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THE WORLD  作者: SEASONS
4月10日
425/1342

勘の良さ

《サイド:深海優奈》



悠理ちゃんと一緒に食堂に訪れました。


時間はもうすぐ7時になります。



朝食のために二人で一緒に入口に向かっていたのですが、

その途中で悠理ちゃんが足を止めました。


何かに気づいた様子です。



「あっ!あれって…」


「ん?どうしたの?悠理ちゃん。」


「あっち、あっち!」



何でしょうか?


悠理ちゃんが指差した方向に視線を向けてみると…。



「…あっ!」



総魔さん達が入口に向かって歩いてくる姿が見えました。



悠理ちゃんは凄いです。



沢山の人達がいる中ですぐに総魔さん達を見つけられたんですから。


勘の良さを尊敬します。



「せんぱ~い!!」



悠理ちゃんが笑顔で手を振ると。


私達に気付いてくれた御堂先輩や翔子先輩が小さく手を振り返してくれました。



もちろん総魔さんも私達に気づいてくれたのですが、

誰よりも真っ先に翔子先輩が駆け寄ってきてくれました。



「おはよう、悠理ちゃん、優奈ちゃん。二人は今からご飯?」


「はい。」


「そうですよ~」



私と悠理ちゃんは揃って頷きました。



「相変わらず仲がいいわね~。もうちょっと早かったら一緒にできたんだけど、ごめんね。私達はちょうど今から出るところなのよ。」



あぅぅぅ~。



間に合わなかったようですね。


ちょっとだけ残念な気持ちになってしまいました。



「やっぱり、そうなんですか…。」


「もうちょっと早く来ればよかったかなぁ?」



私達の言葉を聞いていた常盤先輩と御堂先輩が微笑みながら「ごめんね」って言ってくれました。



ですがそんなふうに謝っていただくと私のほうが申し訳ない気持ちになってしまいます。



ゆっくり出てきた私達が悪いだけで、

先輩達は何も悪くないからです。



「…ま、また今度…ご一緒させてください。」



控えめにお願いしてから先輩達に一礼しました。


そして今度は総魔さんと向き合いました。


ちゃんとご挨拶をするためです。



「おはようございます。」


「ああ、おはよう。」



一緒にご飯を食べられなかったのは残念だったと思いますが、

こうして挨拶出来ただけでも良かったと思います。



もう少し遅かったらこうして挨拶をすることさえ出来なかったんですから、

こうして出会えただけでも十分です。



「これから、どちらに行かれるんですか?」



総魔さんに尋ねてみたのですが。



「私と天城君は研究所に向かおうと思ってるところよ。」



総魔さんではなくて、

隣にいた常盤先輩が答えてくれました。



「翔子と龍馬は特風会に行くみたいだけどね。」


「あ~、そうなんですか…。」



どちらも私と悠理ちゃんには行けそうにない場所です。


行ってはいけないということはないと思いますが、

気軽にお邪魔できる場所ではありません。



ですので。



このあとも先輩達とは別行動になるようです。



「二人はどうするの?」



翔子先輩が聞いてくれたので、

悠理ちゃんが答えました。



「私達は図書館に行く予定です!」


「…ってことは、魔術の勉強?」


「はいっ!」



元気たっぷりに返事をする悠理ちゃんを見て、

翔子先輩は微笑んでくれました。



「頑張ってね。」


「はい!」


「ありがとうございます。」



翔子先輩に応援してもらえるとすごく嬉しいです。



「頑張ります。」


「ふふっ。それじゃあまた今度、一緒にご飯食べようね。」



また今度と約束してくれた翔子先輩が歩き始めます。


そのあとを追う御堂先輩も優しく接してくれました。



「何か困ったことがあったら相談に乗るからね。何時でも特風会に来てくれれば良いよ」


「はい!ありがとうございます!」



立ち去っていく御堂先輩を悠理ちゃんは手を振って見送っていました。



その隣に並ぶ私は常盤先輩と総魔さんに話しかけることにしました。



「研究所って、今日も何かの実験ですか?」



総魔さんが翔子先輩じゃなくて常盤先輩と一緒というのがなんとなく珍しい気がしたので聞いてみたのですが、

どうやら実験とは無関係のようですね。



「いえ、実験というよりも相談と言うべきかしら?個人的に調べていることがあるんだけど、なかなか思うようにいかなくてね。それで何か少しでも新しい意見が聞ければと思っているの。」



相談…ですか。



少し気になりますが、

どんな相談なのかは聞きにくかったので、

それ以上の質問はやめておきました。



「皆さん忙しいんですね。」


「う~ん。忙しいというほどではないと思うわ。今すぐに慌てて何かをしなければいけないほどの問題はないと思うから。だからみんな自分なりに考えて、自分がやりたいと思う行動をしているだけよ。」



やりたいことをしているだけだと言ってから、

常盤先輩は私達に微笑んでくれました。



「二人はそろそろ急いだほうがいいかも知れないわね。中が込み合う前に席を確保した方がいいわ。」


「…あ、はい。」



指摘されてからすぐに食堂へ視線を向けてみると、

すでに各売店の前は行列が出来始めていました。



確かにこのままのんびりしていたら、

食事を終えるどころか始めるまでにかなりの時間がかかってしまいそうです。



「混む前に行くわよ、優奈!」


「…う、うん。そうだね」



慌てて食堂に向かうことになった私と悠理ちゃんに、

常盤先輩は笑顔のままで小さく手を振ってくれていました。



「またね。」


「…はい!」



手を振ってくれた常盤先輩に手を振り返してから、

私達も売店に向かって急ぎました。



その途中で一瞬だけ振り返ってみると。



「………。」



総魔さんと目が合った気がしました。



そしてその瞬間だけなのですが。


総魔さんが微笑んでくれたような…そんな気がしたんです。


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