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THE WORLD  作者: SEASONS
4月15日
669/1366

約束の刻

《サイド:美袋翔子》



…ふう。



色々と気になることはあるけれど。


ひとまず龍馬が勝ったようね。



「試合終了です!!!第3試合も勝利したジェノス魔導学園!!これにより、残り2試合を残しながらも決勝戦の勝利が確定しましたーっ!!!」



会場全体に轟く係員の進行によって盛り上がる会場。


ものすごい歓声が響き渡るのが、

私達のいる特別区域にも聞こえていたわ。



「優勝はジェノス魔導学園です!見事11回連続優勝を果たしました!!!次の大会に勝てば、大会史上初となる年間制覇も実現できます!その偉業が達成されるのかどうか、来月の大会に大いに期待がもたれるところですが、まずは今大会の優勝を賞賛いたしましょう!!!」



叫ぶように進行を進める係員の言葉が聞こえてきたことで、

みんなが勝ったのは分かったわ。



…でもね?



嬉しいと思う気持ちはあるけれど。


今はそれどころじゃないのよ。



血まみれの惨状。


転がる死体。


もちろんそれも問題よ?



だけど今はそんなことよりも、

総魔のことが心配で心配で仕方がないの。



「…総魔?」



呼び掛ける私に総魔が振り向いてくれる。


いつもと何も変わらない表情にも思えるけれど。


総魔の視線はどこか私を避けているようにも感じられるわ。



…もしかして、怯えているの?



私と優奈ちゃんを見つめる総魔の瞳が、

何故か悲しみに満ちているように思えたのよ。



「ねえ、総魔?」



もう一度呼び掛けてみる。


だけど総魔は何も言わずに、

試合場に振り返ってしまったわ。



「………。」



視線の先にいるのはたぶん…龍馬だと思う。



たった一人で試合場に立ち続けている龍馬を見ている気がするの。



…ねえ、総魔。


…私は見てくれないの?



ちょっぴり寂しさを感じてしまったわ。



目の前にいるはずなのに。


向き合ってもらえないことが悲しかったのよ。



「ねえ…総魔。」



呼びかけても振り返ってくれない。


総魔はただじっと龍馬を見つめてる。



他には誰もいない試合場。



試合が終わったから、

審判員はすでに試合場を離れているみたい。



代わりに進行役の係員が試合場に上がろうとしてるんだけど。


今は真哉が引き止めてるみたいね。



試合場にいるのは龍馬だけなのよ。



そして試合場に立つ龍馬の瞳も、

ただまっすぐに総魔を見つめているように思えたわ。



…お互いに、意識してるのね。



そう思えたから、

ちょっぴり羨ましいって思っちゃったわ。



私もそんなふうに総魔と思い合えたら良いのに、って。


そんなふうに思っちゃったのよ。



…だけど。



今の総魔の目には、

龍馬しか映っていないの。



…だから。



これからどうなるかなんて、

聞かなくても分かるのよ。



「…行くの?」


「ああ。あの場所で強敵ともが待っているからな。」


「龍馬と…戦うのね。」


「…そうなるな。あの日の約束を果たす為に、俺は大会ここに来た。」



うん。


そうよね。



学園で決着がつけられないから。


だからここまで来たのよね。



「もう一度…勝てる?」


「どうだろうな?やればわかることだ。」



まあ…そうね。


戦えば分かることよね。



わざわざ聞かなくても、

その答えはこれから示されるのよ。



「総魔のこと…応援しても良いかな?」


「…好きにすれば良い。」



いつも通りの言葉。



だけど。


結局ね。



総魔は一度も振り返ってくれなかったのよ。



「エンジェル・ウイング!」



総魔の背中に生まれる翼。


観戦席の先頭まで歩みを進めた総魔は、

真っ直ぐに試合場を見下ろしてる。



…私でも。


…優奈ちゃんでも。


…他の誰でもなくて。



ただ龍馬だけを見つめているの。



「これが最後の試合だ。」



龍馬との決着をつけるために。


二人が初めて試合をしたあの時と同じように。



試合場に向かって羽ばたいたのよ。



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