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THE WORLD  作者: SEASONS
4月11日
488/1318

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《サイド:深海優奈》



午後の日差しが暖かな昼下がり。



私達は学園の一画にある庭園へと移動しました。



ここにもすでに多くの学生さん達が集まっているのですが、

食堂に比べれば少ないほうだと思います。



それでも敷地面積が広いので、

数百人は集まっているかもしれませんね。



そんな中で。



翔子先輩は沙織先輩と並んで、

人の少ない場所を探して歩いています。



私と悠理ちゃんは先輩達のあとを追いかけているのですが。


しばらく歩いていると。


翔子先輩は綺麗なお花が沢山咲いている花壇の側で足を止めました。



ここは複数の木のテーブルが並ぶ休憩所です。


屋根もあるので日差しが眩しいということもありません。



すでに沢山の女子生徒が食事をしたり休憩したりしているようですが。


一つだけテーブルが空いているのが見えますね。



「ここでいいかな?」



テーブルを確保した翔子先輩が、

買い込んできた沢山のパンをテーブルの上に並べ始めました。



「一杯買ってきたから、沢山食べてね~」



うわぁ~。


一体、幾つあるんでしょうか?



「あらあら、随分ずいぶん沢山買い込んだのね。」



テーブル一杯に並ぶパンを眺めながら、

沙織先輩は呆れたような表情です。



ですが、翔子先輩は満足気でした。



「足りないよりはマシでしょ?」



それはまあ、そうかもしれませんけれど。


こんなにも沢山のパンがテーブル一杯に並ぶ光景は今まで見たことがありません。



これを全部食べきることは出来るのでしょうか?


ちょっぴり疑問を感じてしまったのですが。


全てのパンを並べ終えた翔子先輩は、

笑顔のまま椅子に腰を下ろしています。



その隣に座る沙織先輩は呆れ顔のままでしたけれど。


翔子先輩の向かい側に座った悠理ちゃんは、

とても楽しそうにパンの数を数え始めました。



「1…2…3…4…」



まだ数え始めたばかりです。



「5…6…7…8…」



まだまだありますね。



「9…10…11…12…」



とても多いです。



「13…14…15…16…」



どこまで続くのでしょうか?



「…17…18…19…20!」



丁度20個のようですね。



「すごい量…。」


「だね~。」



頷いてくれる悠理ちゃんと笑い合いながら、

私は悠理ちゃんと翔子先輩の間に座りました。



翔子先輩を始めとして、

時計周りに沙織先輩、

悠理ちゃん、

私の順番です。



ひとまずこれで準備が整ったように見えたのですが、

翔子先輩はまだ袋の中に何かを詰め込んでいるようですね。



「じゃじゃ~ん!」



機嫌よく取り出した荷物の中から、

4人分のお茶を取り出してくれたんです。



「はい!どうぞ~」


「「ありがとうございます」」



お茶を配る翔子先輩から、

私と悠理ちゃんは素直に受け取ったのですが、

沙織先輩は先に財布を取り出していました。



「お金を…。」



パンとお茶の代金ですね。


沙織先輩が財布を取り出したのを見て、

私と悠理ちゃんも慌てて財布を用意しようと思ったのですが…。



「いいの!いいの!」



沙織先輩の言葉を遮った翔子先輩は笑顔でお金を断っていました。



「これくらい大したことじゃないし。それに今日はみんなにお世話になったしね~。」



全部、おごりだと言ってくれたんです。



…はぅぅ〜~。



良いんでしょうか?



いつもいつもお世話になっているのは私のほうだと思う気持ちがあるせいで、

とても申し訳ない気持ちになってしまいました。



…ですが。



せっかくの翔子先輩のご好意を無駄にするわけにはいきません。



個人的には心苦しい気持ちがあるのですが。


恩返しの機会はいつでもあると思いますので、

今は素直に感謝したいと思います。




「あ、ありがとうございます…っ。」


「いえいえ、どういたしまして。」



頭を下げてお礼を伝えた私を見て微笑んでくれる翔子先輩に。



「ありがとうございますっ!!」



悠理ちゃんもお礼を言っていました。


そして嬉しそうにパンを眺めています。



「どれでも良いんですか?」


「いいわよ~。どれでも好きなだけどうぞ。」


「「はいっ!!」」



翔子先輩に薦められたことで遠慮せずにパンに手を伸ばす悠理ちゃんに続いて、

私もパンを頂くことにしました。


特に食べれないというものはありませんので、

一番近くにあるパンを手に取りました。



「「いただきますっ!」」


「ふふっ」



両手でパンを持って食べる私と悠理ちゃんを見て、

翔子先輩は楽しそうに微笑んでくれています。



私は一人っ子なので兄弟も姉妹もいませんけれど。


もしもお姉ちゃんがいるとしたらこんな感じなのでしょうか?



嬉しいような。


恥ずかしいような。


不思議な気分です。



ですが。



翔子先輩の眼差しがとても温かくて。


こうして傍にいられることが幸せに思えました。



翔子先輩が傍にいてくれるだけで、

すごく安心できるんです。



だからもしも叶うのなら。



これからもずっと。



翔子先輩とお友達でいたいです。



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