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THE WORLD  作者: SEASONS
4月14日
590/1317

真哉の成長?

「それでは準備はよろしいですね?」



二人の会話が終わったのを見計らっていた審判員が話し掛けてる。


真哉とフェイによる注目の戦いがついに始まろうとしてるのよ。



「いつでも良い。」


「早く始めようぜ!」


「それでは試合、始めっ!!」



戦う気満々の二人の意志を確認したことで、

審判員が試合開始を宣言したわ。



開始の合図の直後に現れる二人のルーン。



真哉の手には『ラングリッサー』が、

フェイの手には『ファルコン』が握られてる。



どちらも身長を遥かに越える長さだけど。


見た目の迫力だけで見れば真哉の槍のほうが強そうには見えるわね。



でも、ね?



ルーンは見た目で決まるものじゃないのよ。



フェイの槍はいたって単純かつ簡素な普通の形で、

魔力という光で作られているだけの一般的な槍だと思う。



見た目は、ごくごく普通の鉄の槍って感じ?



だけどフェイの槍にはね。


一つだけ大きな特徴があるわ。



槍の先端、30センチくらいある研ぎ澄まされた刃には轟々と燃え盛る炎が宿っているのよ。


真哉のボルガノンを遥かに凌ぐ熱気を持つ紅蓮の炎は触れれば熱いどころの騒ぎじゃないわ。



直接触れなくても火傷できるくらい危険なの。



だけどね。


フェイの場合はルーンの能力なんておまけでしかないのよ。



フェイの実力は槍の攻撃力というよりも、

圧倒的な『腕力』にあるから。



速度を重視する真哉とは系統が違うけれど。


真哉を凌ぐ筋力と運動神経を持っているのよ。



一言でいうならパワーファイターってやつね。



圧倒的なまでの物理的な破壊力こそが、

フェイが真哉を上回る最大の理由でもあるわ。



だから魔術師としてよりもね。


武術に重点を置いているのよ。



まあ、真哉もそうなんだけど。


実力的にはフェイが圧倒的に上ね。



でもね?


だけどね?



そんな二人だからこそ出来る試合が見れるのよ。



同時に動き出す真哉とフェイ。


体勢を低く構える真哉の構えはボルガノンね。



対するフェイは槍を下段に構えて、

真哉を迎え撃つ構えをとっているわ。



「行くぜっ!!」


「過去の試合と同じ歴史を繰り返すつもりか?」



指摘するフェイの言葉を真哉は笑って聞き流してる。



「んなつもりはもちろんねぇよ。だけどな、あいつらにも俺が成長してるってとこを見せてやらねえと、色々とうるせぇんだ。」



…ん?



あいつらって…私達のことよね?



真哉が何を考えているのかは知らないけれど。


見た目はいつもと同じ構えでいつもと同じように飛び出したわ。



「ぶっとべっ!ボルガノン!!!」



勢いよく燃え盛るラングリッサーの炎。


何も変わらない真っ直ぐな突撃を見たフェイは真哉に向かって槍を突き出してる。



…だけどね?



フェイの槍は真哉に当たらずに空ぶったのよ。



「ははっ!いつまでも俺をなめるんじゃねえぜ!」



直線じゃなくて。


側面に回り込んだことで、

フェイの攻撃を回避したみたい。



…って!?



冗談でしょ!?



今まで突進しか出来なかったくせに、

とうとう方向転換を覚えたの!?



…うそよっ!!!



絶対にありえないわっ!


何かの間違いのはず!!



むしろ勢いが付きすぎたせいで、

よろけて方向がブレたって言われた方が納得できる気がするわ。



それくらい異常な出来事に思えたのよ。



…嘘でしょ?



あの馬鹿が回避を覚えるなんて…っ!



他の誰かならごくごく普通の出来事なんだけど。



真哉がしたっていうだけで、

すごく高度な技術を見せつけられたような気がするのがものすごく気に入らないわ!



