上限
《サイド:北条真哉》
…まあ、なんだな。
やっぱり出来ねえものは出来ねえよな。
あまり無茶を要求するのはどうかと思うが、
ひとまず天城総魔の『限界』には気づいた。
ただまあ、この程度を弱点とは言わねえか。
むしろごくごく当たり前で普通のことだからな。
『天城総魔の限界』
それはもちろん俺自身にも言える事だが。
生身の体である限り。
人が人である限り。
絶対に越える事が出来ない限界ってのがあるもんだ。
誰であろうと逃れられない壁。
それはまあつまり、
肉体が反応出来る『上限』ってやつだな。
人の限界と言ってもいい。
さすがのあいつでさえ。
ルーンだけでは4種類の魔術の全てを防ぐ事が出来なかった。
その事実をはっきりと確認した。
今はまだ噂程度しか知らない俺からすれば見逃すことのできない欠点だ。
もちろん同じ欠点を俺も抱えてはいるが、
その欠点を補う手段を持っているからな。
だからこそ俺にとっては弱点にならないと考えていたんだが、
そもそも俺はまだあいつのことを深く知らねえ。
見極めるにはまだ早いだろう。
何も知らないからこそ、
油断していい相手じゃねえ。
まだ未確認の力も考慮しながら天城総魔という人物を判断するべきだ。
「まだ切り札があると考えておいて損はねえからな」
少なくとも天城総魔はすでに8人の生徒と同時に戦える力を持ってるんだぜ。
それだけでも称賛に価するってもんだろ。
「最後まで見させてもらうぜ」
しっかりと視線を向けたまま試合の行く末を見守り続ける。
そんな俺の視線を受けるあいつはすでに次の生徒へと迫っていた。




