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THE WORLD  作者: SEASONS
4月15日
727/1254

次は○○の相談

「…まあ、何でもいいけどね。とりあえず明日からまたしばらく出かけるから…」


「…えっ?」



出かける、って言ったところでね。


お母さんは目を輝かせながら問い掛けてきたのよ。



「もしかして二人で旅行なの!?」


「違うわよっ!!」



速攻で否定したわ。


下手に戸惑うと余計にからかわれそうだから全力で否定しておいたのよ。



「その話題はもういいの!!」



なかなか話が進まないせいで、

激しくため息を吐いてしまったわ。



「…ったくぅ。そうじゃなくて、みんなでマールグリナまで行く用事があるから、しばらく帰って来れないだけよ。」


「あ~!なるほどね〜。そこで告白するつもりなのね?」


「だっかっらっ!!違うってば!!!」



『バンッ!バンッ!』ってテーブルを叩きながら全力で否定したんだけど。


何故かお母さんも全力で私を応援してくれていたわ。



「頑張れ、翔子!来年には孫の顔が見れるわね~。」


「見れないわよっ!!!」



耳まで真っ赤にしながら否定し続ける。



…ったく。



なんて言うか。


お母さんってどこかズレてるよね?



まさかこれが標準とかじゃないよね?


世間一般的には間違ってるよね?



そんなことを考えながら、

まっすぐにお母さんを見つめてみる。



…もう何を言ってもダメっぽいけど。



ちゃん伝えようと思うのよ。



「すぐに帰ってくるつもりだけど、お父さんにも伝えておいてくれない?『今までありがとう』ってね。」


「な〜んだ。やっぱり、嫁入りの挨拶…」


「ち〜~が~〜う~〜〜〜!!!!」



こんなにも全力で否定してるのに。



「もう…。こんな時にあの人は残業なんて…。帰ってきたらすぐに式の準備を…」


「しなくていいのっ!!」



全然、まともに聞いてくれないのよ。



「あらあら、翔子は恥ずかしがり屋さんなんだから…」


「ちっが~~~う!!!!!!」



…なんでそうなるの!?



全力で否定してみたけれど、

お母さんはすでにその気みたいね。



「今から楽しみだわ。」



…はぁ。



言わなきゃ良かった。



全力で後悔する私を、

お母さんは意地悪な笑顔で見つめてるのよ。



「まあ、冗談はここまでにして。本気で好きなら、ちゃんと気持ちを伝えなさいよ?」



…あぅぅぅぅぅ。



からかわれていたことに気付いたせいで、

うつむいてため息を吐いてしまったわ。



…はぁぁぁぁぁぁぁ。



わりと本気で疲れたかも。



「もう…。娘で遊ぶんじゃないわよ…。」


「だって暇だったんだもの。」



…はあっ!?



さらりと答えるお母さんにちょっぴり殺意が芽生えた瞬間だったわ。



…ったくぅ。



精神的な疲労を感じて、

ため息を繰り返してしまうわね。



「…で?もう気は済んだの?」


「さあ…?どうかしらね。」



そこはもういいって言ってよ。


本気でお願いしたいところなんだけど。


お母さんの意地悪は止まらないみたい。



「まあ、翔子がどうしたいのか知らないけれど、お母さんはちゃんと応援してあげるから、自分の思うようにしてきなさい。」


「…う、うん。」



微笑んでくれるお母さんの笑顔を見て私も微笑んでしまったわ。


やっと普通になったと思ったのよ。



「ありがと、お母さん。まあ上手く行くかどうかは分からないけど、出来る限りのことは頑張るわ。」


「あらあら!やっぱり、押し倒…」


「さないっ!!!」



最後まで言わせないわよ?



…って言うか。



普通なら止める側よね?



なのに、推奨してどうするのよ!?



…あ~もうっ!!



やっぱりお母さんは思考がズレてると思う。



改めてそう思ってしまう瞬間だったわ。



「はぁ…。疲れた…。」



ぼやきながら席を立つ。



「とりあえず話は終わったし、寮に帰るわ。」


「もう深夜よ?今日は泊まって行ったら?」


「そうしたいけど、色々と準備もあるし…。」



…って、あれ?



この流れって…もしかして?



「子作…」



…だぁかぁらぁ!!!



「違うって言ってるでしょっ!!」


『バンッ!バンッ!』と、

テーブルを壊しそうなほど叩く私を見て、

お母さんは楽しそうに笑い出してた。



「あはははっ!ホントにいい子に育ったわね~。」


「どういう意味よ〜!?」


「からかい甲斐が…」


「うっさいっ!!」



はしゃぐお母さんの言葉を遮って、

さっさと玄関に向かって歩きだす。



「…ったく、もう…。」



不満を感じながら靴を履く。


そんな私の後ろ姿をお母さんが見送ってくれていたわ。



「…気をつけて行くのよ。」


「心配しなくても大丈夫よ。学園は近いんだから。」



玄関の扉に手をかけてから振り返る視線の先にはお母さんがいる。



何だかんだで最後まで笑顔いられたかもね。



「行ってらっしゃい、翔子。」


「あ…うん。行ってきます。」



お母さんの笑顔が見れたから、

それだけで心地よさを感じられたのよ。



「また、ね。」


「いつでも待ってるわ。」



心に響くお母さんの言葉。


帰ってきて良かったって思いながら外に出る。



「…じゃあね。」



振り返って扉を閉めようとした…その瞬間に。



「次は妊娠の相談を待ってるからね~!」


「うるさいっ!!!」



『バタンッ!!!!』って、

勢いよく扉を閉めちゃったのよ。



…ああ~!!


…もう〜〜〜〜〜!!!!



どうして最後にこうなるの!?



肩で息をしながら激しくため息を吐いてしまったわ。



「…ったくぅ。」



最後の言葉が『うるさい』ってどうなの?



そんなふうに思うけれど。


これで良かったのかな?とも思って実家に背中を向けることにしたわ。



心残りがないとは思わないけどね。



それでも『最後まで笑顔でいられた』事実は変わらないから。



だからこれで良かったって思うことにしたの。



…そうして。



少し離れた場所から見つめる実家に向けて小さく呟いたのよ。



「…またね。お父さん、お母さん。」



聞こえなくても想いは残るはず。


そう信じて、学園に戻ることにしたの。



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