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THE WORLD  作者: SEASONS
4月14日
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速度特化

「始めっ!!!」



試合が始まったことで、

ジェリルは慌ててルーンを発動させていた。



俺の忠告を素直に聞き入れたのかどうかは分からないが、

互いの実力が不明ということで警戒は強めたようだな。



ジェリルの手には細く長い剣『レイピア』が握られている。



斬ることよりも突き刺すことに特化した剣のようだが、

元が魔力なので耐久力が低いということはないだろう。



込めた魔力の量によって性能が変化するのがルーンだ。


見た目だけで能力を判断するのは難しい。



「それがお前のルーンか?」


「ええ、そうよ。」



レイピアを構えながら少しずつ俺に歩みを進めてくる。



刺突しとつ剣『フォルクス』。それがこのルーンの名前で能力は『狙撃そげき』。その意味はこれから教えてあげるわ!!」



ジェリルは自らの能力を宣言してから全力で踏み込んで突進してきた。



…微かに、だが。



レイピアの先が微かに輝いているように見える。



「コールド・クロウ!!!」



突き出されるレイピアの先端から幾筋もの氷の刃が放たれた。



文字通りの氷の爪だな。



ネコ科の動物が爪で引っ掻くかのような軌道で、

斬撃に特化した高速の刃が襲い掛かってくる。



「なかなかの速さだな。」



攻撃速度は翔子に匹敵するだろう。


一撃の威力は遠く及ばないが、

速度だけを見れば十分な驚異だ。



並の魔術師では到底対処できない速度に達している。



…どう考えても詠唱が間に合わないだろうな。



ルーンを扱えない魔術師では迎撃不可能だ。



…とは言え。



圧縮魔術を扱うことが出来るなら、

十分に対応できる範囲内だとも思う。



「ファイアー・ウォール!!」



炎の壁を生み出すことで氷の刃を受け止める。


だが、思った以上に威力があったらしい。



防ぐだけでは終わらずに炎の壁を破壊されてしまったのは予想外の出来事だった。



…攻撃力もかつての翔子と同程度か?



ホワイト・アウトを突き抜けた翔子の攻撃と同程度だと判断するべきだろうか。



俺に届く前に氷の刃は消滅してしまったが、

あと数歩でも距離が近ければかすり傷程度は負っていたかもしれない。



…だからこその4位か。



実力は十分にあるように思える。


それでもすでに防御出来ることは判明したからな。



…今はまだ本気を出すほどではない。



翼を封じている現状ではそれほど多くの圧縮魔術を扱うことはできないが、

そもそも炎の壁で防げる程度の攻撃であれば魔術に頼る必要もない。



その気になればジェリルの放つ攻撃を全て操作して跳ね返すこともできる。



「この程度の攻撃で終わりか?」



だとすれば結果は既に見えているのだが。


攻撃が不発に終わったことを察したジェリルはすかさず後退した。


そして距離をとってから別方向から接近してきた。



「フレイム・クロウ!!」



レイピアから発生するのは幾筋もの炎の刃だ。


北条のボルガノンには劣るが、

岩永の炎の槍を超える威力はありそうに思える。



…とは言え。



どちらにしても操作できる範囲内の攻撃なのは間違いないだろう。



ジェリルを制するのは簡単だが、

せっかく回ってきた出番だからな。



もう少し様子を見てみたいと思う。



そのためにまずは能力を抑えた状態で、

炎の爪が俺に届く前に防御魔術を発動させることにした。



「コールド・ウォール!」



氷の壁によって弾かれる炎の刃。


今回は防壁を突き抜けることはなかった。



…やはりジェリルの攻撃力は並の魔術と大差ないように思えるな。



単純に速度だけを重視しているようで、

破壊力そのものは並の魔術と同程度のようだ。



だがそれでもジェリルの攻撃は止まらない。



氷と炎の二つの属性を防がれたことで、

さらなる魔術を発動させてきた。



「サンダー・クロウ!!!」



今度は雷か。


現状で迎撃は不可能だな。



雷に対応できる圧縮魔術を用意していなかったということもあるが、

高速で接近する雷撃に魔術の詠唱は間に合わないからだ。



…だがすでにジェリルの攻撃力は把握できている。



並の魔術と同程度であれば恐れる理由はない。



…わざわざ無駄な魔力を消費する必要もないだろう。



今回は防御を放棄して突き出した右手でジェリルの放った雷撃を掴みとることにした。



「…今までの中では一番ましだな。」


「そ、そんなっ!?」



バチバチと始める雷を掴み取ったことで、

ジェリルは表情を青く染めている。



目の前の現実が信じられないのだろうか。



攻撃が通じないどころか受け止められてしまうという結果を見たジェリルは呆然と立ち尽くしている。



「どうした?惚けている暇はないはずだ。」



右手の手の中で弾ける雷を、

そのままジェリルに投げ返す。



「受け取れ、サンダー・クロウ。」


「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」



掴み取った魔術を投げ返したことで、

ジェリルは自らの力によって吹き飛んでしまった。



咄嗟に突き出した両手をズタズタに切り裂かれ、

雷撃に包まれたことで制服も焼け焦げたようだな。



そのうえで全身を痺れさせながら後方に弾き飛ばされたジェリルは滑るように試合場を転がっている。



「く…うぅ…っ。」



まだ意識はあるようだな。


防御結界に激突する寸前で動きを止めたジェリルは懸命に立ち上がろうともがいていた。



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