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THE WORLD  作者: SEASONS
4月11日
470/1318

翔子の技術

「ダイアモンド・ダスト!!!」



扇の先端から生まれる一瞬の冷気。


広範囲に拡散する冷気の核が真哉のルーンに取り付いたわ。



その瞬間に。


ラングリッサーが一瞬で凍り付いたの。


同時に。


真哉の両手も凍り付いていったわ。



「…なんだとっ!?」



戸惑う真哉が動きを止めている間にも、

氷は徐々に広がって確実に真哉の体を覆いつくしていく。



「どうする?早く対処しないと、氷が全身に広がるわよ?」



ちゃんと私の忠告を聞いてるかどうかは分からないけれど。


さすがにこのまま終わりだとつまらないわよね?



ここで終わっちゃうと煽り損というか、

お互いに嫌な気持ちのまま終わっちゃうから。


もうちょっと頑張ってもらわないと困るのよ。



「まだまだ様子見なんだから、もうちょっと頑張ってよね〜。」


「くそっ!」



真哉は焦りを見せながら急いで魔術を発動させたわ。



「フレア!!」



真哉が使ったのは炎系の魔術ね。


その炎で私の魔術を相殺するのかと思ったんだけど。



…どうも違うようね。



真哉は自分自身に向けて魔術を発動させたのよ。



「ぐっ…!?」



灼熱の炎が真哉の体を包み込む。



「…ああああああああああっ!!」



叫び声を上げる真哉だけど。


両手を覆う氷を溶かす為に、

あえて自分自身で炎を浴びたみたい。



…ったく。



相変わらず無茶をするわね~。



沙織の忠告が無駄になっちゃったじゃない。



「無茶をするんじゃないわよ…。」



そんなことを思いながらもね。


氷が溶ける前に真哉から離れようと思って、

距離をとる為に後退しようとしたの。



…だけど。



「まあ、待て…。そう慌てて逃げるなよ?」



…う、わぁぁぁぁぁぁぁ!?



真哉の言葉で戦慄しちゃったわ。



炎の中で動き出す真哉を本気で怖いって思っちゃったのよ。



でもね。


でも、ね。



ここで弱みを見せるわけにはいかないの。


気持ちで負けちゃったらそこで終わりだから。



だからまずは真哉に話しかけて、

後退のための時間を稼ぐことにしたわ。



「あんまり無茶をすると、私がとどめをさす前に倒れるわよ?」



本当はそのほうがありがたいんだけどね。


だけどそうそう上手くはいかないみたい。



「…ああ、心配しなくても大丈夫だ。その前にお前を倒すからな!!」



勝利を宣言してから炎の中で構える真哉。


自分自身を覆う炎を取り込むかのように風を操ってる。


渦巻く炎が真哉に向かって集まりだしたのよ。



その状況を見ていた私は瞬時に『ソニックブーム』が来ると判断して迎撃用の魔術を扇に注ぎ込んだわ。



その間にも準備を進める真哉が再び攻撃に出ようとしてる。



「一撃で終わらせてやるぜっ!」



槍に集まる炎と風が真哉の体を包み込んでいく。


風を纏う真哉の槍の先端が激しく輝きだしたのよ。



…ちょっと、ヤバいかも?



真哉の本気を見て焦るけれど。


だからって慌てたりはしないわ。



…うぅぅ~。


…間に合って~〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!



心の中で叫びながら扇に魔力を込め続ける。



「吹き飛べっ!!ソニックブーム!!!」



真哉が動き出した瞬間に。


龍馬との試合の時と同じ現象が起きたのよ。



風を纏う真哉の最高最速の突撃によって発生する衝撃波が試合場を削り取っていくの。



『ガリガリガリッ!!』と、

試合場を破壊しながら瞬時に距離を詰める真哉の姿は目では追えない速さに達していたわ。



例えて言うなら、

真哉自身が一本の矢になった感じ?



見る角度によっては消えたようにも見えるでしょうね。



…だけどね。



こういうのってね。


真正面からだと何となく見える気がするのよ。



動体視力ってやつ?


違うかな?



まあ、何でもいいんだけど。


私は真哉の直線上にルーンを構えたわ。



そして、魔術を展開したの。



「ジェノサイド!!!」



ついさっきボルガノンを封じた魔術を展開したのよ。



ルーンの先端に複数の魔術の核を発生させて真哉の槍を受け止める。



『ズガンッ!』と激しく突き合わさる二つのルーン。



真哉の槍の尖端と、

私の扇の先端がぶつかり合ったわ。



「…くぅ…っ!!」



さすがにボルガノンと比べると勢いが違うわね。


威力も倍くらい違ったかも?



