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THE WORLD  作者: SEASONS
4月15日
704/1242

ひたすら深まる謎

…で。



そうこうしてるうちに理事長の用意した食事のほとんどを真哉はたった一人で完食寸前に食べ続けていたようね。



龍馬も優奈ちゃんも沙織も、

ほとんど何も食べなかったんじゃないかな?



それほどお腹が空いていないっていうこともあると思うけど。



馬車で酔ったことが原因で食欲がないのが本音かな?



理事長と私は少し食べたけれど。


優奈ちゃんの力に関して話し合っている間に真哉がほとんど食べてしまったから。


食べる食べない以前に、

食べる物がほとんど残っていなかったのよ。



「ホントに良く食べるわね~。どこか、お腹がおかしいんじゃないの?」


「ああ?お前等が食わないだけだろ?」



はぁ?



「それは違うでしょ?」



きっぱりと断言して、

残り物を精霊に差し出してみる。



「意外と食べたりして…?」



期待を込めてパンを差し出してみたんだけど。


精霊の子猫は一度だけ見つめただけですぐに顔を背けてしまったわ。



「まあ、やっぱり無理よね~。」



分かっていてもちょっぴり落ち込んじゃったわ。


そんな私の様子を見てた沙織が苦笑してる。



「さすがにそれは期待のしすぎじゃないかしら?」



それはそうなんだけど~。


分かってはいたんだけど〜。



「でも、食べたら食べたで面白いと思わなかった?」



なんて言いながらも餌付けを諦めた私は残りのパンを口に詰め込んだわ。



「見た目は本物でも、やっぱり模倣なのね~。」


「あら…?もしも模倣なら優奈ちゃんの特性は構呪になるのかしら?」



何となく言ってみた言葉に沙織が反応してた。



あ~。


そっか。


そういう考え方もあるのね~。



…って、感心してみたけれど。



「いや、それはないんじゃないかな?」



沙織の言葉を龍馬が即座に否定しちゃったわ。



「総魔の力に関しては僕が一番理解してるつもりだけど、優奈さんの能力は総魔とは違うはずだよ。」


「…う~ん…?」



再び悩む沙織だけど、

結局答えは出ないみたいね。



首を傾げる一同。


その中で真哉だけは冷静に精霊を眺めてた。



「って言うか、そもそも吸魔の力は本当に魔術を吸収する力なのか?」



ん?


そうじゃないの?



「どういうこと?」


「いや、何となくそう思っただけだ。」


「だから、何で?」


「だから、何となくだって言ってんだろ。でもまあ、強いて言うなら少し不自然だとは思わないか?総魔は『魔術的』に実現したから違和感を感じなかった。だが、優奈は違う。優奈は本来なら『全ての魔力』を吸収出来るはずだ。だからこその吸魔だろ?」



真哉の言葉を聞いたことで、

沙織は言葉の意味に気付いたみたい。



「あ~、そう言われると確かに今の状況は不自然かもしれないわ。」


「どういうこと?」


「ホワイト・アウトやルーンが魔力を吸収出来るように、優奈ちゃん自身も魔力の吸収が出来るはずなのよ。」



問い掛ける私に沙織が分かりやすく話してくれる。



「それなのに私達は優奈ちゃんに触れても魔力を奪われずに済んでいるわ。これはどういうことかしら?」


「………?」



優奈ちゃんと向き合う沙織だけど。


優奈ちゃんは何も答えられないみたい。



自分でも分からない現象なんでしょうね。



以前は直接的な魔術が吸収出来なかったからそれが当然だと思ってた。



変換が間に合わないから吸収出来なかったってね。



それでも時間をかければ吸収出来るはずだけど。


今はその弱点も克服して全ての魔術を吸収出来るようになっているわ。



それなのに『魔力の吸収』は起きていないのよ。



魔術は吸収出来ても、

魔力は吸収出来ていないの。



やろうと思えば出来るとは思うのよ。


ルーンの攻撃で直接魔力を奪えるんだから。


出来ないわけじゃないはずなの。



それなのに。


私や沙織が優奈ちゃんを抱きしめても、

吸収の能力は発動しないのよ。



その矛盾。


精霊の存在に続いて、

新たな謎が増えたわね。



だけど隠れた能力があるわけじゃないみたい。


そこは間違いないはずよ。


水晶玉が反応しなかったわけだしね。



それでも本当の力は不明のままなのよ。



ひたすら深まる謎。



本当の優奈ちゃんの力は何なの?



その疑問だけが残ったわ。



でもね?



優奈ちゃんの能力に関して明確な答えは出なくても、

それをのんびりと考えている暇はないみたい。



「そろそろ行きましょうか。」



馬車に乗り込む理事長が急かすせいで、

のんびりしてられないからよ。


十分な休息を得た3頭の馬達は、

すでに落ち着きを取り戻しているように見えるわね。



「急ぐわよ!」



手綱を握る理事長は全員が馬車に乗り込んだ事を確認してから全力で馬車を走らせちゃう。



『ガタガタガタガタッ!!!!!!』



再び激しく揺れだす馬車。


激走する車輪の勢いによって、

馬車は激しく振動を繰り返してる。



「ちょっ…。だから、速過ぎ…っ!?」



振動に苦しむ私に…



「下手に喋ると舌を噛むから、気をつけなさいっ!」



大声で注意する理事長だけど。


今回もすでに遅かったわ。



「…また、噛んだ…。…痛ぃ…」



本気で涙を流しちゃう。


ジェノスはまだまだ遠いわね…。




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