3ヶ月
《サイド:美袋翔子》
…ちょっ!?
…冗談でしょっ!?
どうして使えるのよっ!?
…あり得ない。
…あり得ないわ。
こんなことはあり得ないのよ!!
ずっと傍にいた私ですら考えていなかったのよ。
総魔が圧縮魔術を使えるようになってるなんて。
思ってもいなかったの。
…いくらなんでも早すぎるでしょ!?
こんなのもう、成長が早いとかそういう話じゃないわ。
…だって。
だって、ついさっきまで存在すら知らなかったのよ!?
それなのに。
たった数時間で圧縮魔術を身に着けてしまうなんて、
予想できるわけないじゃない!!
そのうち使えるようになるんだろうな~なんて、
可能性としてはあると思っていたわ。
だけど、それはね。
あくまでもね。
何十日とか。
何ヶ月とか。
ちゃんと練習を積み重ねてから、
ようやく使えるようになると思っていたのよ。
…だって。
だって、私がそうだったんだから!!
私でさえ圧縮魔術を使えるようになるまでに三ヶ月もかかったのよ。
だからいくら限界が見えない総魔でも、
それは同じだと思っていたの。
そんな簡単な技術じゃないのよ!!
一日や二日で習得出来るような簡単な魔術じゃないんだから!
図書館で1時間くらい勉強した程度で使えるようになるほど簡単な技術じゃないはずなのよ!!
そのことは、私自身が誰よりも理解しているわ。
本来ならちゃんと訓練をして、
圧縮魔術の危険性を理解してからじゃないと使えないのよ!
もしも暴発したら死んじゃう可能性だってあるんだから!
普通に考えて使えるようになるなんて思わないわよね?
出来るはずがないのよ!!
…だから。
だからさっきまで思っていたのよ。
圧縮魔術を使えないって勝手に思い込んでいたの。
それなのに、現実は違ったわ。
…いったい、どれだけ強くなるのよ?
すでに私の予想を遥かに上回っているわ。
総魔は圧縮魔術を習得してしまったのよ。
暴走させずに使用できる事を実証して見せたの。
それも、『最上級魔術』で。
今の私でもエクスカリバーの圧縮は全集中力を費やしても使えるかどうか分からないわ。
例え出来たとしても総魔のように簡単に発動出来る余裕はなかったと思う。
…試合開始と同時に牽制目的で使い捨てるくらいならできなくもないけれど。
対戦相手の行動次第では無駄うちに終わるでしょうね。
…こうなるともう。
疑う余地はないのかもしれないわ。
総魔はすでに私を上回る実力を持っている可能性が高まってきたのよ。
…さすがに。
さすがにね。
これはもう本気で無理かもしれないわ。
ついさっき、理事長には話したけれど。
その可能性があるかもしれないって伝えたけれど。
…だけど、それでも。
内心ではまだ大丈夫だって思っていたのよ。
今ならまだ私の方が実力は上だって信じていたの。
それなのに。
それがただの思い込みでしかないことを痛感させられてしまったわ。
…悔しいけれど。
総魔の実力を甘く見ていたのよ。
だから素直に思ってしまったの。
今はもう勝てないかもしれない、って。
底の見えない総魔の実力に恐怖すら感じて、
密かに冷や汗をかいてしまったわ。
だけど。
そんな私の様子なんて全く気にもせずに、
総魔はふらつく工藤さんに攻撃を再開しようとしていたのよ。