馬鹿は馬鹿らしく真正面から当たって砕ければいいのに〜!!



無駄に賢くなろうなんて思わなくて良いのよ!!



なんて思ってる間にも。


フェイの槍の軌道から逃れた真哉は、

スキだらけの背後に回り込んで満面の笑みを浮かべながら斬りかかろうとしてた。



「もらったーっ!!!」



勢いよく槍をぶんまわしてフェイを叩き潰そうとしてたんだけどね。



「…無駄だ。」



フェイは背後からの奇襲をあっさりと捌いてしまったのよ。


攻撃を外した勢いをそのまま利用して、

槍を背中に旋回しながら真哉の大振りをなぎ払ってしまったの。



…うわぁ~。



なにこれ?



…これはこれで意味不明よね?



背後からの攻撃まで捌くなんて、どこの達人なのよ?



どう考えても魔術師の戦い方じゃないわ。



「悪くはない動きだ。だが、その程度の不意打ちでは俺に傷一つ付けられないぞ?」



余裕の表情で宣言するフェイを見た真哉は、

笑顔を浮かべながら僅かに後退して距離をとってる。



「はっ!そんな簡単に勝てるとは最初から思ってねえよ。今のは小手調べだ。ここからだ!ここから俺の本気を見せてやるぜ!!」



更なる攻撃を仕掛けるために、

低く低く槍を構える。



緑色に光る槍はソニックブームの構えね。



「行くぜ、フェイ!!これが俺の最速だ!!!」



勢いよく飛び出す真哉は試合場を削り取りながらフェイに向かって突進したわ。



「ソニックブーム!!!」



最高最速の突撃よ。


進行方向の軌道上に沿って試合場を破壊しながら突き進む真哉の槍がフェイの体を捕らえようとしてる。



…それはまあ、良いんだけどね。



「動きが見えすぎだ。」



瞬時に反応したフェイは槍を突き出して対応してみせたわ。



破壊されていく試合場の直線上に向けてルーンを構えたのよ。



これじゃあ、ダメね。



私の時と同じで、

動きが見えすぎなのよ。



いくら速くても簡単に見切れる攻撃だと意味がないわ。



だから真哉の攻撃は届かない。


フェイも難なく受け止めてしまうのよ。



「ちっ!」



ぶつかり合う二人の槍。


真哉の風を受けても全く消える様子のないフェイの炎が実力の差を物語っているわね。



だから、ということもないでしょうけど。



真哉の突撃を受け止めたフェイは余裕の笑みを浮かべていたわ。



「一応聞くが、この程度か?」


「…だと思うのか?」



フェイの言葉を聞いた真哉も笑顔を浮かべてる。



だけどそれは負け惜しみとかそういうことじゃなくて、

何かを企んでいるような表情だと思う。



割と付き合いが長いからね。


何となく分かるのよ。



こういう時の真哉は必ず何か企んでるはずなの。


そしてその企みが上手くいってる時の表情なのよ。



「こうもあっさりと受け止められるとはな。だが、手加減はしねえと言ったはずだぜ?」



何かを企んでいる真哉は槍を一回転させて上段に構えてから一気にフェイの頭上から切り掛かったわ。



「キルスラッシュ!!!」



真哉の膨大な魔力が槍に流れ込んで、

強力な威力を秘めた斬撃がフェイに襲い掛かる。



その攻撃を見たフェイは両手に槍を持つことで防ごうとしていたけれど。



…真哉の威力に押し負けてしまったようね。



構えた槍が真っ二つに折れてしまったのよ。



「…なっ!?」



驚愕に染まる表情を見て喜ぶ真哉がさらに調子に乗っていたわ。



「もらったー!!!」



振り下ろす真哉の刃がフェイの体をしっかりと切り裂いたのよ。



『ザシュッ!!』って、

肉が裂ける音がはっきりと聞こえたの。



…うわぁ~。



痛そ〜。


直撃よ直撃。



龍馬がぶっ飛ばされた時も思ったけど。


真哉の攻撃って遠慮ってものがないわよね?



