に気付くまでにどれだけの距離が稼げるでしょうか?
それが僕達にとって最も重要な課題となります。
「急いでマールグリナへ撤退しましょう。」
「…いや。」
撤退を提案する朱鷺田さんでしたが、
何故か天城さんは却下してしまいました。
「このままアストリア王都へ向かう。」
「「「「え…っ!?」」」」
予想外の天城さんの発言によって、
朱鷺田さんだけではなくて、
三倉さんも、僕も、愛里ちゃんも驚いてしまいました。
「マールグリナに戻らないのですか!?」
「ああ、そうだ。」
僕も訊ねてみると、
天城さんは力強く頷きました。
「マールグリナに戻っている暇はない。どうしても帰りたければ強制はしないが、少なくとも俺はこのまま王都へ向かうつもりだ。」
「何か理由があるのですね?」
朱鷺田さんの問い掛けにも、
天城さんは頷いて答えます。
「ああ、早急に調べなければならない理由がある。」
「…分かりました。」
天城さんの判断を確認したことで、
朱鷺田さんは気持ちを切り替えたようですね。
「理由はあとで聞くとして、今は離脱を優先しましょう。」
…ええ、そうですね。
向かうべき場所の議論を後回しにした僕達は、
朱鷺田さんの意見に賛同してから離脱を急ぐことにしました。




