第2回戦、第4試合
《サイド:御堂龍馬》
さて、と。
ようやく僕の出番だね。
「それでは第2回戦、第4試合を行います!ジェノス魔導学園から御堂龍馬!デルベスタ多国籍学園からはカーター・ベルナンド!!両選手、共に試合場へお願いします!」
係員の指示を受けて試合場に上がって来る僕の対戦相手はカーターさんだった。
デルベスタ多国籍学園では3位の成績を持つ人物だけど。
ここでカーターさんに勝てなければ僕達の3回戦進出はありえない。
すでに2敗しているからね。
窮地に立たされている僕達にはもう敗北が許されないんだ。
全力で戦って勝利する必要がある。
そうして次の試合へ進むことを心に誓いつつ、
カーターさんと向かい合ってみた。
「こうして試合をするのは2回目かな?」
「ああ、そうだな。」
僕が問いかけたことで、
カーターさんは頷いてくれたんだ。
「前回は惨敗だった苦い思い出があるからな。出来ることなら汚名返上を叶えたいところだが、おそらく今回も勝てはしないだろう。根本的な実力に差があるからな。だが…ただで負けるつもりはない!」
…ただでは負けない、か。
それは勝てなくても一矢報いてみせるという意味かな?
あるいは引き分けを狙うつもりなのかもしれないね。
実際にどうかは分からないけれど。
カーターさんは一方的に宣言してから口を閉ざしてしまったんだ。
どうやらこれ以上話をするつもりはないらしい。
僕としても無理に話し合うつもりはないんだけど。
一方的に言われるだけっていうのはちょっとすっきりしないかな?
…まあ、良いけどね。
個人的には色々と言いたいことがあるけれど。
聞いてもらえるような雰囲気じゃないからね。
カーターさんから放たれる静かな威圧感を感じたことで会話は諦めることにしたんだ。
だけど…その代わりにね。
これだけは宣言しておこうと思う。
「悪いけれど、次の試合に進む為に僕も全力で戦わせてもらうよ。」
宣言してからカーターさんの顔をまっすぐに見つめる。
「………。」
何も答えないカーターさんだけど。
その表情には確かな恐怖が見て取れた。
強がってみせても実際に強くなれるわけじゃないからね。
心の動揺が表情に出てしまったようだ。
もしかしたら一度負けていることで、
消え去ることのない劣等感を感じているのかもしれない。
…実際にどうかは分からないけどね。
だけどもしもそうだとしたら、
それは僕も同じ気持ちだから何となくわかる気はするかな?
頑張れば勝てるかもしれないと思える相手との戦いなら劣等感なんて感じないんだ。
だけど。
圧倒的な実力差を痛感してしまうとね。
どうあがいても勝てないんだって心が理解してしまうんだよ。
その結果として劣等感を感じるようになってしまうんだ。
…僕でさえ彼に対してはそう思うからね。
きっとカーターさんから見ても、
僕はそういう存在なんじゃないかな?
だからたぶん。
カーターさんにとってこの試合は僕に勝つことが目的ではなくて、
カーターさん自身の心が抱える劣等感との戦いなんだと思う。
勝てないと思い込んで僕から逃げ出すか。
それとも勝てると信じて僕に挑むか。
自分自身の心と向き合おうとしているんだと思うんだ。
そんなふうに推測しながらね。
試合開始を待つことにした。




