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THE WORLD  作者: SEASONS
4月12日
506/1330

大会の予定

《サイド:深海優奈》



魔術大会に関して話があるから集まってもらったと理事長さんは言いました。



ですので。


悠理ちゃんの予想は正しかったと思います。



…それは良いのですが。



どういったお話なのでしょうか?



私も大会への参加をお願いされましたが、

詳しいことはまだ何も知りません。



どういった大会で、

どこでどのように行われるのかさえ知らないままなのです。



唯一。



今週の土曜に行われるということだけは知っているのですが、

それ以外のことは何も知りません。



「とりあえず、どこから説明するべきかしらね。」



説明に悩む理事長さんですが。


出来れば私にも分かるように説明してもらえると嬉しいと思います。



「…ああ、でも先にこれだけは伝えておこうかしら?」



本題の前に、

理事長さんは翔子先輩と向き合いました。



「すで分かっているとは思うけれど、三津井君が卒業試験に合格したことで翔子達の成績が繰り上がることになったわ。」



…成績の繰り上がり。



その話は私も知っています。



昨日のお昼に翔子先輩と沙織先輩からも聞いていたからです。



「現時点で翔子の成績は5位から4位に変更。沙織や北条君の成績も一つずつ繰り上がることになるわ。…もちろん、近藤悠理さんもね。」



卒業生が出たことで、

皆さんの成績が上がるそうです。



総魔さんと御堂先輩と私の成績は変わりませんけれど。


5位以下の成績は全員一つづつ昇格することになるみたいです。



…悠理ちゃんも。



成績が一つ上がることになるんです。



「さて、と。それじゃあ、本題にはいるわね。」



…あぅぅ。



やっぱり説明はないまま進んでしまいそうです。



本題は良いのですが、

私の願いが通じることはないようですね。


理事長さんは総魔さんに視線を向けて話しかけていました。



「全部を説明すると長くなるから、大会までの予定と大会の規則ぐらいで良いかしら?」


「ああ、構わない。」



総魔さんが頷いたことで、

理事長さんは説明を始めました。



「とりあえず今後の予定から説明するわね。まず、今日一日は自由に過ごしてもらって構わないわ。出来るだけ万全な状態で大会に挑めるようにしっかりと体を休めておいてほしいけれど。実力の底上げの為に試合をしたいというのなら、それはそれで良いと思うから止めはしないわ。」



出来るだけ休んで欲しいと願いながらも、

理事長さんは沙織先輩と北条先輩に視線を向けていました。



「特に沙織と北条君は番号が降格しているから、準備運動をかねて試合をしておいた方がいいかもしれないわね。」


「はい。」


「………。」



理事長さんの言葉を聞いて素直に頷く沙織先輩ですが、

北条先輩は特に気にした様子もない雰囲気で話を聞き流しています。



「まあ、その辺りに関しては個人の判断に任せるけれど。しっかり体を休めることだけは忘れないでね。」



成績に関する話を締めくくったことで、

理事長さんは次の話題に移りました。



「それで明日の予定なんだけど。早朝に集まってもらってから、大会が行われる首都グランバニアに向かってもらうことになるわ。」



明日の朝に出発するそうです。


基本的に私はジェノス以外の町の名前をほとんど知らないのですが、

グランバニアの名前だけは知っています。



共和国の首都ですからね。


行ったことはありませんが、

名前だけなら知ってます。



魔術大会は首都グランバニアで行われるそうなのですが、

悠理ちゃんと総魔さんはどんなところなのか知っているのでしょうか?



「みんな経験者だから知ってるけど。あなたはどう?」


「いや、名前は聞いたことがあるが、行ったことはないな。」



理事長さんに尋ねられたことで、

総魔さんは首を左右に振っていました。



「あら、そうなのね。」



私と同じで、総魔さんも知らないようですね。



「移動距離はこの町から馬車に乗って丸々半日ってところよ。共和国のほぼ中心に位置するこの国の首都なんだけど、ジェノスとほぼ同等かそれ以上の規模を誇る『内陸部最大』の町でもあるわ。」



首都グランバニアは内陸部で最大の町だそうです。


ジェノスは港町最大の町らしいのですが、

理事長さんの言葉を聞いても私には全く想像できません。



生まれた時からこの町で暮らしてきましたし。


ジェノスしか知らない私にとって他の町は想像も出来ない未知の世界だからです。



「グランバニアに設立された軍事拠点グランパレス。共和国陸軍の本部でもあるんだけど。そこで毎月一回、魔術大会が開かれるのよ。」



…陸軍の本部?



