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THE WORLD  作者: SEASONS
4月3日
48/185

最後の切り札

《サイド:美袋翔子》



…う~ん。



困ったわ。


どんどん差が埋まっていくわね。


総魔が予想以上の勢いで成長しているからよ。



これで学園に入学したばかりの新入生だなんて、

ずっと傍で見てきた私でさえ信じられないわ。



…まだ数日なのよ?



入学式から1週間も経ってないの。


というか。


まだ3日目なのよ。



初日は何もしてなかったから、

実質的にはたった2日で1万人を超える生徒を乗り越えてきたということになるわ。


この結果を異常と言わないとしたら何て言うの?



総魔の存在が意味不明すぎてどう評価すればいいのかも分からないわね。



だけど。


それでも。


実際に目の前にいて、

成績という疑いようのない事実だけが存在しているのよ。



…史上最速の成績、ね。



もしも私が勝つ方法があるとすれば、

最後の希望と言えるのは魔力の総量だけかもしれないわ。



こうなると力技で総魔の魔術を押さえ込んで、

直接的に魔術を直撃させられるかどうかよね。



それだけが最後の作戦なんだけど。


実現出来るかどうかは実際に戦って見ないと分からないわ。



一応まだ『最後の切り札』と言える力があるのはあるんだけど…。


それすらも総魔に勝てる保証はないのよね~。



…って、言うか。



総魔の『切り札』を確認するのが私の役目だから。


切り札が切り札と言えないのが辛いところなのよ。



「傍で見てて思うんだけど、着々と強くなってるわよね~」



内心の焦りを気付かれないように明るく振る舞いつつ。


さりげなく今後の予定を尋ねてみることにしたのよ。



「それでこのあとはどうするの?次の会場に行く?」


「いや…。」



次にどこに向かうのかを聞いてみたんだけど。


何故か総魔は首を左右に振っていたわ。



「今日はもう試合はしない。アルテマがあれば上を目指すのはたやすいが、ただ勝ち上がるよりも重要な事があるからな。」



…ん?



試合よりも重要なこと?


何かあったっけ?



この状況、というか。


この流れで思い浮かぶこと?



…それって。


…もしかして?



…って!?



うわぁ〜〜〜〜〜〜~!?



言葉の意味に気づいた瞬間に、

背筋が凍りつくほどの寒気を感じてしまったわ。



一応、予想はしてたけど。


すでに『次の力』を求めてるってことよね?



こうなると当然『ルーン』しか思い浮かばないわ。



「ようやく、この時がきたって感じね〜。」



大きく深呼吸してから生徒手帳を開く。


もちろん私の手帳なんだけど、

見せたいのは学園の地図よ。



「ここ、見てくれる?」



地図の北部を指差してみると、

ちゃんと総魔は視線を向けてくれたわ。



「…その場所に何かあるのか?」



…ええ、そうよ。



ここでなら、というか、

ここでしか、って言ったほうが良いのかな?


総魔が知りたいことは、

ここでしか調べられないのよ。



「ここには魔術研究所があるの。基本的には魔術の分析や新技術の開発とか、色々な研究がされてるんだけどね。そういうのとは別に、この研究所の地下には大規模な施設があるのよ。」



まあ、実際には施設というか。


『もう一つの研究所』なんだけどね。



少し遠回りな表現をしながら総魔の瞳を見つめてみる。



「私が、何を、言いたいのかは…分かるわよね?」


「ああ、そこに行けば知ることが出来るということだな。」


「大正解♪」



察しがいいのは総魔の良いところよね。


まあ、良すぎて困ってる部分もかなりあるんだけど。


ひとまず今回は満足気に頷いてから話を続けてみる。



「本来ならルーンを使える人しか入れてもらえない場所なんだけど。今回は私が話を通しておくから、もしも詳しい話が知りたいのなら、一度ここに行ってみることをお勧めするわ。」


「…そうだな。興味はある」


「なら決まりね〜。」



もう一度頷いてから、

席を立つことにしたわ。


試合をしないのなら私が監視する必要もないしね。



「もう監視する必要がなさそうだから、今日はこれで帰るわね。あ〜でも、一応、話は通しておくけど。今すぐに、ってわけにはいかないだろうから一時間くらいしてから行ったほうが良いかも?」


「ああ、わかった。」



うんうん。


素直で嬉しいわ。


普段の態度はともかく、

性格的にはまともっぽいのよね〜。



…って言うか。



美春に対してはわりと普通に接してたような?


むしろ私にだけ当たりが強いような?



…う〜ん。



何だか釈然としないわよね?



…でもまあ。



監視してる立場だし、

警戒されるのは当然なのよね。


当然なんだけど。



…ん〜。



仲良くなるのって難しいわね。


それでも総魔を説得して私達の陣営に引き込むのが理事長からの依頼になるから諦めるわけにはいかないのよ。



…もう少し時間をかけないと無理っぽいかな〜?



焦ってどうにかできる問題でもないしね。


ひとまず総魔の返事を確認したから今日のところは大丈夫なはず。



「それじゃあ、また明日ね♪」


「ああ…。」



挨拶をしてから席を離れる。


一人で残された総魔はのんびりと休憩を続けているわ。



実際にどうするかは知らないけれど、

予定の時間が過ぎるまでは大人しく待つ事にしたみたいね。



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