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THE WORLD  作者: SEASONS
4月14日
584/1307

第2回戦、第2試合

「それでは試合を続行したいと思います!!第2回戦、第2試合!ジェノス魔導学園、常盤沙織!デルベスタ多国籍学園、マリア・パラス!試合場へお願いします!!!」



係員の合図を受けて試合場へ向かう沙織だけど。


対戦相手は同じく大賢者のマリア・パラスだった。



互いの学園を代表する最強の魔術師同士の戦いになる。



この二人が試合を行うのは今回で3回目だけど。


以前までは全くの互角だったから、

どういう展開になるのかは予想出来ない。



さすがの沙織も新たな力に目覚めたばかりですぐに強くなれるわけではないし。


そもそも治療に特化しかけている現状では魔法使いとして成長しても攻撃力は変わらないだろうから、

確実に有利になったとは言いにくいだろうね。



それに対戦相手のマリアさんだって何らかの成長はしているだろうから、

今の沙織でも余裕は見せられないと思う。



…どうなるのかな?



試合場で向かい合った二人は互いに一礼してから話し始めたようだ。



先に話し掛けてきたのはマリアさんだった。



「こうして向かい合うのは3回目ね。」


「ええ、そうね。」


「どちらが大賢者として上なのか。ちゃんとはっきりさせてみたいと思っていたから、私としては望むべき対戦なんだけど…。沙織としてはどうかしら?」


「…う~ん。そこまで考えたことがないから分からないわ。」


「あら、そうなの?私は結構考えてるわよ。どこの学園の大賢者が本当の意味での『最強の魔術師』なのかな~ってね。」



マリアさんの言葉を聞いた沙織は首を傾げている様子だ。



だけどそれは興味がないというよりも、

すでに答えが出ているから考える意味がないという感じかもしれないね。



マリアさんはまだ何も知らないだろうけど。


僕や沙織以上の魔術師がすぐ傍にいるからだ。



ジェノス魔導学園においてもしも沙織が辞退をしたら、

大賢者の称号は即座に彼に移行するだろうかね。



現時点で学園の最高峰にいるのは彼だ。


そしてどの学園の大賢者であっても、

彼を超えられるとは思えない。



だから。



マリアさんの考える最強の魔術師という定義が大賢者の頂点だとしたら、

それはもう議論の余地さえないだろうね。



「私は…魔術の『数』だけが強さだとは思わないわ。」


「そう?それも強さの証の一つであることは間違いないわよ。少なくとも、起こせる『奇跡』は多いに越したことはないでしょう?」



マリアさんは魔術を奇跡だと表現した。



…確かにそうかもしれない。



僕達の使う魔術は奇跡と言えるのかもしれないね。



あらゆる傷を治療し。


あらゆる破壊を行える。



天候さえも操り。


国を発展させてきた。



善と悪を兼ね備えた異能力。


これを奇跡と呼ぶことに異論はない。



…何故、魔術という力が存在するのか?


…何故、僕達は使うことが出来るのか?



それは誰にも分からない。



だけど僕達は確かに力を持っていて。


数々の『奇跡』を起こすことが出来る。



その事実は偽りのない真実だ。



「より多くの奇跡を起こせる魔術師こそが本当の意味での大賢者だと私は思ってるの。そういう意味では上矢遥さんは強敵だと思うわ。まあ、魔術にこだわってルーンに見向きもしないのはどうかと思うけどね。…って、あ~、でもね。別に同意してほしいわけじゃないから聞き流してくれても良いわよ。」



無理に自分の意見を押し付けるつもりはないようだね。


否定されても構わないという態度のマリアさんは試合前の会話を終えたようだ。



「………。」



中途半端に会話が終わったことで首を傾げる沙織は困惑してる感じかな?



結局、マリアさんが何を伝えたかったのか分からないからね。



だけど戦う意志はピーターと同等かそれ以上にも思える。



『勝つこと』への執着を示す彼女の意志は侮れないと思うんだ。



…だけど…。



今は沙織の意志も気迫に満ちていた。



「私は称号に興味がないから誰が大賢者でも構わないわ。」



…やっぱりね。



沙織はそう言うと思っていたよ。


沙織の称号は沙織が望んで手に入れたものじゃないからだ。



…ただ妹さんのために。



瞳の治療という目的のために努力した結果が大賢者に至ったというだけで。


沙織自身が望んで手に入れたものではないんだ。



「…でもね。試合で負けるつもりはないわ。私は勝って彼に示さなければいけないの。私の『実力』というものを…ね。」



…どうやら。



僕や翔子だけじゃなかったらしい。



沙織も同じなんだ。



彼に追いつこうとしている。


その気持ちが伝わる発言だった。



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