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THE WORLD  作者: SEASONS
4月13日
521/1318

見た目は

…で。



龍馬達と合流してから5分が過ぎた頃かな?



一台の大型馬車が私達に近付いてきたわ。



ん~。


相変わらず大きいわね。



毎月見てるから個人的にはもう見慣れた感じがあるんだけど。


私も何度か乗ったことがある学園専用の馬車なのよ。



大会がある首都『グランバニア』までは、

この馬車に乗って行くことになるの。



「おはよう。みんな、ちゃんと時間を守れて偉いわね〜。」



私達を褒めながら馬車を下りてきたのはもちろん理事長よ。



わりと何でも器用にできる理事長は馬の扱いも得意みたい。



無駄に人を雇ったりせずに、

毎回自分で馬車を走らせているわ。



だから今回も御者ぎょしゃは理事長がやるみたいね。



「おはようございます。」



真っ先に挨拶をした私に続いて、

龍馬と沙織も挨拶を交わしてるんだけど。



どっちかっていうと、

私達の視線は馬車に向いているわ。



滅多に乗れないから珍しいって思うのよ。



まあ、悪い意味で、だけどね。



3頭の馬が繋がれているのはまだいいの。



商業用としても使えるくらい大型の馬車というのも高評価の一つだと思うわ。



長さは7メートルくらいかな?


幅は3メートルくらいだと思う。



規模としては7人乗っても全然窮屈じゃない大きさなのよ。



でもね?



長方形の馬車の後方には食料とか緊急時用の作業道具とか色々な荷物が積み込んであるんだけど。


前方は絨毯が敷いてあるだけの無駄に広い空間なの。



飾りっけは皆無で本当に何もないのよ。



一応、窓という名の換気口はいくつかあるわ。



ただそれだけとも言えるんだけど。


雨風が凌げるだけマシって感じの造りね。



そんなに豪華なものじゃないの。



かと言って、あんまりごちゃごちゃ積み込むと移動速度が落ちるだろうし。



馬だって疲れるだろうから。


余計なものがないほうが良いとは思うんだけど。



…そうは言っても、ね〜。



見た目だけで言うとね。


本当に適当に作った小屋に車輪をつけました、っていう感じなのよ。



ぶっちゃけ、格好良くはないわ。



それでも見た目に予算をかけなかった分。


乗り心地はそんなに悪くないんだけどね。



内部の絨毯がふわふわで、

すごく触り心地がいいのよ。



あの上でごろごろしてると本当に気持ちよく眠れるの。



それはもう、経験者だから断言できるわ。


あの絨毯には絶大な睡眠導入効果があるはず!ってね。



…って言っても。



いつも寝てるのは私と真哉くらいだから他のみんなは平気みたい。



その辺りの個人差がよくわからないけど。



行きは朝早くて眠いし、

帰りは大会で疲れてるから余計に眠くなるんだと思ってる。



でもね。



その辺りはみんな同じ条件のはずよね?


どうして龍馬や沙織は眠くならないの?



色々と疑問を感じるけれど。


みんなには理解してもらえないの。



でもね?



個人的には乗り心地抜群の馬車だと思っているわ。



見た目はダサいけどね。



ひとまず今回は、私と沙織と龍馬と真哉。


それに総魔と優奈ちゃんと理事長の7人が乗り込む予定なのよ。



大会に参加する生徒6人と理事長で7人ね。



いつも通りなら、

今日も7人で大会の会場に向かうことになるわ。



ちょっとした小屋を丸ごと引っ張っているような大きな馬車に半日間乗りっぱなしっていうのは結構退屈だけどね。



だけど今回に限って言えば、

総魔がいるから退屈はしないと思ってる。



むしろ、考えるだけで気分が上昇してくるかな~。



出来れば二人きりでどこかに行きたいな~?



町の中をデートとかしてみたり?


観光気分でお買い物とかしてみたり?



なんて、妄想しちゃうんだけど。



幸せな時間を願う私に話し掛ける邪魔な奴がきちゃったのよ。



「よう!翔子、なにぼけっとしてるんだ?」


「はあ?うるさいわね~。ほっといてよ」



ぼ~っとしてるんじゃなくて、想像してるのよ。



妄想じゃないわよ?


暴走でもないからね!



別にいいでしょ、それくらい。



そんなふうに思いながら冷たくあしらってみると。


真哉は苦笑しながら他の皆にも挨拶を始めたわ。



「よう。待たせたかと思ったが、そうでもなかったようだな。」



ん~。


どうなのかな?



真哉の言葉を聞いて校舎の時計に視線を向けてみる。



予定の時刻まで残り5分を切ってるわね。



そう思った瞬間に…。



「急ぐわよ、優奈!」


「ま…待ってよ、悠理ちゃ~ん。」


「早く〜っ!みんなもう待ってるんだから〜!」


「あぅぅ~。ごめんなさい~…。」



慌てて駆け寄って来る二人の声が聞こえてきたわ。



うんうん。


いつ見ても仲がいいわね。



一生懸命に走る二人の姿をほのぼのと眺めながら、

私達は笑顔で二人を出迎えたわ。



「おはよ〜!悠理ちゃん、優奈ちゃん」


「あ!おはよう、ござい、ますっ。翔子先輩!」


「お…はよう、ござい…ます…っ。」



息を切らせながらも挨拶をしてくれた悠理ちゃんと優奈ちゃんは、

ゆっくり呼吸を整えてからみんなにも挨拶を始めたわ。



その結果として。


一人を除いた全員が無事に集合したことになるのよ。



まあ、さすがにまだ寝てるってことはないと思うけどね。



「これであとは総魔だけよね?」


「…あっ、あの…総魔さんなら、さっき…すれ違いましたから…もうすぐ…来ると、思います…っ。」



ん?


優奈ちゃんとすれ違ったの?



食堂方面から走ってきた優奈ちゃん達がすれ違ったのなら、

そっちの方角だと思って視線を向けてみると…。



ゆっくりと近づいてくる総魔の姿が見えたわ。



「総魔~っ!!」



大きな声で呼び掛けてみる。


そんな私に視線を向けながらも、

総魔は歩く勢いを変えることなくのんびりと歩みを進めてく。



…そして…。



7時丁度の鐘の音が鳴り響くのと同時に、

総魔も校舎前に集合したのよ。



…ん〜?



これって、どうなのかな?



優秀なの?


横着なの?



疑問に感じるところよね?



まあ、時間ぴったりだから文句なんて言えないんだけど。



…う~ん。



まあ、いっか。



考えても仕方がないし。


別にどうだっていいわよね?



「おはよ~、総魔。」


「ああ、おはよう。」



うんうん。


やっぱり挨拶は大事よね。



総魔と話せただけで眠気が吹っ飛んだわ。



だからもうあれこれ考えるのはおしまい!



とにかくこれで私達は全員集まったのよ。



「おはようございます。総魔さん。」


「ああ、おはよう。」



優奈ちゃんも総魔と挨拶をしてるわね。



「やあ、おはよう。調子はどうだい?」


「問題ない。」


「それは何よりだね。」



龍馬も総魔と挨拶をしていたわ。



そんなふうにそれぞれがそれぞれに挨拶をする中で、

今まで様子を見ていた理事長が仕切り始めたのよ。



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