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THE WORLD  作者: SEASONS
4月10日
448/1318

表と裏

「これで一通り終わりかな~?」


「そうね。もう良いと思うわよ。」



里沙と百花は仕事を終えたようだね。


書類を片付けてから席を立った。


そして二人で仕上げた書類が僕の机の上に置かれてしまう。



…えっと…。



どさっ…と、積み上げられた書類の高さは、

ざっと30センチを越えているんじゃないかな?



「すでに仕事を抱えてる状況で、さらに仕事が増えて申し訳ないけれど…。責任者として全ての書類に目を通してもらわないといけないのよ。」



…え?


…あ、うん。



「そ、そうだね…。」



百花の言葉を聞いて、

密かに冷や汗を流してしまった。



ようやく終わりかけていたはずの仕事がまた一気に増えてしまったからだ。



「沙織がいれば良いんだけどね〜。」


「ぅ…。」



…そこは否定できない、かな。



情けないとは思うけどね。


里沙の言葉に反応してしまう自分がいたんだ。



確かにね。


沙織がいれば僕の仕事が半減するのは間違いない。



沙織はこういった作業を得意としているし。


翔子が負担すべき分を淳弥が補っているように、

僕の負担すべき分を沙織が補ってくれれば仕事は一気に減るんだ。



だけど沙織にも都合があるから、

そうそう何度も頼るわけにはいかないと思ってる。



ただでさえ僕や翔子が降格している間、

沙織には負担をかけていたからね。



それなのに。


ここでまた助けて欲しいなんて言えるわけがない。



だからこれまでの遅れを取り戻すために、

僕一人で片付けるようにしていたんだけど。


さすがにこの数日間で溜め込んだ仕事の量が思っていた以上に多くて、

正直間に合う状況ではなかった。



単に書類に目を通すだけなら簡単なんだけどね。



今回のように直接動くような仕事も沢山あって、

のんびりしていられる余裕がなかったんだ。



真哉を筆頭として。


岩永一郎、大森遼一、伊倉信夫、梶原裕美の5人が戦闘部門として学園中を奔走してくれているからそれなりの余裕はあるんだけれど。


それでも全ての問題を処理出来るだけの人手が足りていないのも事実になる。



学園内には2万人もの人口がいるからね。


毎日のように発生する苦情と問題が後を絶たないんだ。



「そもそもこれだけの仕事をたった数人で処理しようなんて考え方自体がおかしいわよね~。」



…確かに。



それは僕も同意見だった。



里沙の言葉に同意したい気持ちは山々なんだ。



…だけどね。



愚痴を言っても解決しない問題だと思ってる。



「現場の判断は僕達で決めることだけど、沢山の風紀委員が僕達の手足となって動いてくれてるわけだからね。僕達は僕達で出来る限りの手を尽くすしかないよ。」


「…まあ、ね~。」



ため息を吐く里沙だけど。


無理だと思う気持ちは僕も十分理解してる。



…それでもね。



これは誰かがやらなければいけないことなんだよ。



「もういっそのこと、生徒会に全部押し付けちゃえば?」



…あー、いや。



それはダメじゃないかな?



里沙が指摘した生徒会。


それは特風と対を成す学園の重要な委員会の一つになる。



ただしそちらは武力的にはあまり強くなくて政治的な側面が強いんだ。



各委員会の予算編成や学園そのものの維持管理といった面倒な仕事が多くてね。


仕事を頼める余裕なんてありそうにないんだよ。



…と、いうよりも。



表の生徒会に対を成す、

裏の特風という立場を忘れるわけにはいかない。



学園の暗部を任されているのが特風であり、

表の生徒会にそれを押し付けることは出来ないんだ。



それでは本末転倒になってしまうからね。



「生徒会には頼めないよ。そもそも向こうは武力よりも学力重視だからね。戦力にはならないよ。」


「はぁ。結局、私達がやらなきゃいけないわけね…。」


「残念だけど、そうなるね。」



僕の言葉を聞いてため息を吐き続ける里沙の表情は疲れを物語っている。


どうやら僕が思っている以上に疲れているのかもしれないね。



「今日はもう帰ろうかな〜?」


「ありがとう、お疲れ様。」


「うん。じゃあね~。」



立ち去る里沙を追い掛けるように、

片付けを終えた百花も歩きだす。



「時間があれば、また今度手伝いに来るわ。」


「ああ、ありがとう。」



二人が会議室を出るのを見送ってから、

残った真哉に話しかけてみる。



「真哉もありがとう。疲れただろうから、今日はもう帰っていいよ。」



真哉にもゆっくり休んでもらおうと思ったんだけどね。


仕事を再開しようとした僕に、

真哉が真剣な表情で話しかけてきたんだ。



「まあ…帰っても良いんだが、その前に…な。」



微笑みながら語りかけてきた。



「ちょっとばかり、気分転換にでも行かないか?」



…ん?



気分転換?


今から?


どういうことだろうか?



「ずっとここにいたら疲れるだろ?少し体を動かした方がいいんじゃねえか?」



…それはまあ。



疲れてないとは言えないけれど。



「動かすって、どうするんだ?」


「会場で運動をするんだよ。全力で体を動かした方が余計なことを考えずに済むだろ?」


「い、いや…そうは言っても…。」



机の上に残された山積みの書類を放置するわけにはいかない。



「まだ仕事が…」


「まあまあ、あとのことはあとで考えて、一度会場に行って見ようぜ?」



強引に誘われてしまったんだ。



まだ仕事が終わらないのに。



書類の山を残したままで。



会議室を出ることになってしまったんだ。



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