中央の試合場
《サイド:深海優奈》
…うわわわ~。
北条先輩の食欲は何度見ても驚かされますね。
ですが今はそれどころではありません。
早めに朝食を終えたあとに、
急いで個室に戻りました。
一晩中外出していたからお風呂に入れませんでしたし、
服も着替えられていないからです。
さすがに今からお風呂に入るのは時間的に無理があるんですけど。
それでも服を着替えて身だしなみを整えるくらいの努力はしたいと思います。
その間に沙織先輩や翔子先輩が食器の後片付けをしてくれているようなのですが、
私の準備が整う頃にはすでに7時50分になってしまっていました。
「少し急いだ方が良いかもしれないわね。」
「す、すみません…。」
私が手間取ってしまったからなのですが。
「ふふっ。大丈夫よ。」
沙織先輩は優しく私の頭を撫でてくれました。
「一生懸命頑張った優奈ちゃんを責めたりしないわ。」
沙織先輩の意見に翔子先輩と御堂先輩が頷いてくれています。
「あ、ありがとうございます…。」
ちょっぴり恥ずかしくなってしまったのですが。
すでに総魔さんも着替え終えて待ってくれています。
北条先輩はお腹一杯になるまで食事を続けていたからか、
用意された全ての朝食を食べ終えたことで満足している様子でした。
「仕方がねえな。そろそろ行くか!」
満足そうな表情で部屋を出る北条先輩の後に続いて、
御堂先輩、沙織先輩、翔子先輩が部屋を出ました。
そのあとを追い掛ける私に続いて総魔さんが歩きだしたことで、
ようやく私達は大会の会場に向かうことになりました。
…まずは一階まで、ですよね。
3階から1階に降りて会場に向かいます。
その途中で出会った係員さんの誘導によって、
会場の中心に位置する試合場まで案内されました。
O型のグランパレスの丁度真ん中ですね。
ここから見て北側と南側にはそれぞれ小さめの試合場が4つずつあるのですが、
中央の試合場が最も大きくて学園と比べると5倍くらいの広さがあるように思えます。
当然、開始線の位置もかなり距離が離れているので遠距離攻撃が有利な気がするのですが…。
どうなのでしょうか?
実際に試合をしてみないと分かりませんけれど。
試合場そのものもかなり頑丈に出来ていそうな気がします。
…多分ですけど。
総魔さんや翔子先輩がアルテマ級の攻撃を仕掛けない限りはそうそう簡単に壊れないような気がします。
全部で9つの試合場。
ここを含めた9つの試合場で試合が行われるみたいですね。
「この試合場は決勝戦で使うのよ~。」
周囲を眺めていたら翔子先輩が教えてくれました。
…ということは。
中央の試合場は決勝戦でしか使わないということでしょうか?
南北にある試合場は、
決勝戦以外の試合で使うそうです。
私は初参加なのですが、
先輩達は何度も参加しているので当然この試合場で決勝戦を勝ち抜いてきたのだと思います。
…そうなると。
この一番広い中央の試合場にたどり着くことが最初の目標なのかもしれませんね。
もちろん最終的には優勝を目指すのですが、
その前にここへ来れるように勝ち抜くことが重要だと思います。
…それは分かるんですけど。
すでに集まっている他の学園の方々に視線を向けてみると、
どう見ても私よりもずっとずっと強そうな方々ばかりに思えました。
周りを見ているだけで私の心は不安で一杯になってしまったんです。
…本当に私なんかが参加しても良いんでしょうか?
たった一晩でどれだけのことが身についたのかは私自身にも分かりません。
ですが。
先輩達の足を引っ張らないように。
出来る限り頑張りたいと思います。




