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THE WORLD  作者: SEASONS
4月11日
478/1354

圧勝?

《サイド:御堂龍馬》



屋上にある会議室を飛びしたあと。


急いで階段を駆け下りて、

一階にある医務室に駆けつけた。



そして。



ノックをしてから扉を開いて、

失礼にならない程度に足早に入室したんだ。



…翔子と真哉はどこにいるんだ!?



室内を見渡してみると。


沙織と翔子の姿はすぐに見つけることができた。



「沙織!翔子!」



僕に気付いて振り返ってくれた二人に急いで歩み寄ったんだけど。



「おはよ~、龍馬!」



見た感じだと翔子は健康そうだ。



「おはようございます。」



沙織も落ち着いた雰囲気で微笑んでくれている。



「あ…ああ、おはよう。」



いつもと違う雰囲気は感じられない。


医務室にいるという状況でなければ、

特に心配する必要はないんだけどね。



「…二人とも元気そうだね。」



だけど。


真哉だけは眠りについている姿が見えた。



翔子と沙織に挨拶を返したあとで、

真哉に視線を向けてみる。



眠っているというよりは、

意識を失っているのかな?



動き出す気配が全く感じられないんだ。



ここまで真哉が追い詰められているということは、

どうやら本当に翔子が勝ったらしい。



さすがにこの状況で疑うのは無理があるだろうね。



「さっき淳弥から試合の話を聞いたんだけど…。」


「ん…?あ〜、うん。まあ、何て言うか圧勝?って感じね。」



事情を聞こうとする前に、

翔子は嬉しそうに語りだした。



「何だかんだ言っても、真哉じゃ私には勝てないってことよ。魔術乱舞で軽くぶっ飛ばしてあげたわ。」



笑顔を浮かべながら楽しそうに話す翔子だけど、

隣にいる沙織は呆れ顔でため息を吐いていた。



「…ねえ、翔子?試合内容はともかく。結局、最後に倒れたら圧勝とは言えないんじゃないかしら?『結果』だけを見れば引き分けと判断されても仕方がないのよ?」


「え~〜〜〜〜〜っ!?」



沙織の指摘が不満だったのかな?


翔子は真哉を睨んでいた。



「ちゃんと勝ったのに〜〜〜!!」



…うーん。



これはどうなのかな?



何があったのかは知らないけれど。


沙織の指摘が正しいとすれば、

翔子が言うほど簡単な試合ではなかったらしい。



だから僕は事情を知ってる様子の沙織に問い掛けてみることにしたんだ。



「沙織は知ってるのかい?」


「ええ、一番近くで見ていたわ。」



一番近く?



…と、言うことは。



沙織が審判をしていたのかな?



「思い出せる範囲で教えてほしいんだけど、聞かせてくれないかな?」


「ええ、いいわよ。」



僕の願いを聞き入れて、

沙織は詳細を説明してくれた。



まずは食堂でのいきさつから始まり。


悠理と深海さんと合流したこと。



そして検定会場に移動して、

翔子と真哉の試合が行われた。



二人のルーンとそれぞれの魔術。


翔子の活躍と真哉の敗北。



個人的にはメテオストライクという魔術がどういうものなのか少し興味があったけれど。


翔子の言葉を信じるなら、

圧縮魔術による無差別攻撃ということかな?



一撃ごとの威力は通常の魔術並だとしても、

秒速で放たれる連続攻撃はさすがの僕でも耐え切れるかどうかは分からない。



たぶんジャッジメントに近い攻撃だとは思うけれど。


属性や構成はまったく違う気がする。



どちらかと言えば、

簡易アルテマの乱発と考えるべきかもしれないね。



…そもそも。



動きを止められてしまった状態での無差別攻撃となると、

それこそ彼や深海さんでもなければ耐えられないんじゃないかな?



状況次第ではあるけれど。


一撃必殺のアルテマよりも厄介かもしれない。



『重力攻撃』と『魔術乱舞』



この組み合わせは凶悪すぎるね。



最終的に試合後に彼が現れて、

翔子と真哉の治療を手伝ってくれたところまでを沙織は説明してくれた。



「…ということよ。」


「なるほど。大変だったね。」



翔子はほぼ一方的に攻撃していたようだから、

特に怪我とかはないみたいだ。


だけど攻撃を受け続けた真哉は相当痛い思いをしただろうね。



だとすれば。


今ここでこうして気を失っているのも仕方がないのかもしれない。



「大体の事情はわかったよ。まあ、彼が治療をしてくれたのなら真哉のことも心配する必要はないだろうね。」


「ええ、そうね。」



彼の回復魔術は沙織以上だからね。


沙織もこうして落ち着いていられるのは彼の協力があったからだと思う。



だけど。



肝心の翔子は彼がいたことさえ知らない様子だった。



「…でもね~。私はその辺りのことを覚えてないのよね~。」



何も覚えていない様子の翔子を見て、

沙織は苦笑している。



「本当に何も覚えてないの?良く頑張った、って褒めてくれてたのよ?」


「え~?そうなの〜?う~ん。全然、思い出せないわ…。」


「あらあら、残念ね。」



頭を抱える翔子の様子を見て微笑む沙織。



僕は一通りの話を聞き終えて一息吐いた。



そんな僕達の背後で。



静かに動き出す気配があったんだ。



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