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THE WORLD  作者: SEASONS
4月13日
524/1318

この世界の現実

《サイド:御堂龍馬》



ふう。


そろそろ1時間くらい過ぎたかな?



学園を出発した僕達が町を出て街道に出る頃には、

すでに8時を過ぎていたように思う。



はっきりとした正確な時間は分からないけれど。


ジェノスを離れる前の最後に確認した時点で8時になりかけていたからね。



町中では速度が上げられないからゆっくりと進んでいたんだけど。


町を出てからは見晴らしの良い街道を進んで全速力で走り続けてる。



どうしてもジェノスを出るまでは時間がかかるんだけど。


一度街道に出てしまえば最高速度で走れるから時間が過ぎるごとにどんどんジェノスから離れてしまうことになるんだ。



港町ジェノスから大会のあるグランバニアまで。


いつも通りならおよそ8時間後に着くはず。



街道に出てからすでに1時間が経過していると思うから残り7時間だね。



現在が9時頃だから夕方の4時頃に着く予定になる。



…あと7時間か。



特にやることがないから、

のんびりとした穏やかな風景を眺めてみた。



どこまでも広がる雄大な景色。


見渡す限りの大自然は何度見ても穏やかだと思う。



時折、ウサギが走っている姿が見えたりするくらいだからね。



この一瞬だけは平和を感じずにはいられなかった。



…だけど、それでもね。



一歩でもこの国を出てしまえば、

僕達に安息の地なんてないんだ。



そのことを僕は知っている。


実際に経験してきたからね。



世界中で行われている『魔術師狩り』



特殊な力を持つ僕達の存在を恐れる人々による弾圧。



かつて他国から亡命してきた僕や沙織にとって、

この国以外の世界は恐怖の対象でしかなかった。



各地で争いが続き。


虐殺によって死んでいく。


そんな魔術師達は今でも世界中に大勢いるから。



だから決して人ごとなんかじゃないと思ってる。



いつこの国にもそういった争いの火種が飛んで来るかは分からない。



理事長や多くの人達のおかげで、

今はこの国は平和を保っていられるけれど。


それはあくまでもこの国の中だけの話でしかないんだ。



他国で。


あるいは隣国で。


どこかの国で殺されていく魔術師までは救えない。



それがこの世界の『現実』なんだ。



…それでも。


…それでもね。



いつの日にか。


全ての魔術師を救える日が来るって信じてる。



もう二度と僕と同じような苦しみが起きないような。


そんな日が来ることを。



僕はずっと願い続けているんだ。



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