殺害
《サイド:美袋翔子》
…あった!
あそこね!!
通路の先に見える扉。
あの扉の向こうに総魔がいるはずなのよ!
もうすぐ会えると信じて走り続ける。
私の後ろを走る優奈ちゃんは息を切らせながらもなんとか追い掛けてきてるわね。
「あと少しよ!」
優奈ちゃんに声をかけてから、
『バンッ!!!』と勢いよく扉を開け放つ。
その向こう側では…すでに『争い』が起きていたわ。
…って?
…え!?
…何、これ?
緊迫した雰囲気の室内。
誰も私達の方を振り返ろうとしなかったわ。
この場にいる誰もが一カ所に視線を向けてるからよ。
駆け付けたはずの警備員も。
そして私達も。
総魔に視線を向けて立ち止まってしまったの。
「総魔…さん!?」
驚き戸惑う優奈ちゃんの呼び掛けにさえ応えずに、
総魔はゆっくりと歩みを進めて行く。
その視線の先にいるのは見慣れない人物だったわ。
豪華な衣装を身に纏ってる男性がいるのよ。
…何処かの国の王子様?
そんなふうに思えるくらい豪華な服装なのよ。
「ま…まてっ!自分が何をしようとしているのか分かってるのかっ!?これは…これは国家的大犯罪なんだぞ!!」
大声で叫ぶ男性に向けて、
総魔は一言もないままジェネシスを構えてた。
「…くそっ!これが…これがお前達の決断だと言うのか…っ。」
総魔を睨みつける男性の足元には…数え切れないほどの死体が転がってる。
容赦なく斬り殺された兵士達の遺体が見えるのよ。
…なん、なの?
…これ…って?
どういうこと?
戸惑う私の視線の先で、
総魔は男性に刃を突き刺してしまう。
『ズ…ブッ…』
鈍い音が聞こえたのよ。
真哉や優奈ちゃんが刺された時とは違う本物の刺殺。
気持ちの悪い音と共に男性の体から血が溢れ出て、
口から血を吐きながら震える手を伸ばしてた。
「ぐぅっ、かは…っ!?」
再び吐き出される真っ赤な血。
必死にルーンを抜き取ろうとする男性だけど。
総魔は容赦なく刃を押し込んでいく。
「が…あ…っ!?」
繰り返される吐血。
名前も知らない男性はあっさりと…驚くほどあっさりと死んでしまったわ。
力をなくして崩れ落ちた男性の最期を見届けてから刃を引き抜く。
そうして総魔は血に染まる手を気にする素振りも見せずに。
…人を殺してしまったのよ。
「…う、嘘…でしょ?」
…ねえ。
…総魔?
こんなの…何かの冗談よね?




