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THE WORLD  作者: SEASONS
4月12日
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一番近いのは?

《サイド:御堂龍馬》



これは…大変だね。



ここまで凄惨な実験を見るのは初めてかもしれない。



魔術研究所の精鋭と言えるルーン研究所の職員達が軒並み力尽きて倒れているんだ。


この光景はそうそう見られるものじゃないだろうね。



…だけどまあ、これは仕方がないのかな?



ルーン研究所の実験室で連日連夜行われていた彼の実験は、

結局、朝方まで続いてしまったからだ。



その結果。



僕も一晩中、実験を見させてもらうことになったんだけどね。



気がつけば時刻は既に午前5時を過ぎている。



もうすぐ夜が明ける時間だ。


だけどそれだけの時間を費やしたことで、

長かった実験がようやく終わりを迎えたらしい。



「よし!これで実験は終了だ!!」



黒柳所長の言葉が実験室に広がった瞬間に、

室内の各所から数え切れない程のため息が一斉に聞こえてきた。



…うーん。



こうなるともう本当に全滅かな?



長時間の実験に耐え切れずに倒れてしまった職員は半数強。


彼らは今も悪夢を見ているかのように唸り声をあげている。



だけど残っている人達もみんな似たような状況だね。



意識を失う寸前の状態としか思えないんだ。



実験の終了と共に誰もがその場にしゃがみ込んでしまっているし。


頭痛に悩まされて頭を抱え込んでいる姿が見えてしまう。



この状況は文字通りの地獄絵図っていう感じかな。



だけど。



実験の合間に聞いてみたところ、

ほぼ毎日こういう状況だったらしい。



彼と黒柳所長だけは平気そうだけれど。


幹部の人達も含めて、

職員のほぼ全員が全滅状態だったそうだ。



さすがにこの状況を見ているとね。



僕がお願いしていた実験はまだまだ簡単な方だったんじゃないかな?って思ってしまったよ。



でもね。



だからと言って彼の能力が特別すごいとかそういうことではないと思う。



何ができるのか?という単純な調査ではなくて、

どこまで影響を及ぼせるのか?という幅広い調査だからね。



複雑さという意味で彼の能力は解析が難しい様子だった。



まあ、調査内容が魔術を構築する力だからね。



僕の攻撃特化の暴力とは全く違うと思うんだ。



あらゆる魔術を実現できる能力なんて、

素直に羨ましいと思えるからね。



出来ることなら僕も手にしてみたい能力だけど…。



彼や沙織とは違って、

僕はそこまで器用じゃないからね。



どう頑張っても無理だとは思う。



きっと、翔子や真哉にだって無理じゃないかな?



深海さんは能力的に彼に近い部分があるけれど。


魔術師としての実力はあまり高くないから無理だと思う。



まあ、悠理に関しては考えるまでもないね。



彼には遠く及ばないだろうから。



そうなると沙織が一番、彼の能力に近いのかな?



だけど沙織にしても魔術を構築するのは苦手そうなんだよね。



すでに存在している魔術なら大抵使えるみたいだけど。


新規に作り出すのは得意じゃないらしい。



出来ないわけじゃないだろうけどね。


医療に専念しているせいで、

そこまで手が回らないという感じかな?



…とまあ。



そんなことを考えている間にも黒柳所長の撤収命令が続いていった。



「とりあえずこれで解散だ!みな、3日間良く頑張ってくれた!その代わりと言ってはなんだが、今日は一日休暇とする!みなそれぞれにゆっくり体を休めて自由に過ごしてくれ!!」


「「「「「おおーーーっ」」」」」



黒柳所長の指示によって、

自由を得た職員達の多くが実験室を出て行った。



もちろん職員の中にはまだ寝込んだまま動き出せない人もいるけれど。



彼らを無理に起こそうとはせずに、

安静にさせておく方針で話は進んでいくようだ。



「ひとまず、実験は終了だ。」



黒柳所長が彼に歩み寄る。



「これで職員達は解放になるが、俺達にとってはここからが本番だ。どうだ?まだ大丈夫か?」


「ああ、問題ない。」



尋ねる黒柳所長に向けて、

彼は静かに頷いて答えていた。



…問題ない、か。



話は聞いていたけれど。


実際に平気そうな姿を見ると本当に同じ人間なのかどうか疑問に感じてしまうね。



僕でさえ実験のあとはふらふらになりそうな状況だったんだ。



それなのに何事もなかったかのように振る舞える彼の精神力は並みの魔術師を遥かに逸脱しているように思える。



だから、だろうか?



周囲にいた職員達は彼の発言を聞いて驚いている様子だった。


西園寺さんや藤沢さん達も呆れ顔で彼を見ているからね。



だけど黒柳所長だけは楽しそうに笑っていた。



「ははははっ!さすがだな。」



さすが、なのかな?



そういう問題ではないような気もするんだけど。


彼の確認を終えた黒柳所長は、

傍にいる僕にも尋ねてくれた。



「どうする?このあとも参加するか?」


「ええ、お邪魔でなければ…。」



せっかくだから参加してみようと思ったことで、

彼に視線を向けてみたんだけど。


特に拒絶されるようなことはなかった。



「好きにすれば良い。」


「ああ、ありがとう。」



お礼を言ってから黒柳所長に振り返る。



「参加させていただきます。」


「そうか。きみの意見ならば十分参考になるからな。参加してもらえるのなら、そのほうが有り難い。」



彼に続いて僕の参加も決まったことで、

黒柳所長は西園寺さん達にも話しかけていた。



「どうだ?まだいけるか?」


「もちろんです。」



真っ先に西園寺さんが真剣な表情で頷いていた。



「最後まで参加させていただきます」



参加を宣言する西園寺さんに続いて。



「今日はまだ大丈夫です。私もお付き合いしま〜す。」



藤沢さんも参加するようだ。



「俺も参加する。」



峰山さんに続いて、大宮さんも頷いていた。



「最後まで付き合おう。」



研究所の幹部全員が参加の意志を示したからかな?


黒柳所長は僅かに唇の端を歪めて微笑んでいるように見えた。



「よし。なら、一旦移動しよう」



黒柳所長の先導の下で、

僕達は所長室へと向かうことになったんだ。



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