非礼を詫びよう
「最初から手加減なしだ!!鳳凰翼!!!」
全力で繰り出される強烈な刺突。
紅蓮の炎が襲い掛かってくる。
「燃え尽きろっ!!!」
全力で叫ぶフェイの攻撃は驚異的だが、
すでに一度見ているからな。
対処法はすでに考えてある。
ますは聖剣を振るって炎を切り裂いてみせた。
「ディスペル!!」
最上位の解呪によって、
炎は一瞬にして消え去った。
「なっ…!?」
北条を制するほどの一撃があっさりと消失したことで、
フェイの表情が一瞬にして凍りつく。
…と、同時に。
ほんの数秒だが動きも止まってしまっていた。
「…この程度なのか?」
フェイが動きを止めた瞬間に一気に距離を詰める。
槍の間合いの内側だ。
フェイにとっては危険領域だが、
剣を持つ俺にとっては最も得意とする間合いになる。
反撃出来ないフェイに狙いを定めて容赦なく切り掛かる。
「沈め!」
「…くっ、させるかっ!!」
切り掛かろうとする俺の攻撃に対して、
フェイは体をひねることで槍を横なぎに叩き込んできた。
…ちっ!
大した反射神経だな。
風きり音を轟かせる槍を聖剣で受け止めた瞬間に、
即座に後方へと身を引いたフェイが距離をとってしまった。
これでまた槍の攻撃範囲が広がってしまったことになる。
フェイに斬りかかるためには、
もう一度槍の間合いをくぐり抜けなければならない。
「大した運動神経だ。確かに身体能力は北条以上だな。」
「………。さすがに今のは、ぞっとしたぞ。」
油断していたわけではないだろうが、
予想外の展開だったようだな。
改めて槍を構え直すフェイを眺めつつ。
ジェリルの時と同様に前もって警告しておくことにする。
「あえて警告しておくが気を抜くな。次は『斬る』」
「………。」
俺の気迫に押されたのか、
後方へと後ずさったフェイは槍を持ち直してから大きく振りかぶった。
「非礼を詫びよう。どうやら甘く見ていたのは俺だったようだ。」
目を細くしながら何度も深呼吸を繰り返している。
…そして…。
再び目を開けた瞬間に。
ようやくその本性をさらけ出した。




