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THE WORLD  作者: SEASONS
4月15日
665/1242

新たな構え

「さあ!すでに1勝を上げているジェノス魔導学園!!このまま、連続勝利で優勝へ近付くのか!?それともグランバニア魔導学園が勝利して優勝への道を繋ぐのか!?緊張と期待の一戦です!!!」



係員の進行によって徐々に盛り上がっていく会場。


会場全体が声援と歓声によって熱気を帯びていくのが感じられる。



二人の試合に対して高まる期待感。


誰もがこの試合の行く末に注目しているようだ。



「さあ、とっとと始めようぜ!」


「ああ、そうだな。」



試合上に立つ真哉と盛長君。


特に会話もないまま開始位置に立って向かい合う二人は、

互いに相手を意識しながら試合に向けて集中力を高めている。



「準備はよろしいですね?」



試合場の中央に立って問い掛ける審判員の問い掛けに対して二人は無言で頷いた。



「それでは、試合始めっ!!!」



試合開始の合図と共に更に高まる歓声。


その中で二人は互いにルーンを構えた。



長身の槍を構える真哉。


その手にあるのは『ラングリッサー』だ。



対する盛長君のルーンは巨大な斧だ。



『アースブレイカー』と呼ばれる巨大な斧は物理的な攻撃に特化している。



あらゆる物体を分断して粉砕する破壊力があるんだ。



おそらく純粋な攻撃力は最上位じゃないかな?



僕のシャイニングソードや彼のジェネシス。


それに真哉のラングリッサーやフェイのファルコンでさえも、

盛長君の破壊力には及ばない思う。



遠距離攻撃は苦手みたいで、

能力的にはそれほど強力ではないけれど。


物理的な破壊力は群を抜いているんだ。



徹底的に一撃の威力に特化したルーン。


それがアースブレイカーの特徴になるかな。



それに真哉やフェイ以上に鍛え上げられた肉体は格闘家としても通用するほどだ。



文字通り『戦士』としての実力を併せ持つ彼の攻撃は正真正銘『破壊の一撃』になる。



彼の攻撃は絶対に受けてはいけない。


僕や彼でさえ無事では済まないと思うからね。



力が強すぎるから受け流すのも難しい。


だからほぼ間違いなく、

回避の一択になるだろうね。



それほど圧倒的な破壊力を持つ盛長君と向き合う真哉は槍を構えながら突撃を始めた。



「行くぜっ!!新奥義!『バーニングソウル』!!!」



真哉が新たな魔術を展開した。


僕も初めて見る魔術だ。



ラングリッサーを包み込むように、

勢いよく炎が燃え上がった。



ボルガノン以上の灼熱の炎だ。



先端だけじゃなくて、

槍の全体が激しく燃えている。



…真哉の手は燃えないのかな?



そんな疑問を感じたけれど。


真哉は平気そうだ。



「見て驚け!これが俺に出来る『最強の炎』だ!!」



『ブンッ!!!』と、勢いよく振り回すラングリッサーと共に燃え広がる炎は、

フェイの最大の攻撃である黒炎衝(こくえんしょう)を彷彿とさせる。



炎の色は違うけれど。


おそらく同程度の火力はあると思う。



それほどの炎が盛長君に向かって伸びていくんだ。



…これは!?



ただの炎じゃなかった。



放たれた炎はマリアさんの炎蛇を連想させる動きを見せているんだ。



…フェイとマリアさんから学んだのか?



