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THE WORLD  作者: SEASONS
4月10日
449/1354

運動

そして20分後。



真哉に連れられた僕は第1検定試験会場にたどり着いてしまったんだ。



…体を動かすって言ってもね。



僕の成績は2位だ。


対戦できる相手なんて彼しかいない。



…だけど彼との試合は禁止されているから。



現時点で僕が試合を挑める相手なんてどこにもいないんだ。



だからと言って格下からの挑戦を受けられるわけでもない。


少なくとも相手側がその気にならない限り、

試合は成立しないからね。



…どうするつもりなんだろうか?



受付に向かう真哉に並んで、

これからどうするのかを尋ねてみる。



「それで?僕はどうすればいいんだ?」



ここに来た理由を尋ねてみたことで、

真哉は楽しそうに笑いながら答えてくれた。



「ははっ。どうもこうねえよ。決まってるだろ?俺と試合をするんだよ。」



………。


………。


………。



「…はぁっ?」



一瞬何を言われたのか分からなかった。



「驚いてないでさっさと行くぞ。」



…い、いや。



行くと言われても突然の出来事すぎて困ってしまう。



…だけど。



今のこの状況は格下からの挑戦という条件が成立してしまっているから僕に断る権利は存在しない。



問答無用で手続きを進めてしまった真哉によって、

僕が反論する前に手続きが終わってしまったんだ。



「よし!試合場に行くか!」


「ま、待ってくれ!真哉っ!!」


「ん?なんだ?」



不思議そうに僕を見つめる真哉の様子を見る限り、

僕の疑問は全く通じていないようだね。



「さっき、運動って言わなかったか?」


「ああ、言ったな。それがどうかしたか?」


「どうかしたかじゃなくて、それがどうして真哉との試合になるんだ!?」


「俺がやりたいからに決まってるだろ?」


「なっ!?最初からそのつもりだったのか!?」


「何を今更…当然だろ?」


「聞いてなかったんだけど!?」


「そうだったか?まあ、細かいことはどうでもいいじゃねえか。」



細かい…のかな?



「…それにな。お前と試合をするって手続きはもう済んでるんだ。」


「それは、まあ…今…。」



目の前で見ていたけれど。



「そういう問題じゃねえよ。試合の事前通告。あいつと同じ制限を持つお前と試合をするために、わざわざ前もって手続きをしておいたんだからな。」



………。



彼と同じ制限。



それは試合場を数の力で守り抜くための手続きだ。


僕と彼は事前に申請を出さなければ試合自体行うことができないという条件がある。


そのせいで即断即決の試合はできない。



…だから、か。



「だから特風会に戻ってくるのが遅かったのか。」


「そういうことだ。」



真哉は会議室に帰る前に試合の手続きをしていたらしい。



…そういうことか。



だからこの状況が成立しているんだ。



会場の雰囲気が普段とは違う。



ルーン研究所の職員は総魔の実験に付きっきりだろうからここにいないのは仕方がないとしても。


本来ならいるはずのない教員達が数多く待機しているのが確認できるからだ。



理事長は町に出ているから当然ここにはいないけれど。



それでもね。



50人近い教員が会場に集まっている。



「今更止めるとは言えないだろ?」


「それは、まあ…。」



半強制的に集められてしまった教員達にこのまま帰ってもらうというのはそれはそれで失礼かもしれない。



…だけど。



今ここで真哉と戦わなければいけない理由もないと思うんだ。



「どうして…?」



試合をしようと思ったのか?


その理由が知りたかったんだけど。


大きな疑問を感じる僕に真哉は真剣な表情で話してくれた。



「…知りたいんだよ。」



知りたい?


真哉が?



「何を…?」


「…なあ、龍馬。」



僕が質問するよりも先に答えてくれたんだ。



「俺がいない間に、お前がどれだけ強くなったのかを知りたいんだよ。お前が新たに手に入れた力がどれほどのものなのか?ってな。そしてそれが天城総魔に匹敵するものなのかどうか。それが知りたい」



………。



真哉は言った。



僕の力が彼に通用するかどうかを知りたいと。


確かに僕の力と彼の力を比較できるのは真哉だけかもしれない。



他の誰でもなくて。


真哉だからこそ見極めることが出来るのかもしれない。



彼の実力を経験している真哉だからこそ判断出来るはずだ。



「どうしても嫌だってんなら無理にとは言わねえが、やって損はないはずだぜ?」



真剣な表情の真哉は本気で僕と彼を比較するつもりなのかも知れないね。



そう思える雰囲気があったんだ。



「どうだ?やるのか?やらないのか?」



真哉と試合をするかどうか。



…返事は考えるまでもないかな。



問いかけられたことで、

僕はしっかりと頷いた。



「わかった。試合をしよう。」


「おーけー!それでいい!」



笑顔に戻った真哉が試合場に向かって歩きだす。


その後ろ姿を眺めながら、

僕は気持ちを切り替える為に一度だけ大きく深呼吸をした。



そして。



真哉の背中を見つめながら、

僕も試合場に向かって歩きだしたんだ。


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