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THE WORLD  作者: SEASONS
4月11日
464/1282

雑魚扱い

《サイド:美袋翔子》



ふう〜。


ごちそうさまでした。



食事が終わって食器を片付けたあとで一息吐いていると。



「あら、翔子と北条君もいたのね。」



不意に沙織の声が聞こえてきたわ。



「ほえ?」



自分でも恥ずかしいって思うくらい間抜けな声を発しながら振り返ってみる。


すぐ傍に微笑みを浮かべる沙織がいて、

私に視線を向けていたのよ。



「あれ?沙織もいたの?」


「ええ、少し前からね。だけど二人がいることに気が付かなかったわ。」



苦笑する沙織だけど。


私も沙織に気付かなかったからお互い様よね。



これだけ広い食堂だと気付かなくても不思議じゃないからよ。


むしろ探せば他にも知り合いはいるはずだと思うわ。



総魔に優奈ちゃんに悠理ちゃん。


龍馬だってそうだし。


里沙や百花や美春だっているかもしれないわね。



ただ気付いていないだけで、

同じように食堂にいる可能性は否定出来ないのよ。



だからこうして沙織と出会えただけでも運が良いって思う。



なんてね。



そんなことを考えている間に、

沙織が真哉に話しかけていたわ。



「昨日、翔子から龍馬と試合をしたって聞いたけど、体はもう大丈夫なの?」


「ん?ああ、もうバッチリだぜ!完全に健康そのものってところだな。」



全力で笑う真哉に、

私は冷めた視線を向けてあげたわ。



「真哉から元気をとったら何も残らないしね~?」


「んだとぉ!?」



苛立ちながら睨みつけてくる真哉だけど。


それでも私は言葉を続けたわ。



「総魔に負けて、龍馬にも負けたでしょ?」



気付けば100位以下の番号って…。



「この上、元気をとったら何かもう可哀相なくらい雑魚扱いよね~。」


「んなっ!!ふざけんなぁ!!!」



怒りをあらわにする真哉。


そんな真哉を見兼ねて、沙織が間に入ったわ。



「…翔子。さすがに言いすぎよ?」



…あう。



確かに。


ちょっと言い過ぎたわね。



「ごめん…。」



沙織に叱られて気まずくなっちゃったのよ。



ちょっと調子に乗りすぎたかな?



そう思ったからすぐに真哉に謝ることにしたの。



「ごめんごめん。言いすぎたわ。」



わりと素直に謝ってみたんだけどね。


真哉の怒りは収まらないみたい。



「翔子!!」



突然立ち上がった真哉が『その言葉』を口に出してしまうのよ。



「俺と勝負しろっ!俺とお前のどっちが上かはっきりさせてやる!!」



うわ~。


そうなっちゃったか~。



…う~ん。



どうしよう?



今更ながら思うんだけど。


最高記録4位の私は真哉に勝ったことが一度もないのよ。


一つ上だった沙織に挑戦した回数は2回だけ。


これはただのお試しって感じ?


沙織と傷つけ合う趣味なんてないし。


私がどこまで戦えるかの確認に付き合ってもらっただけで真剣勝負だったわけじゃないわ。



だから勝敗自体は気にしてないんだけどね。



その上にいた真哉と試合をした回数は4回。



こっちはわりと本気でボコボコにしてあげようと思ったのよ。



だけどね。


全部負けちゃったわ。



根本的にね。


接近されちゃうとどうしようもないのよ。



弓と槍なんだから。



近付かれた時点で終わり。


そして真哉の速度に追いつけないから接近を阻むこともできないの。



だからね。


ボコボコにしたかったけど現実は正反対。


一撃も入れられずに負け続けたのよ。



…だからこそ。



一発で良いからぶち込んで反省させてやりたいって、ずっと思っていたの。



…以前の私なら何もできなかったと思う。



でも、今はどうなのかな?



ちょっとは成長したと思うんだけど。


接近戦が苦手なのは変わらないのよね〜。



それでもアルテマを叩き込めば一撃で勝てるはず。



お互いに一発勝負。


先に先制したほうが勝ちってことよね?



そうなると、どちらが勝つかは予測出来ないわ。



…出来るかな?



今までなら戦う前から負けを認めるところだけど。


新たな力を手にした今の私なら真哉に劣るとは思わないわ。



昨日の試合を見た限りで言えば、

私だって十分真哉と戦える気がするのよ。



「別に良いけど、私を『今までの私』と思わないほうが良いわよ?」


「ほう!随分な言葉じゃねえか!!おもしれえ!翔子がどれだけ強くなったのか俺が判断してやるっ!!!」



熱く宣言する真哉がやる気になったことで、

私達は検定会場に移動することになってしまったわ。



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