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THE WORLD  作者: SEASONS
4月15日
641/1242

聞きたくなくて

《サイド:美袋翔子》



…う、うそよね?


…何かの冗談…よね?



一体、何が、どうなっているの?



「…総魔?」



一人で何処に行くつもりなの?



何も言わずに立ち去った総魔の姿は、

すでに見えなくなってしまったわ。



本当なら強引に引き止めたかったんだけど。



…だけどね。



追い掛けることができなかったのよ。


身体が動かなかったの。



『その言葉』を聞きたくなくて。


どうして良いのか分からなくて。



追いかけることが出来なかったの。



もしも…もしもよ?



はっきりと総魔に『さよなら』なんて言われたら。


私はもう…立ち直れない気がしたのよ。



そんな不安が私の心を支配したことで、

総魔を追い掛けることが出来なかったの。



突然、姿を消した総魔がどこに行ったのかなんて分からない。



…私にはもう。



何が何だか分からなかったわ。



…ねえ、総魔。


…どういうことなの?



一体、ここで何が起きているの?



総魔は何処に行くの?



…これじゃあ、まるで。



まるで『最後の別れ』みたいじゃない?



私のすぐ側で泣き崩れた優奈ちゃんはきっと総魔のことを知ってるのよね?



だから、泣いてるのよね?



…ううん。



だから、泣いてたのよね?



総魔を捜してる途中で優奈ちゃんが何を知ったのかは知らない。


だけど優奈ちゃんは何かを聞いて真実を知ったんだと思う。



そしてその真実は私達には言えない内容だったんじゃないかな?


だから優奈ちゃんは何も言えずに苦しんでいるのよね?



…だから今も。



何も言えないまま何かを堪えてるのよね?



…ねえ、優奈ちゃん。


…総魔は何処に行ったの?



そんなふうに聞いてみたいけれど。


優奈ちゃんに答える余裕なんてないと思う。



どう見ても話ができる状況には思えないからよ。



こんなことにならなければ総魔が自分から話してくれる日を待とうって思ってたんだけど。


これじゃあもう、

待つどころか2度と会えない気がしてきたわ。



本当なら今すぐにでも追い掛けなきゃいけないのよね?



だけど…ね。



そう思った時にはすでに遅かったわ。



何処へ行ったのかが分からないからよ。



会場内にいれば良いけれど。


外に出てしまっていたらもう捜しようがないわ。



唯一、何かを知ってそうなのは優奈ちゃんだけど。


泣き続ける優奈ちゃんに問い詰めることなんて私には出来ない。



静寂の中で響く優奈ちゃんの泣き声。



そんな私達の心境に関係なく。


試合は進んでしまうのよ。



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