普通に考えたら死んじゃうんじゃない?って思う戦い方なのよ。



…見てるだけで痛々しいわ。



でもね。


だからこそ奇跡が起きたの。



真哉との対戦において。


初めてフェイが膝をついたのよ!



「ぐっ…あっ…!!」



よろめきながらも即座に後退したフェイの行動力は素直に凄いと思うわ。



私ならもうとっくに終わってると思う。



だけど真哉はフェイを逃さないためにすかさず追撃に出たのよ。



「逃がさねえぜ!!!」



追い撃ちをかけようとする真哉だったけど。



「ふんっ!!」



フェイは新たに槍を作り出して、

真哉の攻撃を受け止めて見せたわ。



…すご…っ!!



思いっきり体を斬られたはずなのに。


あれだけの深手を負いながらも真哉の攻撃に対応してみせたの。



…私なら絶っ対に無理!!



さっきの一撃だけで確実に負けてると思う。



それなのに。


真哉の一撃を受けてもまだまだ戦い続けるみたい。



それぞれの槍をぶつけ合って動きを止める二人。



呼吸を整えようとするフェイに、

真哉は再び切り掛かっていったわ。



「キルスラッシュ!!!」


「…無駄だっ!!」



フェイは襲い掛かってくる真哉の槍を一瞬だけ槍で受け止めてから、

今度は押さえ込まずに受け流したのよ。



勢いをそらされた真哉の一撃は試合場に突き刺さって試合場の一部を断裂させてた。



「…ははっ。威力だけはおそろしいものだな。だが…同じ技を何度も受けるほど愚かではない!」



真哉の槍が試合場を貫いた瞬間に、

今度はフェイが攻め込んだのよ。



鳳凰翼ほうおうよく!!」


「しまっ…!?」



戸惑う真哉に側面から放たれたフェイの全力の突き。



これはもう回避不可能ね。



ボルガノンやソニックブームの使用後ならまだ逃げるという選択肢があったかもしれないけれど。


全力で大技を放った直後の隙はすぐには立て直せないと思う。



そのせいで。


燃え盛る炎が真哉の体に直撃してしまったのよ。



『ドスッ!!』と真哉の胴体を貫いて、

背中から飛び出す刃から生まれる激しい炎が一気に真哉の体を包み込んだの。



「燃え尽きるが良い。」



フェイの言葉の直後に。


灼熱の炎が真哉の体を内側と外側の両面から焼き尽くしたわ。



「ぐあああああああああああああああああっ!!!! 」



響き渡る真哉の叫び声。



さすがこれは笑えないわね。



全身を焼かれた真哉はラングリッサーを落としてしまったわ。


そしてそのまま試合場に崩れ落ちていったのよ。



「が…っ?かはっ…!!」



口から血を吐いてる。


これはもう動けないでしょうね。



槍が体を貫通したのよ?


どう見てもこれ以上戦える状態じゃないわ。



「ここまでだな。」



勝利を確信するフェイだけどね。



真哉に斬られた傷口を片手で押さえているから、

余裕があるようには見えないわ。



たぶん、危険な状態なのはフェイも同じなのよ。



だからこそ全力で勝ちを急いだんじゃないかしら?



「…悪いな。少しやりすぎたか…?」


「ち…っ!今回も俺の負けか…っ。」


「そうだな…。だがさっきの一撃は称賛に値する。お前も十分強くなっている。それは俺が認めよう。」


「はっ!どうでもいいさ。勝てなければ、意味が、ねぇ…。」



言葉を途切れさせた真哉は、

そのまま意識を失って倒れたわ。



この瞬間に。


真哉の敗北が確定したのよ。



「試合終了!!!」



結局、フェイの勝利で終わっちゃったわね。



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