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THE WORLD  作者: SEASONS
4月13日
537/1294

魔力の同調

《サイド:美袋翔子》



うんうん。


なるほどね~。



優奈ちゃんのことは大体理解出来たと思うわ。


要するに吸収の能力は完璧じゃなかったってことよね?



つまりはそういうことなのよ。



「吸収にも欠点があるのね~。」


「…いや。」



呟く私の言葉を聞いて総魔は首を振っていたわ。



「これは吸収の能力の問題ではない。あくまでも優奈の『意識』の問題だ。」


「どういうこと?」


「優奈には危機感が足りていないということだ。」



危機感?



「今まで無傷で勝ち上がってきたことも一つの原因だとは思うが、緊急事態に対応出来るだけの応用力が欠落しているのが問題になる。」



…あ〜、うん。



そう言われると確かに優奈ちゃんに危機感は感じられないわね。


魔術の詠唱だって鈍足級だし。


運動も苦手そうだし。


慌てることはあっても、

危機感は無さそうなのよ。



「そこを補い、あらゆる状況に対応出来るようになれば全ての魔術を吸収出来るようになるはずだ。」



…確かにね〜。



焦りや恐怖はあると思うけど。


それが危機感に繋がるかどうかは別問題なのよ。



優奈ちゃんの課題は急ぐこと。


ただそれだけのようね。


それさえ出来れば欠点は解消されるみたい。



「そういえば総魔はどんな状況でも魔術や魔力を吸収できてたわよね?」


「ああ、その技術が優奈には欠けているということだ。」



なるほど。


そう考えればそれほど難しい話じゃない気がするわ。



実際に総魔は実証してるわけだし。


出来ないことをやれって言ってるわけじゃないのよ。


優奈ちゃんだって頑張ればできるようになるはずなの。



…って。



口でいうのは簡単なんだけどね~。



そうそう上手く行かないのが現実なのよ。



でも、まあ、あとは優奈ちゃんの努力次第なのかな?


ひとまずそんなふうに結論を出して、

話題を変えることにしたわ。



私にはもう一つ、

どうしても聞きたいことがあるからよ。



「ねえねえ、総魔?」


「…なんだ?」


「もしも出来るなら、私も教えてほしいな~って思ってることがあるんだけど…。」


「何が知りたい?」


「魔力の『供給』よ。あれって結構便利よね?」



私が言葉にした瞬間に、

沙織が敏感に反応していたわ。



沙織も興味があるのかな?


一心に総魔に視線を向けてるわね。



…だけど。



総魔は静かに首を左右に振っちゃったのよ。



「残念だが翔子には無理だろうな。あれは魔力を同調させられる者にしか出来ない。」


「同調?」


「ああ、そうだ。」



総魔は私の言葉に頷いてから説明を続けたわ。



「そもそも翔子は吸収という能力の理論を理解出来るか?」



吸収の理論?



そう言われてもね~。



何も思い浮かばないから沙織に視線を向けてみたんだけど。


沙織も分からないようね。



無言のまま首を左右に振ってたわ。



「さあ?全然分かんない。結局どんな理論なの?」


「俺と優奈の理論は手順が異なっているが、簡単に説明するなら俺の場合は魔術を分解してから、強制的に魔力を変換して自分の魔力として吸収している。」



うん。


それはまあ、何回か聞いた気がするわね。



「だが、優奈の場合はあらゆる魔術を分解することなく、そのまま魔力として取り込んでいる。」



それも聞いた覚えがあるわ。



「それが俺と優奈の違いだが、どちらにしても最終的な工程は同じになる。」



…工程?



「『魔力の同調』だ。異なる波動を持つ魔力を自分の魔力に変換する為に魔力の波動を自分に合わせる必要がある。」


「その同調ってどうするの?」


「ー言で説明するのは難しいが、俺の場合で言えば操作の能力によって実現出来る。魔力そのものを操作出来るからな。変換自体は難しいことではない。だが、優奈の場合は特性として直感的にそれが可能だと思われる。」



直感的に?


それってつまり。



「優奈ちゃんに理論はいらないってこと?」


「ああ、そうだ。そしてそれは翔子も分かっているはずだ。」


「私も?」



どういうこと?



「北条との試合で、翔子はアルテマを使っていたな?」


「…あ〜、うん。一応、ね。」



突然変わる話に思考が追いつかずに、

一瞬戸惑ってしまったわ。



総魔が試合を見ていたことは知らないけどね。


助けてくれたらしいことは沙織から聞いてるのよ。



「私もアルテマを使えるけど、それがどうかしたの?」


「翔子はどういう理論で魔術を構築した?」


「どうって言われても…。何となく出来るような気がして…?」




…って、あれ?



そこまで言って私も気が付いたのよ。


私も理論を理解してないってことにね。



なのに。


結果として魔術は完成しているの。



「…なんで?」


「それが魔力特性ということだ。」



戸惑う私を見つめながら、

総魔は説明を再開したわ。



「翔子のアルテマも、優奈の供給も、どちらも本来それぞれが持っている能力だと言うことだ。」



元々持ってる?


その言葉を聞いて、

今度は優奈ちゃんが総魔に問い掛けていたわ。



「あの…でも、私は…総魔さんに教えてもらって…。」


「俺はきっかけを与えただけだ。『理論』や『能力そのもの』を教えたわけではない。優奈が力を使えるようになったのは、俺が教えたからではなく、使い方を知ったからだ。」


「…だとしたら、私は総魔さんに教えてもらわなくても使えるようになっていたかもしれないということですか?」


「そうなるな。吸収を理解して同調を自在に行えるようになれば、魔力の供給は自然に出来るようになっていたはずだ。吸収と供給の差は自分に同調させるか相手に同調させるかという違いだけだからな。どちらにしても行うことは同じだ。」



あ~、なるほどね。


総魔の説明を聞いて、

私も理解出来た気がしたわ。



要するに総魔は操作の能力で間接的に魔力の供給を行うことが出来るっていうことよね?



それに対して優奈ちゃんは吸魔の能力で直接的に魔力の供給を行うことが出来るってことみたい。



その結果として同調という工程を行う事の出来ない私や沙織には魔力の供給は出来ないということになるのよ。



総魔と優奈ちゃんだけが出来る。



…というよりも。



優奈ちゃんが出来ることを総魔も出来るのかな?



そういうことなんだと思う。



…だとしたら?



「私のアルテマも、元々は私自身で使える魔術だったってこと?」


「ああ。俺の場合は翼を利用することで間接的にアルテマを使用することが出来た。」



だけど私は違うってこと?



「ルーンを媒体としているが俺とは根本的に異なっているはずだ。魔術を蓄積するのではなく、瞬間的にルーンに魔術を込めて発動することが出来ていたからな。」



…言われてみればそうかも?



「それが本家の実力と言えるだろう。」



本家の実力?


私のアルテマと、優奈ちゃんの吸収。



どちらも私達が気付かなかっただけで。


最初から私達が持っていた力。



たまたま総魔が先にたどり着いて名称を付けただけで。


順番が違っていたら私達自身で名前を考えて、

総魔が覚えていた可能性があったっていうことよね?



あらゆる魔術を自在に使いこなせる総魔だから私や優奈ちゃんと同じ現象を起こせるだけであって。


決して総魔にしか使えない能力じゃないってことなのかも?



それを私は理解したのよ。



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