治療方法
《サイド:深海優奈》
…あわわわっ。
試合終了後。
倒れた翔子先輩に急いで駆け寄りました。
「翔子先輩っ!翔子先輩っ!?」
何度も何度も呼び掛けてみたのですが、
翔子先輩は目を覚ましません。
倒れた時にすぐ側に落ちたはずのルーンもすでになくなっています。
完全に魔力を失った翔子先輩は、
どれだけ呼び掛けても目を覚ます気配がありませんでした。
「さ、沙織先輩…。」
不安になって呼び掛けてみたのですが、
沙織先輩は北条先輩の治療に集中していて私の声が聞こえていない様子です。
「ど、どうしよう…悠理ちゃん。」
「…う~ん?」
悠理ちゃんは唸りながら困った表情を見せていました。
良い方法が思い浮かばないようです。
私達にはどうすることも出来ないようでした。
翔子先輩を抱き起こしてから沙織先輩に歩み寄ってみましたが、
沙織先輩は真剣な表情で北条先輩の治療を続けています。
さすがにこの状況で沙織先輩に話しかけるわけにはいきませんよね。
私達はどうしたら良いでしょうか?
戸惑い悩む私の隣で…。
「あっ!優奈!」
悠理ちゃんが何かを思い出したようです。
「どうかしたの?悠理ちゃん」
「魔力!優奈が翔子先輩に魔力を分ければいいんじゃない!?」
…え?
私の魔力を翔子先輩に?
一応、総魔さんが魔力の回復をしているのは何度も見たことがあります。
総魔さんは『魔力の供給』と言っていましたけれど。
それは総魔さんだから出来ることであって、
私は一度も試したことがありません。
「やってみなよ、優奈!やれば出来るかもしれないじゃない!」
笑顔を浮かべながら期待してくれる悠理ちゃんですが、
私には自信がありません。
そもそも吸収の能力を理解出来ていないのに真逆の供給が出来るのでしょうか?
色々と不安を感じてしまいますが。
ここで悩んでいても解決しないので、
一度試してみることにしました。




