教師役は…
《サイド:深海優奈》
午後7時20分頃。
晩御飯を食べ終えた私と悠理ちゃんは寮に帰るために食堂がある校舎から出ることにしました。
「疲れたね…悠理ちゃん。」
「ホントに〜〜~。今日は丸一日、図書館で過ごした気がするわ。なんかもう二度と勉強なんてしたくない!!って感じよね〜。」
「…あ~、うん…。」
…ですね。
激しくため息を吐く悠理ちゃんの気持ちは私にも凄く分かります。
常盤先輩が教えてくれている間は楽しかったんですけど。
常盤先輩のいない勉強は正直楽しくありません。
分からないことを調べようにも、
まず何から調べればいいのかが分からなくて、
どうしていいのかも分からないっていう感じだからです。
もちろんここは学校ですので、
素直に教室で先生に教えてもらうことは出来ます。
…ですが。
以前そうしようと思って教室に行った時に何を話しているのかさっぱり理解出来なくて、
話についていけなかった経験があるんです。
初心者用の教室に行ったのに、
それでも全く勉強についていけなかったんです。
「やっぱり、誰か教えてくれる人がいないとダメだよね~。」
「…うん。」
悠理ちゃんの言葉に頷いてしまいます。
ホンの数時間だけでしたが、
常盤先輩が先生になってくれたことがすごく身に染みたからです。
独学も良いとは思うのですが、
やっぱり教えてくれる人がいたほうが分かりやすいと思いました。
「明日は無理かな~?」
「毎日は無理だと思うよ?」
さすがに連続は無理だと思います。
「だよね~。誰か他の人でも良いんだけどね~。翔子先輩とか?御堂先輩とか?」
…確かに。
先輩達にお願いするのも良いと思います。
ですが個人的には総魔さんに教わってみたい気がします。
同じ日に入学したとは思えない勢いで様々な魔術を扱える総魔さんなら、
きっと先生としても十分だと思うんです。
…それに。
お願いしたら普通に引き受けてくれそうな気がするのですが…無理でしょうか?
…一度、聞いてみたほうが良いでしょうか?
なんて。
総魔さんのことを考えている間に、
今日もまた寮の前までたどり着いてしまいました。
「どう、優奈?今日も泊まっていく?」
「…良いの?」
「良いわよ〜。一人よりも二人のほうが楽しいし!」
「ありがとう♪じゃあ、行くね…!あ…でも今日はちょっと荷物を取りに行っても良い?」
「良いよ〜。」
「…うん。すぐに取って来るね…!」
悠理ちゃんを残して、
急いで自室に向かって駆け出しました。
今日も悠理ちゃんのお部屋にお泊りです♪
そう考えるだけで嬉しくて仕方ありません。
慌てて部屋に帰って、
必要な荷物をまとめることにしました。
一通りの荷物は鞄の中に入っているのですが、
今日は素直に着替えも持っていこうと思います。
…急いで戻らないとっ。
悠理ちゃんは待ってくれているはずです。
往復で10分くらいかかったでしょうか?
大急ぎで荷物を鞄に詰め込んでから、
悠理ちゃんの元に駆け戻りました。
「…はぁ…はぁ…っ。お待たせ…悠理ちゃん…っ。」
「早かったわね〜。大丈夫?」
息を切らせる私を心配そうに覗き込む悠理ちゃんですが。
私は精一杯の笑顔で微笑んでから悠理ちゃんと手を繋ぎました。
「大丈夫だよ…。行こう、悠理ちゃん♪」
「おっけ~!」
悠理ちゃんと二人で歩き出します。
少しでも長く。
楽しい時間が過ごせるように。
今日も悠理ちゃんのお部屋に向かうことにしました。




