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THE WORLD  作者: SEASONS
4月13日
534/1282

対極の食事内容

「せっかくだから、冷める前に食べるわよ~。」



私を真ん中の席に座らせてから、

翔子先輩は右隣の席に座りました。



「沙織も早く~。」


「ええ。」



左隣の席に沙織先輩が座ってくれました。


そのあとで大喜びで席につく北条先輩は、

翔子先輩の向かい側の席ですね。



「やっと飯だぜっ!!」



今にも飛び掛かりそうな勢いで料理に視線を向けています。



「嬉しそうだね、真哉。」



声をかける御堂先輩は北条先輩の隣で私の正面の席です。



今回も最後に残った場所に総魔さんが座るようですね。


御堂先輩の隣で沙織先輩の向かい側の席になります。



「全員、揃ったわね~」



全員が席についたことを確認してから、

翔子先輩が両手を合わせました。



「いっただっきま~す!」



元気一杯の翔子先輩に続いて。



「「いただきます」」



御堂先輩は言葉だけで、

沙織先輩は両手を合わせてからお箸を持ちました。



「よしっ!食うかっ!!」



待ってましたという感じで食事を始める北条先輩はテーブル一杯に並ぶ料理に視線を泳がせながら、

お昼同様にものすごい勢いで料理を口へと運んでいます。



その食欲は何度見てもすごいですね。



こういうのを底なしと言うのでしょうか?



凄すぎて見ているだけで胸焼けを感じてしまいそうです。



「…ったくぅ。もうちょっと落ち着いて食べなさいよね~。」



呆れ顔でぼやく翔子先輩ですが、

北条先輩の手は止まりません。



「腹が減ってんだ。細かいことは気にするな。」



豪快に食事を続けています。



「ホントに真哉は落ち着きがないわね〜。」



翔子先輩の言葉に答えることもなく食事を続ける北条先輩ですが、

御堂先輩と沙織先輩は特に気にしていない様子ですね。



もう見慣れてしまったからでしょうか?



私はまだそこまで達観できないので、

北条先輩の食欲を見て驚いてしまいます。



…うわわわぁ~。


…す、凄いです。



いろんな意味で尊敬してしまいます。



…ですが。



これはどうなんでしょうか?



沢山食べるのは良いことだと思うのですが、

明らかに食べ過ぎているような気がします。



お腹は平気なのでしょうか?



とても心配なのですが。


それよりも毎食沢山食べても『太らない』のは何か理由があるのでしょうか?



そちらのほうが気になったりします。



筋肉質でがっしりとした体格の北条先輩は、

とても贅肉があるようには見えません。



これだけ食べても太らない北条先輩が凄く羨ましいです。



…と。



考え事をしていたからでしょうか。



隣にいる沙織先輩が声をかけてくれました。



「食べないの?優奈ちゃん」


「…え?あ、いえ…。いただきます。」



慌ててお箸を手にとってから目の前の懐石料理と向かい合いました。



改めて料理を眺めて思うことは…すごく贅沢なご馳走ということでしょうか。



少なくともお家でこういった料理を食べたことがありません。



ジェノスは港町なので、お魚は豊富です。


そのおかげで魚介料理は一般的なのですが。


私の家は普通の家庭ですので、

それほど裕福というわけではありません。



ですので。



こんな贅沢なご馳走は初めて見ました。



ごく普通のお刺身程度ならどこででも食べられますけど。


これほど丁寧に作られた盛り合わせはそうそう経験出来ないと思います。



なんだか食べてしまうのが勿体無い感じがするほどです。



…とは言っても。



食べないと料理の意味がありませんので、

まずはお刺身からつまみ取ってみました。



透き通るほど綺麗なお刺身はたぶん鯛だと思います。


本来ならわさび醤油で頂くのが良いのかもしれませんけれど。


私はわさびがあまり得意ではないので、

いつもお醤油だけでいただいています。



パクリ…と食べてみたお刺身は、

ジェノスと変わらず、とても美味しく思えました。



「内陸部でもお魚が食べれるんですね。」



ジェノス以外でも食べれることを感心していると、

沙織先輩が理由を説明してくれました。



「共和国は常に資金不足だから街道の整備までは手が行き届いていないけれど。輸送に関しては魔術のおかげで他国よりも技術力があるから新鮮な食材が各町に出回っているのよ。」



あ〜、なるほど。


そういう利点もあるんですね。



「ただ、普通に輸送するよりも手間がかかるのは事実だから、私達が乗ってきたような簡易的な作りの馬車だと鮮度を維持するのは難しいでしょうね。」



ああ、やっぱりそうですか。


ちょっぴり期待してしまったのですが。


学園の馬車では新鮮な食材を運ぶのは難しいそうです。



「まあ、天城君ならその辺りも解決できてしまうのかもしれないけれど…ね。」



…総魔さんですか。



確かに総魔さんなら何でも出来ちゃいそうな気がします。



そんな期待を感じながら何気なく視線を向けてみると。


すでに総魔さんも食事を始めているようでした。



特に言葉を発することもせずに黙々と料理を口に運んでいます。



その姿を見てもすでに新鮮な感じはなくなってしまいましたけれど。



総魔さんが『格安定食』ではなくて、

『豪華な懐石料理』を食べているというのはどこか不思議な感じがしてしまいますね。



贅沢とは対極の位置にいるような雰囲気を感じていましたので。


こういう料理はなんとなく総魔さんに似合っていないようなそんな感じがするんです。



…って。



そう思うのは失礼でしょうか?



それでもこうしてみんなで食事ができるのは嬉しいと思います。



悠理ちゃんがいないのは寂しいですけれど。


たまにはこういう経験もあって良いと思います。



…いつもと雰囲気は違いますが。



とっても楽しいです。



静かに黙々と食事を進める総魔さんがいて。


落ち着いた雰囲気でみんなに笑顔を振り撒く御堂先輩がいて。


優雅な雰囲気で食事を楽しむ沙織先輩がいて。


全力で食事に挑む北条先輩がいて。


その北条先輩に呆れた雰囲気で冷たい視線を向けながらも、

私の為にこまめに料理を取り分けてくれる翔子先輩がいて。


ここにこうしていられることが、

とても幸せに思えました。



「馬鹿が食べ尽くす前に確保しておかないとなくなっちゃうわよ~。」


「…あ、はい。ありがとうございます♪」



料理を取り分けてくれる翔子先輩に感謝しながら、

私も夕食を楽しむことにしました。



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