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手遅れ
《サイド:米倉美由紀》
さて、と。
全員の準備が整ったようね。
「やっと来たわね。急ぐから早く乗って!」
御堂君達がグランパレスの入口に着く前に、
馬車を用意して待機していたんだけど。
少し急かしてみたことで、
御堂君達は急いで馬車に乗り込んでくれたわ。
「みんな、乗ったわね?」
全員が馬車に乗ったことを確認してから手綱を強く握り締める。
「のんびりしてる時間はないから飛ばすわよ!!ちょっと揺れるけど我慢してね。」
出発前に声をかけてみたけれど。
はっきり言って返事を待つつもりなんてないわ。
わりと本気で急いでるからよ。
「出発!!」
勢いよく振られる鞭に反応して走り出す3頭の馬。
私が走らせる馬車は、
宣言通りに『ガタガタガタガタッ!!!!!!』と、
勢いよく揺れながら動き出したわ。
「ちょ…っ!?」
叫ぶ翔子の声を無視して全力で馬を走らせる。
「下手に喋ると、舌を噛むから気をつけなさいっ!」
大声で注意してみたけれど。
すでに遅かったようね。
「…痛ぃ…」
叫んだ瞬間に舌を噛んでいたみたい。
翔子の瞳にうっすらと涙が浮かんでいるのが見えたのよ。