そういった場所があることさえ知らなかったのですが、

魔術大会は陸軍の本部で開催されるそうです。



毎月開催されるという話くらいは噂で聞いていましたけれど。


軍事施設だったことは今初めて知りました。



「だからね。とりあえず明日は、大会の会場に向かってもらうことが最大の目的になるわ。」



出発は明日になるそうです。



「一応先に言っておくけど、大会中は会場内に各学園毎の部屋が用意されるから、そこで泊まってもらうことになるわ。」



…え?



泊まりがけなんですか?



そのことに気付いた瞬間に、

私は悠理ちゃんに振り返っていました。



「ね、ねえ、悠理ちゃん…?」


「あ~。やっぱり優奈は知らないんだ?」


「…う、うん。」


「グランバニアは遠いから泊りになるのは仕方ないよ。まあ、そのせいでしばらく会えなくなるんだけどね。」


「…うん。」



とても寂しい気持ちになってしまいました。



だからでしょうか?


落ち込む私に視線を向けた理事長さんは、

さらに話を続けました。



「落ち込んでいるところで申し訳ないんだけど。大会は2日間だから、明日の朝に出発したら明々後日の夜まで帰って来れないわよ。」



…えっ!?



2日間も悠理ちゃんに会えないんですか?



その事実だけで寂しさを感じてしまいます。



出来ることなら悠理ちゃんと離れ離れという状況は二度と経験したくありません。



「申し訳ないけど、さすがに大会まで一緒に行くことは認められないわよ。お金を払って観光気分で行くのは止めないけれど。共和国最大の祭典でもあるから、さすがに今から宿泊施設を手配するのは難しいと思うけれど…。」



…ですよね。



資金的な問題もありますけれど。


今から旅行の計画を立てるのはなかなか無理があると思います。



「まあ、たった2日間のことだから理解してもらえないかしら?」


「…は…はい。」



理事長さんに嫌とは言えませんので、

私と悠理ちゃんはおとなしく頷きました。



「ごめんなさいね。これも学園の為だと思って割り切ってもらえると有り難いわ。」



何度も謝ってくれる理事長さんですが。


以前、悠理ちゃんと別れることになってしまった時のことを考えれば、

今回はそれほど悲観することではありません。



帰ってきたら、また一緒にいられるからです。


そう思えば少しくらい悠理ちゃんに会えなくても我慢出来る気がします。



「あの、その…頑張ります…!」


「ふふっ。ありがとう。」



私の言葉を聞いて微笑みを浮かべてくれた理事長さんは説明を再開してくれました。



「それじゃあ、説明を続けるけれど。大会は『32校』によるトーナメント形式で行われるの。初日の午前中に16校に絞られて、午後の2回戦で8校になるのよ。」



初日の試合は2回あるそうです。


午前と午後を勝ち抜ければ、

翌日にも試合が続くようでした。



「そして2日目の午前中に行われる3回戦で4校に絞られてから、続く4回戦で2校が決まるわ。」



2日目は午前中に2試合続けて行われるそうです。



「最終的に正午から始まる5回戦が決勝になるわね。」



全部で5回の試合があるということです。



「大会連勝中の私達が途中で敗北することは有り得ないから全く考慮してないけれど。基本的には負けても最後まで会場に残って試合を観戦するのが大会の通例になっているから、途中で帰ろうなんて思わないでね?」



途中で敗北することは有り得ないと、

理事長さんは力強く宣言していました。



「それで肝心の試合内容なんだけど。大会は1対1の試合を5回行って、先に3勝した学園の勝利になるのよ。」



…えっと。



仮に総魔さんと御堂先輩と北条先輩の3人が立て続けに試合に勝利した場合。


その時点で勝ち越し決定で、

残りは戦わずに済むということでしょうか。



「分かってもらえたかしら?」


「ああ、問題ない。」


「そう?まあ、だいたいの流れはこんな感じよ。あとの細かいことは皆が知ってるから、分からないことがあれば適当に話し合ってちょうだい。」



説明を終えたことで、

理事長さんは私達全員を一通り眺めてから最後に話を締めくくりました。



「まずは『明日の朝7時に校舎前に集合』。それだけは覚えておいてね。」



はい。


朝7時に校舎の前に集合ですね。



その言葉を何度も頭の中で繰り返して、

記憶に留めました。



「それじゃあ、報告は以上!解散っ!!」



話が終わったことで、

私達は理事長室を出ることになりました。



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