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THE WORLD  作者: SEASONS
4月12日
510/1342

あと少し?

《サイド:美袋翔子》



ん~。


午前10時になったわね。



理事長室での会議を終えたあとに、

沙織と一緒に特風会に来たんだけど。


今日は特にやることがないから、

珍しく淳弥の仕事を手伝ってるところなのよ。



…って。



自分でも珍しいって言っちゃうくらいだから本当に久しぶりかも?



でもまあ。



ついこの間、沙織と二人でほぼ徹夜になりながら仕事をした覚えがあるから、

事務作業そのものは久しぶりでもなんでもないんだけどね。



…とは言っても、ね〜。



何回やっても事務系の仕事は慣れないわ。



文章を読むのが面倒…っていうか、

いちいち表現が堅苦しいのよね〜。


もっと分かりやすく書いてくれれば作業もしやすくなるのに、

遠回しな表現が多すぎて内容を理解するのに時間を取られちゃうのよ。



…まあ、お手紙の交換をしてるわけじゃないから仕方がないんだけど。



それでも面倒だとは思うの。



「ねえねえ、これって、これでいいの?」



隣にいる淳弥に尋ねてみる。


作業内容が諜報部の実務記録だから、

沙織に聞いても答えてもらえないのよ。


さすがにね。


完璧超人の沙織でも知らないことには答えられないの。



「ん?ああ、それか。それならそのままでいい。ついでに、こっちも見てくれないか?」



…え〜?


…まだあるの〜?



やっと終わったと思ったのに。


別の書類を差し出されてしまったのよ。



…仕方がないわね〜。



沙織の仕事が終わるまでは付き合ってあげようかな?


なんて思いながら書類を受けとって目を通してみたんだけどね。



受け取った書類の内容は…考える意味もないようなどうでも良い嘆願書たんがんしょだったわ。



…燃えるゴミと燃えないゴミを分別せずに捨てる生徒がいるから調査してください?



まあ、言いたいことはわかるのよ?


こういうのって日頃の積み重ねが大事だと思うの。



…でもね?



こんなのまで全部やろうと思ったら、

1万人を超える生徒全員を確認しなきゃいけなくなるのよ!?



無理でしょ?


というか、普通にやりたくないわ。



…風紀委員に指示を出すのは簡単なんだけど。



実際に動くのは風紀委員だとしてもね?


苦情や不満は避けられないと思うの。



誰だってゴミ漁りなんてしたくないし。


嫌だと思うのよ。



「も〜、面倒臭いわね~。」



だんだん嫌になってきたんだけど。


手を止めた瞬間に、

隣にいる淳弥がため息を吐いていたわ。



「ったく、仕方がないだろ?放置すれば、あとあと何を言われるか分からないからな。」


「そんなの知らないわよ。私には関係ないんだから!」


「はあ…。あのな?翔子。これは本来、翔子がやるべき仕事なんだぞ?俺が、代わりに、負担してるだけでな!!」


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~~っ!!!!」


「え~!じゃないっ!何でそんな当たり前に、文句が言えるんだっ!?」


「管轄外だからよ!!」


「そんなわけあるかーーーーーー!!」



…ったく。



うるさいわね〜。



真哉と同じくらい迷惑だと思うわ。



「お前が!責任者!なんだよ!!」


「じゃあ、代わって?」


「ふ、ざ、け、ん、なーーーー!!」



…あ〜も〜。



ああ言えばこう言うって感じ?


さすがに迷惑よね〜。


周りを考えない人って良くないと思うのよ。



「あんまり叫んでると、他の人に怒られるわよ?」



今は沙織だけじゃなくて、

理沙や桃花もいるんだから。



女の子に囲まれてるだけでも嬉しいと思いなさいよね。



「みんなの迷惑にならないように心がけましょう、って習わなかったの?」


「だ、か、ら!!お前のせいだって言ってんだろうがーーーー!!」



…もう。



本当にうるさいやつよね。


私がこんなに丁寧に接してあげてるっていうのに。



「何がそんなに不満なのよ?」


「さっきから何度も言ってるだろ!仕事をしろって言ってんだよ!!」


「やだ!もう飽きたの!」


「ふざけんな!飽きたじゃねえんだよ!!ここにあるのは全部お前の仕事だって言ってんだろーーーー!!」



…ああ、もうっ。



これはもうダメね。


これ以上何を言っても分かってもらえる気がしないわ。



…困ったわね〜。



どれだけ誠意を込めて話し合っても、

言葉が通じない人って本当にいるのね。


これも一つの社会勉強?



