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THE WORLD  作者: SEASONS
4月11日
471/1318

究極乱舞

「…もちろん、分かってると思うけれど。私は『あの魔術』も使えるのよ?」



『バサッ!』と一振りで開く扇。



きらびやかな光が扇を包み込んでいく。


30本の全ての骨組みに生まれる魔術の核。



その光に気づいた瞬間に。


真哉の表情が引きつるのがはっきりと見えたわ。



「さあ、見せてもらえるかしら?真哉がどこまで耐えられるのかを、ね。」



扇を水平に構え直す。


そしてゆっくりと扇を動かして、

真哉に向かって扇を振る。



それが最後の音だったでしょうね。



聴覚が麻痺するほどの爆音が会場内に響き渡って、

試合場の崩壊と同時に真哉の姿が見えなくなったのよ。



…さてさて。



普通に考えればこれで終わるはずよね。



だけどね?


まだまだ油断するつもりなんてないわ。



音が戻った試合場で爆心地を眺め続ける。



アルテマを突き抜けて来る真哉の動きを予想しているからよ。



だからこれは予定通りなの。


あくまでも真哉の足止めでしかないの。



「…温いぜっ!!」



…でしょうね。



魔術突破の能力によってアルテマを突き抜けた真哉にはそれほど被害がないように見えるわ。



「この程度で勝てると思うなよっ!!」



…最初から思ってないわよ。



さっきのお返しとばかりに微笑みを浮かべる真哉だけどね。



この行動はすでに予想していたの。



総魔との試合を見ていたから。


すでに知っているんだから。


驚くようなことじゃないのよ。



「…あ~、うん。ごめんね〜?温くて悪かったわね〜。」



だから、ね。



「もう少しだけ温めてあげるわ♪」



次に私は『対真哉用』の魔術を発動させることにしたの。



「トールハンマー!!!」



強力な電撃がルーンから生まれて、

上空から真哉に襲い掛かる。



「はぁ?…んな程度の雷撃が俺に通用すると思っ…て!?が、ぐぁ…っ!!」



突撃の姿勢のまま試合場に突っ込んだのよ。



ずざざ…って試合場に転がった姿は笑えるけれど。


今はまだ笑ってる場合じゃないわ。



魔術を維持させることが最優先だから。


手を抜くわけにはいかないのよ。



「…ねえねえ、真哉。どう?痛い?それとも余裕で平気?」


「ちぃ…っ!舐めやがって…っ!」



気合で立ち上がろうとする真哉だけど。


その努力は認めてあげない。



魔術を維持して、

全力で真哉を押さえ込んであげたわ。



「ぐ…が…あっ…!?」


「うんうん。これが真哉の限界でしょうね〜。」



いくら真哉が強行突破の能力を持っていてもね。


決して越えられない壁があるのよ。



「ねえ…真哉。」



あまり近付きすぎないように気をつけながら歩み寄る。


そして地面にはいつくばったまま身動きの取れない真哉の前で問いかけてみたの。



「いくら動きが速くてもね。『重力』までは突破出来ないでしょ?」


「くっ…!!」



立ち上がることさえ出来ない真哉は、

私を強く睨みつけていたわ。



だけどね。


何もできない真哉に睨まれたくらいでビビるほど私は気の弱い人間じゃないの。



「実はね〜。真哉との試合を考慮して考えてた切り札なの。どう?ちゃんと効果があったでしょ?」



微笑みを浮かべる私を睨み続ける真哉。



でもね?



どれだけ睨んでも結果は覆らないわ。



「これが私の力よ。言ったはずよね?私の魔術はただの魔術じゃないってね。だからもう諦めたら?」



勝利を確信して真哉に宣言してあげたわ。


だけど、真哉としてはまだまだ諦めきれないみたい。



「…ふざけんな…っ!!」



宣言する私に怒鳴り付けてくる。



「この程度でっ!」



必死に叫んでもがく姿はカッコ悪いけれど。



でもまあ、真哉らしいかな?



そういう性格だって知ってるから、

私も『本気』を出せるのよ。



「…仕方がないわね。」



諦める様子のない真哉を見た私は大きくため息を吐いてから『最後の魔術』を発動させることにしたわ。



「最後まで諦めないって感じよね。だったら特別に見せてあげるわ!これが『対総魔用』に考えた私の最強の一撃よ!!!!」



宣言してから沙織に視線を向けてみる。



「…ごめんね、沙織。」


「…え…っ?」


「あとのこと、よろしくね。」



戸惑う沙織から視線を逸らして、

とっておきの魔術を発動させたのよ。



「全ての魔力を力に変えて、今ここに破滅のときを!!秘術っ!!メテオストライク!!!!」



無制限に展開する圧縮魔術の究極乱舞。


ありとあらゆる魔術の無差別爆撃でもあるんだけどね。


舞い踊る扇の一振り毎に発生する魔術の嵐が動けない真哉に降り注ぐ。



「………!!!!!」



声にならない叫び声を上げる真哉。


試合場を包み込む結界さえ崩壊する破壊力によって、

試合場の周辺にまで余波が広がってしまう。



…ちょっとやりすぎたかな?



沙織はかろうじて結界を張るのが間に合ったようね。


優奈ちゃんは能力を発動して悠理ちゃんを庇っている姿が見えるわ。



ん~。


真哉はどうなのかな?



まともな状態なら突破出来る可能性はあるかもだけど。


さすがに身動きが取れない状況で逃げきるのは不可能だと思うのよ。



…というか。



耐え切られたらとても困るわ。



全ての魔力使い果たしてでも真哉にとどめをさそうとしてるわけだから。


だからここで立ち上がられると、

正直とんでもなく困ったことになるのよ。



「…どう、真哉?これが私の力よ…。」



その宣言だけが精一杯だったわ。


これ以上は意識を保つ余裕もない感じ。



だけど…ね。



真哉は動き出さなかったのよ。



「試合終了っ!」



意識を失って沈黙する真哉を見て、

沙織が試合終了を宣言してくれたわ。



「勝者、美袋翔子!」



…よしっ!



これでもう真哉なんて怖くないわ。



事実上、龍馬に次ぐ実力を証明してみせたからよ。



「だから…言ったでしょ…?私を…今までの私と思わないで…ってね。」



試合が終わったことで。



魔力が尽きた私も。


意識を失ってしまったみたい。



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