表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THE WORLD  作者: SEASONS
4月11日
482/1318

最初から

「ジェノサイド!」



複数の魔術の核が影に襲い掛かる。


そして炸裂する魔術によって沙織の影が消え去った直後に。



『ばさっ!』と、扇を開いてみせたわ。



「やっぱり沙織相手に手加減なんて考えられないわね。」


「う…っ。」



瞬時に現れる30もの魔術の核の光を見た沙織の表情が青く染まってく。



「そ、それって…?」


「さあ、行くわよ、沙織!」



宣言した私は扇を構えて一気に振りきったわ。



「秘技!アルテマ!!!!」



魔術の核が一斉に沙織にとりついて全ての魔術が誘爆する…はずだったんだけど。



「マスター・オブ・ エレメント!!!」



発動の寸前に沙織が迎撃魔術を展開したわ。



白、黒、赤、青、黄。


五色の光が魔術の核へ襲いかかっていく。



激突し合う二種類の魔術。



せめぎ合う二つの魔術が、

周囲の結界もろとも試合場を崩壊させていったわ。



だけどね。



ほぼ互角の破壊力によって。


周囲にまで影響を及ぼしながらも。



…結局ね。



どちらの魔術も消滅してしまったのよ。



…でもまあ、これはあれよね?



総魔のアルテマが沙織に耐えきられてしまった時と同じような状況だと思うわ。



今はまだお互いにほぼ無傷だけど。



単純な魔術での戦いだと、

やっぱり沙織は強いのよ。



大賢者の称号は決して飾りなんかじゃないの。



全ての魔術を極めた人だけが得られる称号というだけあって、

私なんかじゃ到底たどり着けない実力を持っているのよ。



まあ、相性の問題でね。


物理的な攻撃を得意とする龍馬と真哉には遅れをとっているけれど。


魔術の実力だけを見れば、

沙織が学園最強なのは疑う余地がないわ。



…だから。



だからね。



ホントに勝てるのかな?なんて、

弱気なことも考えちゃうけれど。



でもね?



ここで諦めるつもりなんてないわ。



アルテマが通じない可能性は気付いていたからよ。



すでに沙織は総魔との試合でアルテマを耐えきっていたのよ?


だからこの程度で沙織に勝てるなんて最初から思ってないわ。



どんな攻撃も凌ぎきる沙織はとっても強いって知ってるから。



アルテマだけじゃ勝てないの。


そんなことは分かってる。



だから、きっとね。



沙織が本気で勝利を狙ってきたら、

私なんて軽くあしらわれちゃうんじゃないかな?って。



そんなふうに思うんだけど。



沙織は私を倒すことよりも、

私を成長させるために行動してくれてるみたい。



…ちょっとした試験、って感じ?



だから沙織は強引に攻めてこようとはしないんでしょうね。



決して手を抜いてるわけじゃないけれど。


私のために戦ってくれているの。



だから攻撃が通じない程度で諦めるわけにはいかないわ。



例え可能性が低くても、

最後まで戦い続ける必要があるのよ。



…でもね?



分かってはいるんだけどね。



お互いに魔力に余裕がある状況じゃないのも確かなのよ。



特に私の魔力は沙織よりもかなり少ないの。



真哉の魔力量にはほぼほぼ追いつきつつあるけれど。


沙織の魔力の総量には到底敵わないわ。



総魔や優奈ちゃんを例外とすれば、

沙織の魔力の絶対値は学園随一なのよ。



私もそうだけど。


真哉も。


龍馬も。


沙織には敵わないの。



だから純粋な魔術勝負だと沙織には絶対に勝てないのよ。



「こうなったら仕方がないわね!本当は嫌なんだけど、これで決めるわっ!!」



宣言する私を見て、

沙織はルーンを強く握りしめてた。



「…ええ、それでいいのよ、翔子。遠慮はいらないわ。その魔術を防ぐことが出来るかどうか。私はそれが知りたいの。」



あ〜、なるほどね。



真剣な表情で私を見つめる沙織は、

最初からこうなることを望んでたみたい。



最初から究極の魔術を待っていたのよ。



…だったら!



「行くわよ、沙織!」



沙織の期待に応えるために遠慮なく発動させるわ。



「全ての魔力を力に変えて、今ここに破滅のときを!!秘術っ!!メテオストライク!!!!」



瞬間的に巻き起こる破壊の嵐。


次々と圧縮展開する魔術の無差別爆撃よ。



総魔の翼と同質でもあるわね。


羽の一枚一枚から魔術が発動するように、

扇の骨組みから連続して圧縮魔術が放たれていくの。



さすがに高速射撃までは実現できないけれど。


無詠唱による連続攻撃は私にもできるのよ。



舞い踊る扇の一振り毎に発生する魔術の嵐が立ち塞がる沙織に降り注いでいく。



「相殺できるのものなら、やってみせてっ!!」



真哉の時と同様。



100を越える魔術が一斉に沙織に襲い掛かったわ。


そのせいで私の魔力は急速に減少していくんだけどね。



「っ…ぅ…ぁ…!?」



破壊の嵐の中心で沙織は何かを叫んでるみたいだけど。


連続で発動する魔術の影響で沙織の姿を見ることは出来ないわね。



だけど、だからこそ。


今はまだ油断出来ないの。



沙織の実力を甘く見ることなんてできないから。


徹底的に警戒しながら沙織の姿を探してみる。



魔術の影響が消えて、

静まり返る試合場をじっと見つめ続ける。



そうこうしている間にね。



杖を構えたまま立ち続ける沙織の姿が徐々に見えてきたのよ。



…って、嘘ぉっ!?



あの攻撃を耐えきったの!?



驚く私の視線の先で、

不意に沙織がルーンを手放したわ。



…何をするつもりなの?



私の知らない何かを仕掛けようとしてるんだと思ったのよ。



…だけど、ね。



そうじゃなかったみたい。


そこから先の行動が何もなかったからよ。



魔術を発動するわけでも、

杖を拾おうとするわけでもないの。



全く動く気配を見せないのよ。



…これは、つまり?



手放したというよりも、

落としたって考えるべきじゃないかな?



一目見た限りでは多少の擦り傷や火傷の跡ぐらいしか見えないけれど。



明らかに分かることが一つだけあったわ。



それは『沙織が魔力を使い果たした』ということよ。


ルーンさえ維持出来ずに手放してしまったみたい。



試合場に落ちたルーンは微かな光と共に姿を消したわ。



その様子を眺めてから、

ゆっくりと沙織に歩み寄ってみる。



「…沙織?」



声をかけても反応しないわね。



龍馬もゆっくりと沙織に歩み寄るけれど。


沙織は一切反応しなかったわ。



立ったままで完全に意識を失ってるみたい。


その事実を確認した龍馬が首を左右に振ったの。



…って、いうことは?



「試合終了!勝者、美袋翔子!」



沙織を見つめる私に、

龍馬が試合終了を宣言してくれたのよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