表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THE WORLD  作者: SEASONS
4月10日
436/1330

回復魔術

「ヒーリング」



ふわっとした温もりを感じた瞬間に、

頬の痛みが治まりました。



唇の傷も消えたようです。


今はもう、血の味がしません。



「あ、ありがとございます。もう大丈夫で

す」


「そうかい?だったらいいけど、ごめんね。軽い怪我ならなんとか出来ると思うんだけど、回復系はあまり得意じゃないからこの程度の治療しかできないんだ。」



回復魔術は得意じゃないと言って照れ笑いを浮かべる御堂先輩ですが、

先輩のおかげで痛みはもうありません。


まだ殴られたことの恐怖が残っていて自然と体が震えてしまうのですが、

先輩達がいてくれるから大丈夫だと思います。



しばらくすれば落ち着けるはずです。



「だ、大丈夫です。ありがとうございました。」



北条先輩と御堂先輩のおかげで私と悠理ちゃんは助かりました。



鎌田さんに対する不安はまだ残っていますが、

過ぎてしまったことを悩んでも仕方がありません。



今後のことは今後、考えるしかないんです。



そう思ってふと周囲を見回して見ると…。


事態が収まったことを感じたのでしょうか?



傍観していた生徒さん達が一斉に日常に戻って行く姿が見えました。



静寂から喧騒へ。



賑わいを取り戻した食堂の入り口で、

私は悠理ちゃんに手を引いてもらいながら立ち上がりました。



「大丈夫?」


「う、うん!」



心配そうに顔を覗き込んでくれた悠理ちゃんに精一杯の笑顔で応えました。



いつまでも心配をかけるわけにはいきませんし。


今は先輩達もいてくれますので、

安心して落ち着くことができるからです。



「もう、大丈夫だよ。」


「そっか。ならいいんだけど…ったくあの馬鹿は~。優奈に手を出すなんて、今度、会ったら絶対に許さないんだからっ!!」



怒りに燃える悠理ちゃんに苦笑しながら、

私は先輩達に頭を下げました。



お礼を言うためです。



「助かりました。ありがとうございます。北条先輩が来てくれなかったらどうなっていたか…」



もしも北条先輩がいなかったら?


もしも御堂先輩の到着が間に合わなかったら?



私も悠理ちゃんも、

もっと辛い思いをしていたかもしれません。


だからしっかりとお礼を言っておきたいと思ったのですが…。



「あー、いや、まあ、なんだ…。」



何故か北条先輩は気まずそうな表情を見せていました。



「その、な。すぐ近くにいたんだが、いきなりもめ事になるとは思わなかったから少し出遅れてな…。悪いっ!!俺がもう少し早く動いていれば痛い思いをさせずに済んだんだ。」



北条先輩は申し訳なさそうに頭を下げながら謝罪してくれました。



悪いことなんて何もしていないのに、です。



御堂先輩と違って北条先輩とはあまり関わりがないのでどういう方なのか知らなかったのですが、

今の態度を見ただけでとても優しい人なのは分かりました。



「い、いえ…。それでも助けていただいたのは事実ですから…。」


「いや、まあ、そう言ってもらえると有難いが、人を探していたから出遅れたんだ。申し訳ねえ。」



…人探し?



北条先輩の言葉を聞いていた御堂先輩も不思議そうに首をかしげていますね。



「誰か探してるのかい?」


「ん?ああ、まあな。昨日、話しただろ?例の水晶玉を借りたいんだが『あいつ』に会わないことには話が進まねえからな。」



北条先輩が探しているのが誰なのか、

『あいつ』という表現だけでは分かりません。


ですが『水晶玉』という言葉で誰なのかが分かってしまいました。



「総魔さんを捜してるんですか?」


「ああそうだ。ここで待ってれば会えるんじゃないかと思ってな。」



食堂の入口にいれば会えると考えていたそうです。



…ということは。



総魔さんはまだ食堂に来ていないのでしょうか?



時計の針はもうすぐ12時30分になります。


このまま待っていれば合流出来るのでしょうか?



そんな期待を感じたことで、

北条先輩にお願いしてみることにしました。



「でしたら私も一緒に待たせてもらってもいいですか?」


「え?優奈も待つの?じゃあ、私も待とうかな~。」


「断る理由はねえからな。好きにすればいいんじゃねえか?」



私と悠理ちゃんに優しく頷いてくれる北条先輩の隣で、

御堂先輩も動く気配がありませんでした。



「それじゃあ、せっかくだから僕も待たせてもらおうかな。」



御堂先輩の言葉をきっかけとして、

私達は総魔さんが来るまで待つことになりました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