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THE WORLD  作者: SEASONS
4月15日
662/1242

やる時はやる子

《サイド:深海優奈》



「ここから先は立入禁止だと言っているだろう!!」



立入禁止区域と書かれた通路の手前で、

私と翔子先輩は足止めを受けてしまいました。



「それでも通してって言ってるのよ!!」


「ダメだ!!」



必死に説得を試みる翔子先輩でしたが、

警備員さんに阻まれてしまって前に進むことが出来ません。



「…ったくぅ〜!!分からず屋なんだから〜〜〜〜〜!!!」



イライラする翔子先輩ですが、

話し合いでは通れそうにありませんね。



「諦めて別の場所から…。」



他の道から進む方法を提案してみたのですが、

翔子先輩は首を左右に振ってしまいました。



「この先へはここからしか行けないのよ。他に道はないわ。」



…はうぅぅ。



そうなると。



やっぱりここを通してもらうしか方法がないですよね…?



「無理…ですよね?」


「立ち去りなさい。」



控えめに尋ねてみても、

通してもらえそうにありません。



このまま諦めるしかないのでしょうか?



「…こうなったら、力付くで…!!」



翔子先輩が小さな声で呟いたその時に。


『スドドドドォォォォォォン!!!!』


突然大きな音が通路の先から聞こえてきました。



「何だ…っ!?」



慌てる警備員さん達が大急ぎで通路の奥へと走り出しています。



残った警備員さんは一人だけです。


とても大きくて、

とても強そうな人だけでした。



「…言っておくが、ここは通さんぞ。」



通路の前で立ち塞がったままです。


どうあっても通していただけないそうです。



何度もお願いしてみましたけど説得は無理でした。


だからと言って、

力ずくでの突破も難しそうです。


どう考えても体格的に勝てる気がしません。



…ですけど。



私達は戦士ではありませんので、

力は弱くても何とか出来ちゃいます。



どうにか隙を見て駆け出そうとする翔子先輩を横目に、

私はミルクを手放しました。



ぴょこん…と、私の手から通路に下りたミルクはトコトコと歩みを進めました。



ゆっくりと警備員さんに近づいています。



警備員さんもミルクには気付いている様子ですが、

今は翔子先輩の対応を優先しているみたいです。



「諦めて引き返しなさい。」



翔子先輩が走り出さないように警戒しながら道を塞いでいます。



そうして立ちはだかる警備員さんの足元にミルクは近付きました。



そして。



一度だけ鳴き声をあげたんです。



「みゃ~♪」



とても可愛らしい鳴き声だと思います。



私にとっては…ですけど。



可愛らしさとは裏腹に、攻撃力は抜群です。



「な…っ!?ぐあぁぁぁ…っ!!」



ミルクの力によって通路に倒れ込んだ警備員さんは重力の圧迫に耐え切れずにそのまま意識を失ってしまいました。


重そうな鎧を着ているから、

余計に苦しかったのかもしれません。



…ですが。



これで遠慮なく通路の先に進めます。



「あららら…。優奈ちゃんって意外とやる時はやる子なのね~。」



突然倒れた警備員さんの姿を見て、

翔子先輩に笑われてしまいました。



「あ…あははは…。」



…返す言葉もありません。



苦笑いを浮かべるのが精一杯でした。



そんな私の足元にミルクがトコトコと戻ってきて、

ぴょんっと私の手まで跳びはねました。



なかなかの跳躍力です。


見た目が猫だけあって、

運動能力がすごいですね。



「お帰りなさい、ミルク。」


「みゃ~♪ 」



戻ってきたミルクの頭を撫でると、

ミルクは幸せそうに私の手の中で鳴いてくれました。


そんな私達を、翔子先輩が見守ってくれています。



「ふふっ。それじゃあ、この隙に先を急ぐわよっ!」


「はいっ!」



翔子先輩が走り出してしまいましたので、

私も急がなくてはいけません。



…ですが、その前に。



「えっと、その…ごめんなさい…です。」



気絶中の警備員さんに謝ってから、

この場を離れることにしました。



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