さっきよりも大きな衝撃が発生したことで、

私の体は後方へと弾き飛ばされてしまったわ。



…うわわわっ!?



距離自体はそれほどでもなかったけれど。


さすがにね。



突撃の勢いが強すぎて、

非力な私じゃ耐え切れなかったのよ。



「…痛たた…っ。」



ふっ飛ばされて焦っちゃったけど。


追撃が来るのを恐れて急いで立ち上がったわ。



そしてもう一度扇を構え直したの。



だけどね。


そんな私の視線の先でね。



真哉は槍を突きだした姿勢のままで、

驚愕の表情を浮かべていたわ。



「そんなバカなっ!?相殺だとっ!!」



…ん?



ちゃんと止められたの?



…ということは?



真哉の切り札を防ぎ切ったってことよね?



…やっっっった〜〜〜〜〜〜!!!



これはちょっと予想外だったわ。



龍馬でさえもズタボロだったわけだしね。


私としては結構本気で怖かったのよ。



でもね?



戸惑う真哉の表情を見れたことで、

ちょっぴり自信が持てたの。



…うんうん!


…これってものすごく良い流れじゃない?



この試合が無謀じゃなかったってことが証明できたからよ。



…この流れなら勝てるわ!!



真哉は動揺してる。


そして。


ふっ飛ばされたとはいえ、私はまだ無傷。



…ちょっと打撲はあるかもだけどっ。



精神的には圧倒的優位にいるのよ!!



この状況を利用しない手はないわ。



「あれあれ~?やっぱり、もう終わりなの~?」


「くそが…っ!?」



はっきりと悔しがる様子の真哉だけど。


とっておきの一撃さえも通じなかったことで苛立ちを感じているようにも見えるわね。



…ふふん♪



すっごく良い展開になってきたわ。



だけどまだ足りないかな?



確実に勝利するためにはもう少し余裕を見せておいたほうが良いかもしれないわ。



「どうする~?もう一度、やってみる?」


「ち…っ!」



強がる私に対して、

真哉が再び突撃の姿勢を見せる。



その姿を見たらね。



防ぎきれるかな?って、

ちょっぴり不安を感じちゃったわ。



今もふっとばされたわけだしね。


不安は消えないのよ。



…だけど。



不安を抱えながらも、

ここで真哉に一つだけ忠告してあげることにしたの。



「せっかくだから一つだけ教えてあげるわね〜。『直線』で進む限り、私に真哉の攻撃は届かないわよ?」



不安を振り払おうと思って強気な発言をしたんだけどね。


もしかしたら余計なことを言っちゃったかもしれないわ。



素直にそう思う自分がいたの。



別にね。


調子に乗ってるとかそういうことじゃないわよ?



何か喋ってないと落ち着かない気持ちだったのよ。



だってね。


私の魔力の総量はちょっぴり真哉に劣っているから。



一撃に込められる魔力が違うのよ。



普通にぶつかり合ったら勢いに負けてしまうの。


そうなるはずなのよ。



それでもね。



本来なら止めきれないはずの真哉の一撃を防いでいられる最大の理由は圧縮魔術による一点集中攻撃にあるわ。



複数の魔術をただ発動させるんじゃなくて、

一点で集中して発動させているの。



一言で言えば『アルテマの縮小版』かしらね?



要するに私の魔術『ジェノサイド』は一点突破型の力技なのよ。



瞬間的な破壊力はグランド・クロス級かな?



総合的な威力はそこまで期待できないけれど。


だけどね。


いくら強力な攻撃力を持つ真哉の突撃といってもね。



直線的な攻撃なら受け止めることくらいは難しくないわ。



激突の瞬間にだけ最大威力を撃ち込めば動きを止められるからよ。



そのぐらいの技術は私にもあるの。



もともとは弓の使い手だったわけだから。


『点』を狙う攻撃は得意なのよ。



「そろそろ諦める〜?」


「うっせぇ!!」



怒りを込めて再び突撃してくる真哉だけど。


どれだけ速く動いてもね。



直線である限り、

私の攻撃からは逃れられないのよ。



勢いよく突き合わさる二つのルーン。


その直後に強力な衝撃波が吹き荒れるけれど。


今回は吹き飛ばされることなく、

その場で耐えきってみせたわ。



二度目だから攻撃を合わせやすかったのよ。



だから、でしょうね。



動きを止めた真哉の表情が青く染まっていく様子がはっきりと見えたの。



「…ね?言ったはずよ?直線では私には届かないってね。そして…」



数歩だけ後ろに下がってから、

戸惑う真哉に宣言してあげることにしたわ。



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