…うん。



もうどうでもいいや。



「あとは敦弥に任せるわ。」


「はあっ!?」


「こういうのってね。優秀な人がやるべきだと思うの。」


「何を言って…!?」


「出来る敦弥がやるのがね。一番丸く収まるのよ。」


「言ってる意味が分かんねえよ!!収まってねえよ!俺の負担が増えてるだけじゃねえか!!」


「…でも、やるのよね?」


「や、ら、さ、れ、て、ん、だ、よ!!」



机をバンバンと叩きながら抗議してる。



さすがにね。


みんなの手も止まっちゃったわ。



理沙と桃花なんて、

思いっきり睨んできてるのよ。



私のせいじゃないのに。


私まで怒られちゃうじゃない。



…ホントに迷惑。



そう思ったんだけどね。



それなのにね。



沙織は小さな声で笑っていたわ。



「ふふっ。仲が良いわね。」


「この状況で!?どこを!どう見れば!そう思えるんだ!?」



沙織にまで叫ぶ淳弥。



…ったく、もう。



ホントにわがままなんだから。



「沙織にまで当たるんじゃないわよ!わざわざ私が手伝ってあげたんだから、それだけでも感謝しなさいよね!!」


「だっかっらっ!!!」



淳弥は何度も机をバンバンと叩きながら抗議してくれたわ。



「ここにあるのは全部!!翔子の仕事だって言ってんだろぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」



ったくぅ。


うるさいわね~。



全力で叫ぶ淳弥がめんどくさくなってきたんだけど。


そんな淳弥に里沙も冷たい視線を向けていたわ。



「あ~もう!さっきからうるさいわね!!喧嘩なら外でしてくれない!?」



苛立つ里沙に続いて、

百花も淳弥に話しかけてる。



「翔子に言うだけ無駄よ。」



うんうん!


そうそう!


そのとおり!!



「私に言っても無駄だから、淳弥は一人でやりなさい。」



百花のトゲのある言葉に便乗して淳弥に丸投げしてみる。


そして全ての書類を放り出してから沙織の隣の席に座ったの。



まあ、ここは龍馬の席だったりするんだけどね。



「よろしくね~。」


「いや、ちょっと待て、翔子っ!!!」


「だ〜か〜ら〜!!うるさいって言ってるでしょ!!」


「…くっ。」



叫ぶ淳弥を里沙が一喝してくれたのよ。



うんうん。


何もかも淳弥が悪いの。


そういうことにしておくのが一番なのよ。



「くっそぉ…!」



里沙に怒られて黙り込む淳弥だけど。


私は笑顔で淳弥に手を振ってから、

沙織に話しかけることにしたわ。



「…で、どう?そろそろ終わりそうなの?」


「ええ、あと少しよ。お昼までには終わると思うわ。」



…へ?



お昼?



今が10時で。


終わるのがお昼?



それって全然、少しじゃないじゃない!?



ざっと2時間も待ち続けていられるほど。


私の忍耐力は高くないのよ。



「はあ…。私も出掛けて来るわ。」


「あら、そう?じゃあ、お昼に食堂で待ち合わせしましょう。」


「うん。分かった。じゃあ、またあとでね。」


「ええ、気をつけてね 翔子。」


「ありがとう、沙織!行って来るわね〜!」


「行ってらっしゃい。」



沙織に見送られながら会議室を出ることにしたわ。



…ただ。



会議室を出る前に淳弥が何か言っていたような気がするわね。



でもね?


だけどね!


きっとね!!



気のせいだと思うの。


こういうのってね。


気にしなかったら気にならないからよ。



仕事は淳弥に任せることにして。


会議室を出た私はさっさと屋上を離れることにしたわ。



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