どちらかと言えば
「これで私もようやく所持者の仲間入りね!!!」
喜ぶ私だけど、何故か淳弥が冷めた視線で尋ねてくる。
「まあ翔子がいいならそれでいいが、ルーンの名前は決まったのか?」
え?
名前?
そう言えばまだ決めてなかったわね。
どうしようかな~?
扇を眺めながら名前を考えてみる。
だけど悩む必要はなかったわ。
扇の名前はすぐに浮かんできたからよ。
『グロリアスクイーン』
まあ、辞典のレッドクイーンから名前を借りたと言えなくもないけどね。
これが私のルーンの名前よ。
名前の意味は『光り輝く女王』
この名前こそ。
私のルーンに相応しい気がしたわ。
「グロリアスクイーン。それが私のルーンの名前よ♪」
「ははっ…なるほどな。」
宣言した瞬間にね。
何故か淳弥は笑いながら扇に視線を向けていたわ。
「確かに翔子に相応しい名前かもしれないな。」
…ん?
…相応しい?
何だか気になる言い方ね?
「どういう意味よ〜?」
「どう…って言うか、どちらかと言えば翔子は『お姫様』っていうよりも『女王様』って感じだろ?」
…はぁ?
何を言っちゃってるの?
意味が分からないんだけど?
もしかして私のことを馬鹿にしてるの?
喧嘩なら買うわよ?…って、思ったんだけど。
「…ぷっ。」
「…あはは…っ。」
木戸君と須玉さんがまた笑い出したのよ。
それもね。
さっきよりもね。
はっきりとツボに入っていたわ。
「…ご、ごめん…っ。…はは…っ。」
「…ちょ、ちょっと…無理…!…ふふっ…。」
無理やり笑いを堪えてお腹を押さえてる感じ?
………。
ちょっと、と言うか、結構失礼じゃない?
普通にイラッとしちゃったんだけど。
でもね?
話を聞いていただけの二人に怒るつもりはないわよ?
本当よ?
その代わりにね。
思いっきり敦弥を睨んであげたわ。
「…淳弥、あんた私を馬鹿にしてるの?」
「い、いやいやいやいや…。正直な感想を言っただけだろ?」
…はあっ!?
一瞬ね。
反射的にルーンを振り回しそうになったわ。
今ここでルーンを一振するだけで
敦弥にアルテマをぶっ放せるからよ。
…でもね?
「「………っ!………っ!?………!」」
もう完全に堪えきれなくなって、
必死に声を抑えながら全力で笑ってくれちゃってる二人のせいで、
なんだか色々とバカバカしくなってきたのよ。
「はあ…。もう良いわよ。」
「ははっ。悪い悪い。謝るからそう怒らないでくれ。」
「…ふんっ!」
言い争う気にもなれなくてそっぽを向いたら、
ふざけたことを言ってくれた淳弥は背中を向けて自分の席に戻って行ったわ。
「…ったく」
失礼なやつよね~。
私のどこが女王様だって言うのよ?
まあ、お姫様って言葉が似合わないことくらい、
自分でもわかってるけどね。
それでも不満げな表情を浮かべていると、
黙って様子を見ていた龍馬が話しかけてきたのよ。
「まあまあ、ひとまずルーンが使えるようになったことは喜ぶべきだよね。あとは実際に使いこなせるようになることだけど、今日も会場に行くつもりかい?」
「う~ん。どうしようかな~?もうすぐお昼だし、とりあえずもう少し考える時間が欲しいかな?」
「そうか。だったら少しゆっくりするといいよ。まあ、ゆっくりし過ぎると彼に睨まれるだろうけどね。」
…睨まれる?
ん~。
確かに?
問題のあいつに視線を向けてみると、
淳弥は早く仕事を手伝え!と言わんばかりに私に視線を向けていたわ。
「仕事が嫌なら早めに逃げたほうがいいよ。」
淳弥に捕まる前にねって良い残してから、
龍馬も自分の席に戻って行ったわ。
うんうん。
そうするしかないわね。
あまりゆっくり出来そうな気がしないし。
とりあえず移動しようかな?
ここにいると居心地が悪い気がするから、
本棚に本を戻してから龍馬達に挨拶をして会議室をあとにしたわ。
淳弥には、近付かずに…ね。




