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THE WORLD  作者: SEASONS
4月15日
707/1242

2度目の調合

《サイド:常盤沙織》



「あれ?常盤さんまで、どうされたんですか?」



保健室で出迎えてくれたのは鈴置さんです。



私まで来た…と言うことは、

先行していた翔子はすでに保健室に到着していたようですね。



「ついさっき翔子も来ましたけど、何かあったんですか?」


「え、ええ…。」



翔子のことを知っているのなら話は早いです。


私も翔子と同じことを願うことにしました。



「その、私も馬車に酔ってしまって…。お薬を頂けると嬉しいんだけど、お願い出来ないかしら?」



私の目的を告げてから、

隣にいる優奈ちゃんの分も頼んでみます。



「二人分なの…。」


「ああ~、なるほど。」



話を聞いてくれた鈴置さんは、

私と優奈ちゃんの表情を交互に見つめました。



そしてすぐに理解してくれたようです。



『翔子と同じ症状』なので、

必要な薬は確認するまでもなかったのかもしれませんね。



「すぐに用意しますので、こちらにどうぞ。」



鈴置さんの案内を受けた私達は、

翔子の隣のベッドに案内されました。



「ちょっとだけ待っててください。」



私達を案内してから即座に引き返した鈴置さんは、

すぐに薬の調合を始めてくれるようです。



すでに2度目の調合だからでしょうか?



手馴れた雰囲気ですね。


薬の調合に関しては私も難しいことはわかりませんけれど。


鈴置さんの手際の良さは見ればすぐに分かります。



何分もかからずに調合を終えたようですね。



その後。



二人分の薬と水の入ったコップをお盆に載せた鈴置さんは、

すぐに私達の傍に戻ってきて薬を差し出してくれました。



「どうぞ。」


「ありがとう。」


「あ…りがと…ございます…。」



両隣のベッドに腰掛ける私と優奈ちゃんは、

用意していただいた薬を受け取りました。



そしてゆっくりとお薬を口に含みます。



………。


………。


………。



え…っ!?



「これは…思った以上に、苦いわね…。」



良薬口に苦し、でしょうか?



薬の効果で気持ち悪さが治まればいいのですが、

まずはその前に別の問題で苦しみそうです。



「吐き気を抑えるために、わざと苦味を強調させてるんです。」


「そ…そうなの?」


「ええ。その分だけ効果は高いですよ。即効性があるので吐き気はすぐに治まるはずです。ただ、体調そのものはすぐにとはいきませんから、ある程度の時間はかかると思います。一応、1時間から2時間ほど体を休めれば問題なく動けるようになるはずです。」



即効性を高めるために、

あえて苦味を引き立たせているそうです。



私も調合関係に関しては素人ですので詳しいことはわかりませんけれど。


同僚の里沙からは鈴置さんの調合能力がかなり高いと聞いています。


その鈴置さんが自信を持って言ってくれるのなら間違いはないはずです。



「あ、ありがとう…。」



薬の説明を受けた以上は苦くて飲めないとは言えません。



少しでも早く気分が楽になるようにと考えて調合してくれたようですので、

大人しく全ての薬を飲むしかありません。



…ですが。



隣にいる優奈ちゃんは涙目です。



「…苦いですぅ…。」



目に涙を浮かべているのが見えます。



かなり苦労しながら薬を飲んでいる様子ですね。



心境的には私も同じ気持ちなのですが、

すでに翔子が飲んだ薬を私は飲めないとは言えません。



「…頑張りましょう。」



優奈ちゃんに声をかけてから、

一気に飲みきることにしました。



………。



…苦いですね。


…ものすごく苦いです。



これはどう表現すればいいのでしょうか?



お茶の葉を徹底的に焦がして、

炭化した部分だけを集めた感じでしょうか?



実際に食べ比べをしたわけではないので表現として正しいかどうかは分かりません。


ですが出来ることなら二度と口にしたくない味です。



「全部飲めたら、しばらく休んでてくださいね。」



私達がちゃんと薬を飲んだことを確認した鈴置さんは後片付けのために離れようとしています。



ですが、その前に。



「…すみません。薬が欲しいんですけど…。」



更なる病人の到着によって、

再び仕事が増えてしまったようでした。



少し遅れてやってきたのは龍馬です。



医務室に龍馬が訪れたことで、

小さくため息を吐いた鈴置さんが対応に向かいました。



「ああ、はい。お薬ですね?すぐに用意しますので、あちらへどうぞ。」



案内するのが面倒になったのでしょうか?


私達の時とは違って少し雑な指示を出していました。



龍馬の案内を放棄した鈴置さんは、

必要な材料を集めてから再び調合を始めたようですね。



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