戦闘馬鹿
《サイド:御堂龍馬》
午後5時40分。
僕は今、真哉と試合場で向かい合っている。
「こうして真哉と試合をするのは久し振りだね。」
「ああ、そうだな。軽く半年ぶりか?以前と比べてどう成長したのかを見せてもらうぜ。」
気合い十分の真哉は本気で僕との試合に挑むつもりのようだ。
…だとしたら。
どうだろう?
僕は勝てるのかな?
…自信がない、とは言わない。
けれど。
僕はまだ全力で戦ったことがないんだ。
各会場を勝ち抜いてきたのは間違いないけれど。
本気を出さなければ勝てないような試合はまだ一度も経験していない。
…今の僕の力がどこまで通用するのかが分からないのが悩みどころだね。
せめて真哉との試合の前に、
この会場で経験しておきたかったと思う。
一度でもいいから本気の試合を経験していればルーンの扱い方が分かるんだけど。
今はまだ本気を出したことがないからね。
不慣れな力で真哉と戦って勝てるかどうかは分からないんだ。
…今の僕の力で勝てるかな?
少なからず不安はある。
だけど。
…いや。
だからこそ。
真哉と戦えることに意味があるんだ。
…僕が僕自身を知るために。
勝てないかもしれない戦いに挑む価値はある。
「以前の僕とは違うよ。それだけは知っておいてほしい。」
「だったら全力で戦え!先に言っておくが、俺を幻滅させるなよ?」
「ああ、最初から全力で行くつもりだ。僕の新たな力を真哉に見せる!!」
気合いを込めて真哉に立ち向かう。
…これが。
ここからが僕の本当の戦いだ!
彼に追いつき。
乗り越える為に。
僕は真哉に勝つ!!
そんな闘志全開の僕と真哉の間を遮るかのように。
すぐ傍で様子を見ていた翔子が試合場の中心に歩み出てきた。
「…ったく、ホントにあんた達は戦闘馬鹿ね~。こんな試合、誰も審判なんてやりたがらないんだから、ちょっとは私に感謝しなさいよ?」
呆れ顔で愚痴を言っているけれど。
今回は翔子が審判役をしてくれるようだ。
「どういう理由でこうなったのかは知らないけどね。審判は私がやるわよ。いいわね?」
翔子の質問に頷く。
「ああ、お願いするよ。」
「ドジって巻き込まれんなよ?」
「はあ…。」
真哉の言葉を聞いた翔子はため息を吐いている。
「ったく~。どうなっても知らないからね!」
少し投げやりな態度だったけどね。
それでも翔子は右手をしっかりと高く頭上に掲げた。
「さあ、いくわよ!試合、開始っ!」
ぶんっ!と右手を振り下ろした翔子は即座に後方に下がった。
その瞬間に。
僕と真哉は同時にルーンを発動させて、
一直線に駆け出したんだ。




