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THE WORLD  作者: SEASONS
4月10日
446/1318

最善策

《サイド:御堂龍馬》



『キーン…コーン…カーン…コーン…。』



午後5時を知らせる鐘の音が学園中に鳴り響いた。



「ふう。もう、そんな時間なのか。」


「…ははっ。」



一息吐いてみると、

仕事を終えた淳弥が僕の傍に歩み寄ってきたんだ。



「お互いにそうだが、さすがに一日中、事務処理ってのは辛いよな。」


「ああ、そうだね。」



僕と同じように今日一日を特風会で過ごすことになった淳弥は疲れきった表情を見せている。



でもまあ、さすがにこれは仕方がない部分かな?



翔子だけじゃなくて、

数日とは言え僕達が抜けていた穴埋めを彼一人で補っていたんだ。



沙織も頑張ってくれていたとは思うけれど。


やっぱり無理があっただろうね。



…と、言うか。



岩永君や大森君。


それに桃花や由香里も医務室送りになっていた事実を考えれば、

実質特風の半数が行動不能だったことになる。



その間は沙織と淳弥が特風を管理してくれていたわけだけど。


さすがにそろそろ限界かな?



淳弥には休暇をあげるべきかもしれないね。



「ごめんね。きみには苦労をかけてばかりだ。」


「いやいや、まあ…それほどでもないから気にするな。こういう作業の方が俺には向いてるし、好きでやってることだからな。不満なんてないから気にしないでくれ。」


「…ありがとう。そう言ってもらえると助かるよ。」



心からそう思う。



本当に淳弥にはお世話になってばかりだと思うんだ。


すでに木戸君と須玉さんはここにはいないけれど。


代わりに今は里沙と百花がいてくれている。



でもね。



一番大変なのはやっぱり淳弥だと思うんだ。



「ありがとう。」


「…ははっ。気にするな。」



そう言って笑ってくれるんだけど。


一日中、書類整理をしていたからかな?


ペンを持つ手が疲れたのか、

ぶらぶらと手を振っていた。



「…でもまあ、翔子がちゃんと仕事をしてくれれば、こんな苦労をしなくて済むんだけどな。」



…ああ、まあ、そうだね。



そうかもしれないね。


だけどね。


翔子に手伝えと言っても無駄なのは分かっているよ。



この手の作業は翔子には向いてないからね。



大人しく席について黙々と書類と向き合う翔子の姿なんて、

はっきり言って想像できない。



だから愚痴をこぼす淳弥を見て苦笑してしまったんだ。



「…ははっ。仕方がないよ。翔子もああ見えて、色々と忙しいだろうからね。」


「…だとは思うけどな。でも、ちょっとくらい手伝ってくれても良いんじゃねえか?」



愚痴る淳弥だけど。


会話を聞いていた里沙が僕達の会話に割り込んできたんだ。



「だっ、かっ、らっ!私達が手伝ってあげてるんじゃないのよ!!」



怒鳴る里沙に続いて、

百花も会話に入ってくる。



「顔を出すだけでもまだ良いでしょう?他の子達は滅多に来ないんだから。」


「…いやまあ、そう言われるとそうなんだけどな。でも、だからって何もしなくて良いわけじゃねえだろ?」


「はあ?翔子は一番難易度の高い任務に就いてるんだから、何もしてないわけじゃないでしょう?『彼』との仲介役として頑張ってると思うわよ。」


「それはまあ…そうかもしれねえけどな。でも、見てる限りだとあれはもう楽しんでやってるだろ?」


「そう思うのなら、長野君が代われば良いんじゃない?」


「…いや、それは無理だろ?」


「誰がやっても無理なのよ。あれは翔子にしかできないわ。だから翔子に任せておけば良いのよ。」


「う…。」



言いくるめられてしまう淳弥は気まずそうな表情で僕に視線を戻していた。



だけどね。


僕としても何も言えない案件だと思う。



彼に関する出来事は全て翔子に任せるのが最善だと思うからね。



彼の信頼を得るのは僕でも難しいし、

真哉や沙織でも難しいと思う。



現状では翔子が一番近い場所にいると思うから、

翔子に任せておくのが最善策だと思うんだ。



「翔子は今のままで良いんだよ。それが一番丸く収まる方法だからね。」


「はあ…。まあいい。愚痴っても解決しないからな。とりあえず今日は帰る。まだ片付いてないが、これ以上は精神的に持たないからな。続きは明日に回して今日はさっさと寝ることにする。」


「ああ、分かったよ。ありがとう。お疲れ様。」



あまり無理はしないほうが良いからね。



「今日はもうゆっくり休んだ方がいいよ。」


「御堂に言われると、返す言葉に困るけどな。」



どう考えても僕の方が仕事の量が多いことを知ってるからだろうね。


僕の机に視線を向けた淳弥は、

それ以上の愚痴を諦めて歩き出した。



「…明日また来る。」


「うん。またね。」


「ああ、じゃあな」



淳弥は会議室を出て行った。



その結果として。


再び里沙の不満が高まってしまったようだ。



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