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THE WORLD  作者: SEASONS
4月12日
507/1294

放送を聞いた時点で

《サイド:美袋翔子》



さて、と。



これからどうするかなんだけど。


理事長室を出てからすぐに、

真哉が龍馬に話しかけていたわ。



「なあ、龍馬。ちょっと頼みがあるんだが、今日時間を取れないか?」


「ん?どうしたんだい?」


「…まあ、ちょっと、な。」



理由を言わない真哉を見つめる龍馬は、

少し考え込んでどうするかを悩んでいるように見えるわね。



もしかして何か予定でもあるのかな?



「今日はまだ特風会に行っていないから仕事があるかも…。」



仕事を心配する龍馬だけど。


沙織が気をきかせて話しかけていたわ。



「それなら私が見ておくわ。せっかくだから北条君に付き合ってあげたら?」


「…いいのかい?」


「ええ。午前中だけなら大丈夫よ。研究室には午後から行くつもりだったから。」


「だったら、お願いしようかな。」



沙織の提案を受け入れた龍馬は、

真哉に付き合うことを決めたようね。



「分かった。手伝うよ。」


「よし!なら早速で悪いがついて来てくれ!」



真哉の先導で龍馬があとを追って歩きだす。



「それじゃあ、みんな。また今度」



挨拶をしてから離れていく龍馬だけど。


総魔と擦れ違う瞬間に話しかけていたわ。



「本当のことを言うと、きみの検証に参加したかったんだけどね。」


「いずれ機会があるだろう。」


「…だと良いんだけどね。」



何か心残りがあるみたいね。


それでも龍馬は真哉と二人でどこかへ出掛けて行ったわ。



…だけど。



実験、ね~。


総魔に振り向いて確認してみる。



「…で?実験はまだ終わらないの?」


「ああ。まだ今日一日はかかるだろうな。」



ふ~ん。



「そうなんだ?」



…と、いうことは?



当然今日一日は総魔に会えない可能性が高いっていうことよね?



研究所に行けば会えるんだけど。


邪魔になるのは目に見えてるから行かないわ。



「今からすぐに行くの?」


「いや、せっかく研究所を出てきたんだ。朝食を済ませてから研究所に戻っても遅くはないはずだ。」



…えっ!?



今から、朝食を、食べに、行くの?



そうならそうと言ってくれたら、

食べてこなかったのに~!!



うぁぁぁ…。



もう食べちゃった。



だけど。


優奈ちゃん達はまだ食べてなかったようね。



「今から食堂に行くんですか?」


「ああ」


「でしたら、私達と一緒ですね。」



当然だけど、優奈ちゃんがまだということは

悠理ちゃんもご飯を食べていないということになるわ。



「一緒に行っても良いですか?」


「ああ、構わない。」



尋ねる優奈ちゃんに頷いてから、

総魔は食堂に向かって歩きだしちゃう。




…で。



優奈ちゃんと悠理ちゃんは手を繋いで総魔の後を追って行っちゃうの。



うぬぬぬ…っ。



あとに残された私と沙織は立ち止まったままよ。



個人的には総魔について行きたい気持ちが山々なんだけど。


さっき急いで食べたばかりでお腹が一杯なのよね〜。



うぅぅぅぅ…。



何で…


何で…っ!



何で食べちゃったの、私っ!?



放送を聞いた時点で諦めていればっ!!


総魔と一緒にご飯を食べれたのに~!!!



さすがに食べもしないのに食堂に行くなんていくら何でも不自然過ぎるわよね?



飲み物だけなら、って思わなくもないけれど。



総魔と二人きりならともかく。


優奈ちゃん達もいるわけだし。


何も食べないのは不自然よね?



うぁぁぁ……っ!



頭を抱えそうになっちゃう。



で、でもでも!



まだ、もしかしたら?



心の中で葛藤を抱えながらも沙織に振り返ってみる。



そして最後の希望を尋ねてみたの。



「もしかして、沙織もまだ?」


「いいえ。私はもう行ってきたわよ。」



…あぅ。



やっぱりそうよね。


沙織は私よりも早起きだもんね。



沙織が行かないとなると、

尚更、総魔のあとを追いにくくなっちゃったわ。



はぁぁぁ…。



深々とため息を吐いちゃうけれど。


そんな私を見ていた沙織は何故か楽しそうに微笑んでた。



「どうかしたの?」


「ううん。何でもないわ。」



何でもないと答えながらも笑みを絶やさない沙織の態度が気になるわね。



う~ん。


気になるわよね?



この見透かされているような感覚は何?



もしかして総魔を好きなことがバレバレなのかな?



…うぅ…。



もしもそうなら恥ずかしすぎる。



密かに冷や汗を流したりしちゃうけれど。



事実を確認する勇気なんて、

私にはなかったわ。




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