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THE WORLD  作者: SEASONS
4月14日
572/1330

相談したほうが良い?

《サイド:深海優奈》



…はうぅぅぅぅぅ。



再び控え室に来てしまいました。



…と、言っても。



中に入るのは今回が初めてです。



先程は扉の前で隠れていただけですので、

室内に入るのは今回が初めてになります。



個人的には凄く…と言うか、非常に…と言うか。


とても居心地が悪いと感じてしまうのですが。


試合場を離れた私達は、

控室で体を休めながら昼食が届くまで待つことになってしまいました。



…うぅぅぅ。


…こ、困りましたね。



総魔さんとどう接すればいいのかが分からないからです。


総魔さんは気にしていない様子なのですが、

だからと言って私も気にしないと思えるほど精神的に強くはありません。



だからどうにかして仲直りをしたいと思うのですが、

私から話しかける勇気もないんです。



そのせいで何も出来ずにいるのですが、

昼食が到着するまでの間は特にすることもありません。



気持ちを落ち着かせることも、

気分を変えることも難しそうです。



…ど、どうしよう?



何もすることがなくて、

室内を見渡してみました。



…お部屋は広いです。



私の目の前には四角いテーブルがあります。


大きさは2メートルくらいの正方形で、

先ほど総魔さん達が話し合っていたテーブルです。



私が今座っている席に理事長さんがいたと思います。



そして私の向かい側の席に北条先輩が座っています。


先程は総魔さんが座っていた場所です。



北条先輩は一番入口に近い場所を選んで席を確保しているような気がします。



…でも。



全ての料理を食べ続ける北条先輩にとって席順はあまり意味があるようには思えません。



どこにいても食べる量は変わらないと思うからです。


それでも北条先輩は入口側にこだわっている様子でした。



選択肢がある限り、

頑なに席を確保し続けているからです。



確保といってもただ座っているだけなのですが、

他の誰にも席を譲らないという意志だけはものすごく伝わってきます。



そんな北条先輩の横になるテーブルの左側(私から見てです)に御堂先輩が座っているんですけど。


二人は仲良く雑談しながら時間を潰しているようですね。



笑い合う二人の様子からは男性同士の友情というか、

信頼のようなものが感じられる気がします。



私と悠理ちゃんも、

周りから見るとこんなふうに見えるのでしょうか?



自分のことはよくわかりませんけど。


御堂先輩の隣の席に座っている沙織先輩は翔子先輩と仲良くお話をしています。



並び的には私の左隣になるのですが、

北条先輩の向かい側の席です。


扉から見て一番遠い席に翔子先輩は座っています。



さきほど米倉元代表が座っていた席ですね。


大体いつも北条先輩の向かい側というか、

反対側の席を選んでいるような気がします。



その隣の席に私がいて、

総魔さんは空いている右側(私から見てです)の席に座っています。



なので。


私から見て左隣に翔子先輩がいて、

正面に北条先輩がいます。



そして左手側に御堂先輩と沙織先輩がいて、

右手側に総魔さんがいるという並びです。



宿泊用のお部屋にあった大きなテーブルとは違って、

真四角のテーブルは二人ずつ座れる程度の大きさなので、

3人が並んで向かい合えるような大きさはありません。



そのせいで、二人だったり一人だったりする席順になっています。



だからと言って不満が出るようなことはありませんけれど。


特に何かをするわけでもない空いた時間というのは困ってしまいます。



こういう時にこそ総魔さんとお話ができればあっという間に時間が過ぎると思うんですけど…。



今の心境というか、

私の立場では話しかけにくいと感じてしまいます。



つい先ほど、この場所で総魔さんのお話を盗み聞きしてしまったからです。



その事実を忘れて楽しくお話が出来るほど、

私は器用な人間ではありません。



ですので。



今はまだ総魔さんとはお話できません。



だからと言って北条先輩や御堂先輩とお話するようなことは特にありませんし。


翔子先輩と沙織先輩の間に入っていく勇気もありません。



知らないことが多いせいで話題についていけないからです。



だからどうしても上手く入っていけないんです。



そのせいで昼食までの時間をどうしようかとずっと考えていました。



まず最初に思い浮かぶことは先程の総魔さんの話を先輩達に話すかどうか?ということです。



その一点をひたすら悩んでいました。



話してしまえば私の気持ちは楽になりますし、

先輩達も事情を理解してくれると思います。



…ですが。



総魔さんはどうでしょうか?



…もしかしたら。



知られたくないと思っているかもしれません。



もしも知って欲しければ、

自分から話をしているはずです。



ですが総魔さんは何も言いませんし、

聞いても答えようとはしない気がします。



今までがそうでしたので。


もしも私が何も知らないままだったとしたら、

総魔さんは本当に誰にも話さなかったと思います。



そういう雰囲気を感じてしまうんです。



それでも。


もしかしたら自分からは言い出せないだけで、

本当は誰かに聞いてほしいのかもしれません。



誰が味方で誰が敵なのかがはっきりとしない状況で安易に助けを求められないのかもしれませんけれど。



本当は誰かに助けを求めているのかもしれません。



…そんなふうにも思うのですが。



それでも総魔さんの個人的な事情を、

私の独断で勝手に話してしまうのはしてはいけない気がします。



最終的には総魔さん自身が判断することだと思うからです。



今はまだ、私が勝手に話すわけにはいきません。



本当は先輩達に相談して総魔さんを引き止めて欲しいと思うんですけど。


話してしまうことで総魔さんがいなくなってしまうかもしれないという不安を感じているのも事実だからです。



真実を知っても私は何も出来ません。


誰かに相談することさえ出来ないんです。



私はどうすれば良いのでしょうか?


せめて翔子先輩にだけでも相談したほうが良いでしょうか?



…ですが。



翔子先輩が知ってしまったら。


きっと翔子先輩は私と違って総魔さんと話し合おうとするのではないでしょうか?



あるいは無理やりにでも総魔さんを引きとめようとするのではないでしょうか?


そうなれば結果的に総魔さんを追い詰めることになるかもしれません。



…だとすれば。



御堂先輩に相談するべきでしょうか?


ですが、それも危険な気がします。



御堂先輩の性格なら総魔さんと一緒に戦うと言いそうだからです。


そうなれば御堂先輩を戦争に巻き込んでしまうことになります。



ですが、総魔さんはそうなってしまうことを望んでいないはずです。



総魔さんは言っていました。


御堂先輩達を『巻き込みたくない』と言っていたんです。



それなのに。


私の勝手で先輩達を巻き込んでしまったら、

私はもう本当に総魔さんに合わせる顔がありません。



…だとしたら。



どうすれば良いのでしょうか?



ただただ悩み続けてしまいます。



…総魔さん。



私に出来ることは何ですか?



視線で訴えてみましたが。


総魔さんはそんな私の視線に気付いてはくれませんでした。



…いえ。



気づいていても気づかないふりをしているのかもしれません。



総魔さんが何を考えているのか分かりませんけれど。



結局、私は何も出来ないままです。



ただただ時間だけが過ぎてしまい。



気が付けば正午になっていました。



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