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THE WORLD  作者: SEASONS
4月14日
575/1294

第2回戦、第1試合

《サイド:深海優奈》



はうぅぅぅ~。



いよいよ試合が始まってしまいます。


ついに私の出番が来てしまうんです。



「それでは!ただ今より第2回戦第1試合を行います!!」



午後2時丁度に進行を開始した係員さんの合図によって、

私の試合が始まろうとしていました。



「ジェノス魔導学園からは深海優奈さん!!試合場へどうぞ!」



係員さんに呼ばれてしまったので試合場に向かうことにしました。



…ですが、緊張で上手く歩けません。



手と足が一緒に出ちゃう感じです。



ちょっぴり恥ずかしいですね。


それでも緊張のせいで上手く動けませんでした。



…か、体が震えてしまいます…っ。



大会で初めての試合だからです。



戦うことを考えるだけで緊張が高まってしまいました。



どうしても不安を感じてしまって、

自然と足が震えてしまうんです。



…あうぅぅ~。



向こうからはどんな人が出てくるのでしょうか?



私でも戦える人なのでしょうか?



間違っても相手の学園の1位の方とは戦いたくありません。



ですが、誰が出てきたとしても安心なんてできません。



私の欠点は欠点のままですし。


魔術師としての実力は初心者でしかないからです。



学園ではなんとか勝ち続けることができていましたけれど。



今の私は欠点だらけです。



単純な魔術戦だったらほぼ無敵状態で戦えるのですが。


接近戦になってしまったら私に出来ることは何もありません。



直接的な魔術は吸収できませんし。


反撃しようにも魔術の詠唱の遅さは致命的だからです。


そのせいで絶対に勝てるという保証はすでにどこにもないんです。



…ですので。



出来ることならあまり怖くない人が出てきてくれると嬉しいのですが。



私の対戦相手はどんな人なのでしょうか?



そんなふうに考えている間に対戦相手の名前が発表されました。



「デルベスタ多国籍学園からはピーター・フロンドさん!!試合場へどうぞ!」



呼び掛けられたことで試合場に向かうピーターさんは私よりも小柄な男の子でした。



年齢も下でしょうか?


多分、一つか二つ年下かな?と思います。



試合場に向かう私とピーターさんは、

騒がしいほどの勢いで盛り上がる会場で多くの人達の注目を浴びながら試合場へと歩みを進めました。



その間にも不安と緊張で震える体は止まりません。



自分でも情けないとは思うんですけど。


どれだけ願っても体の震えは収まらないんです。



…うぅぅぅ。



恐怖という程ではないんです。


けれど場違いな場所に立っているという不安が私の心を支配している感じです。



それでも気持ちを落ち着けるために何度か深呼吸を繰り返していると、

対戦相手のピーターさんから話し掛けてくれました。



「ねえねえ、お姉ちゃんは幾つ?」



思ったよりも幼い声でした。


もしかすると予想よりもさらに年下なのでしょうか?



「えっと…一応、16歳…です。」



4月4日生まれですので、

ついこの間が誕生日でした。



ささやかではありましたけど。


悠理ちゃんにお祝いしていただいたので凄く嬉しかった思い出があります。



「へぇー、それじゃあ、僕より2つ上だね。」



あぁ、やっぱりそうなんですね。


私の予想は外れていなかったようです。



2つ違いと言うことはピーターさんは14歳ということですね。



…って?


…あれ?



ジェノスは15歳からという年齢制限がありましたけど。


デルベスタは違うのでしょうか?



今はまだ入学式があったばかりの4月ですし、

前年度から大会に参加しているとしたら、

12歳か13歳で入学していたのでしょうか?



他の学園のことも何も知らないのですが。


私よりも年下なのにこうして大会に参加できる程の実力があって、

堂々とした態度でいられるピーターさんが少し羨ましいです。



私とは違って、

大会を楽しんでいるように見えるからです。



「ねえねえ、お姉ちゃん。緊張してるの?」


「…えっ、あ…う、うん…。」



上手く答えられずに言葉に詰まってしまいました。



…ダメすぎますね。



そんな自分を恥ずかしくて、

そのままうつむいてしまいました。



いつもいつもそうなんですけど。


自分でも情けないなって思います。



もっと頑張らなきゃいけないと分かってはいるのですが。


それでも自信を持って向かい合う勇気が私にはまだありません。



「す、すみません…。」



何故か謝ってしまいました。



ですがそんな私を見ていたピーターさんは、

笑顔で応援してくれました。



「あー、ごめんね。そんなに落ち込まなくてもいいよ。不安なんて考えるだけきりがないから、もっと気楽に考えた方が良いよ!」



…はうぅぅ。



年下の子に気を使われてしまったんです。


余計に自分が情けなくなってしまいました。



「…すみません。」


「えーっと、何も考えずに試合に集中した方がいいよ?そうじゃないと…。」



ピーターさんは私を眺めながら無邪気に微笑んでいます。



「そうじゃないと、僕が勝っちゃうよ?」



自信たっぷりの笑顔です。


その表情には一切の迷いが見えません。



すでに勝利を確信しているかのような強気な態度でした。



…これでは、ダメですね。



気持ちという意味で、

すでに私はピーターさんに負けているようです。



今のままの私では勝てません。


もっと強くならないとダメなんです。



…心を、もっと強く!



そんなふうに自分に言い聞かせてみると。


少しずつですが体の震えが収まってきました。



…す~。


…は~。



繰り返す深呼吸のおかげで気持ちも落ち着いてきました。



まだまだ普段通りとは言えませんけれど。


ピーターさんと向き合えるようにはなってきた気がします。



「やっとその気になったみたいだねー。」



先程と同じ無邪気な笑顔なのですが。


その表情はまだまだ勝利を確信しているように思えます。



…もうすでに格下に見られているようですね。



試合が始まる前から怯えてばかりいますので、

そう思われても仕方がないと思います



「全力で戦った方がいいよー。全力でね。」



笑顔のままで会話を打ち切ったピーターさんは、

試合の開始を待っているようです。



…あうぅぅ~。



本当に始まってしまうんですね。



「…が、頑張ります…っ。」



心の中の不安はまだ消えませんけれど。


せっかく任せていただいた試合ですので、

何もせずに負けるわけにはいきません。



期待してくれている先輩達の為にも。


そして一晩中付き合って頂いた総魔さんの為にも。



…私は勝ちます!!


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