うねりながら直進する猛火によって、

盛長君の身体を焼き尽くそうとしている。



直撃すれば一気に形成が有利になる攻撃だ。


だけど盛長君もすでに動き出している。



「ふん!この程度で何を驚く必要がある!?アースクラッシャー!!」



全力で斧を振るった盛長君の一撃によって崩壊する試合場。



その衝撃は凄まじく。


迫り来る炎を強引に遮断していた。



…呆れるほど強引な力技だね。



爆風と衝撃によって拡散してしまう炎。



残念だけど真哉の新魔術は、

盛長君には届かなかったようだ。



「…ったく、どいつもこいつもまともに俺の攻撃を受けるやつはいねえのか?」


「それだけ未熟ということだ!」



ぼやく真哉に盛長君が反撃しようとしている。



「吹き飛べ!パワークラッシュ!!!」



全力で振り回される巨大な斧の一撃。


まともに受ければ槍も身体も分断されかねない即死級の力技だ。



「…ちっ!」



迫り来る斧の軌道を予測しながら、

真哉は全力で踏み込んだ。



「ソニックブーム!!」



突撃ではなくて回避。



瞬時に飛び出した真哉は斧の射程から上手く逃れて、

盛長君の背後に回り込んでみせた。



「背中ががら空きだぜっ!!」



背後から槍を突き刺そうとする。


だけど盛長君は動きを止めずに、

そのまま一回転して背後の槍に向けて斧を振り回したんだ。



『ガキィィィン!!』と、

激しい金属音を響かせながら打ち合わさる槍と斧。



その破壊力は…斧が勝ってしまった。


力負けして二つに叩き折られてしまうラングリッサー。



真哉自身には被害がなかったけれど。


あと一歩でも前に踏み込んでいれば、

ルーン共々、真哉の体も斧の一撃に巻き込まれていたはずだ。



「くそ…っ!」



舌打ちをしながら後退した真哉は、

槍を再生させながら盛長君を睨みつけている。



…これはもう打つ手なし、かな。



前回までは互角だったけれど。


この一ヶ月で盛長君も大きく成長していたようだ。



もちろん真哉も成長しているはずだけど。


盛長君はそれ以上の成長をしていたということだろうね。



「はあ…。ったく、このままじゃダメだな。」



大きくため息を吐いてから気持ちを切り替えた真哉は、

ラングリッサーをひと振りしてから『新たな構え』を見せた。



「…このままじゃダメだ。俺が俺の限界を突破する為に。そしてあいつらに俺の実力を示す為に。俺は…」



最後の言葉は聞き取れなかった。


だけど真哉は大きく深呼吸をしてから全力で槍を構えたんだ。



低く、低く構える姿勢。


真哉のルーンが激しく輝きを増していく。



「ぶっつけ本番ってのは趣味じゃねえんだが、この際仕方がねえよな!」



真哉が盛長君に警告する。



「手加減は出来ねぇ!全力で耐えろっ!!」



大声で叫んでから一気に飛び出した。



「一撃必殺…!!」



踏み込んだ地面を破壊するほどの炎と瞬発力。


最大最速の一撃が盛長君を捕らえる。



「…ファイナルアタック!!!!」


「むう…っ!?」



一瞬で危険を感じたのか、

盛長君は巨大な斧を盾代わりに構えて防御の体勢をとっていた。



だけど真哉の勢いは止まらない。



「沈め!!」


「…な!?」



大地を裂くほどの衝撃を生み出しながら、

盛長君の斧を破壊してみせたんだ。



「もらったーーーーーっ!!!!」


「くっ!?」



斧を破壊した真哉は勢いを緩めずにそのまま盛長君自身へと襲い掛かる。



「大人しく潰れろ!!!!」



頭上から叩きつけるかのように振るわれた槍によって、

盛長君の体が炎を浴びながら試合場に沈み込んだ。



「…ぐ…あっ!?」



かつて無い程の破壊力をもたらしたその『衝撃』



ソニックブームの速度と。


バーニングソウルの炎と。


キルスラッシュの破壊力。



全ての攻撃を併せ持つ衝撃によって、

盛長君の屈強な肉体があっさりと叩き潰された。



「…がはっ!!!」



全身を焼かれながら倒れた盛長君は、

そのまま意識を失ってしまったようだね。



「試合終了!!!」



審判員の合図によって、

真哉の勝利が確定した。



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