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THE WORLD  作者: SEASONS
4月3日
42/185

運次第

図書館を離れてから次にたどり着いたのは第3検定試験会場だ。


今回は十分ほどでたどり着いた。


会場に入ってからまっすぐ受付に向かったのだが、

ここでついに初歩的な問題に直面してしまうことになる。



「これは…どういう事だ?」



いつも通り受け取った名簿を眺めてみた。



一番上から一番下まで、だ。


何度も往復してみたが、

どれだけ確認しても現実は変わらない。


名簿の内容は期待と大きくかけ離れたものでしかなかったからだ。



…これは予想してなかったな。



これまでは一度もこんなことがなかった。


期待通りとは言わないが、

誤差と言える範囲ではあったからだ。


だが今回は違う。



…こういうこともある、ということか。



現実的に考えれば、十分にあり得る話だ。


決しておかしなことではない。


だがそれでも、ここまでの事態は想定していなかった。



「…これでは実験にならないな。」


「ん?どうしたの?」



溜息を吐きながら呟くと、

隣にいた翔子も生徒名簿を覗き込んできた。


そして全てを察したかのように小さく頷いている。



「あ~。たまにはね。こういう事もあるわよ」



だろうな。


常に期待通りとはいかない。


それは理解できる。



「まあ、こういうのも運としか言いようがないわよね~」



…運、か。



まあ、そうかもしれないな。



おそらく翔子が美春と出会わなかった理由と同じだろう。



どの会場に向かったとしても

平均して200人ほどの生徒が集まっている。


だがこれはあくまでも平均であって、

多い時には多いが少ない時には当然少ない。



会場に訪れた時間帯によっても人数は変わるが、

生徒達の気分やその日の天候によっても集合率は変わってしまう。



そのせいで会場に行ってもまともな対戦相手がいないという事も時には有り得るということだ。



今回は120人ほどいたのだが、

どの生徒も俺が求めている番号より遥かに下の生徒達ばかりだった。



一気に1000番飛ばしを狙っているのに、

わずか五百番程度上では

実験結果として満足できない。



そのため。


どうするべきか悩んでしまったのだが、

こちらの疑問を察した翔子は俺の手を引いて次の会場へと案内してくれた。



「もうここでいいんじゃない?」



たどり着いたのは第2検定試験会場だ。


生徒番号で言えば100番から999番が集まる会場になる。


つまり、当初の目的としていた最上位の生徒達が集まる会場の一つ手前ということだ。



「ここで勝ち抜ければ、ついに三桁台か」


「ええ、そうよ。だからまずは最弱の生徒と戦ってみて、勝てそうなら最強の生徒を探してみたら?」



…ああ、そうだな。



この会場には3ケタ台の生徒が集まっている。


だからまずは1000番に近い生徒と

対戦するべきだろう。


そして無事に勝ち抜けられた場合。


次に100番に近い生徒と戦えば、

先ほど通り抜けただけの会場の生徒達の実力もおおよそ判断できることになる。



「まずは小手調べだな」



翔子の助言を受け入れて受付で申請する。



「試合がしたい」



生徒手帳を出して試合の申請をしようとしたところで。



「あ、あの…」


「…何か文句でもあるの?」



受付の担当者が何か言おうとしたのだが、

その前に翔子が遮ってしまった。



「私が案内してるんだけど?」


「………。」



威圧感を込めて問いかける翔子を見た受付の男性は、

開きかけた口を閉じて黙って名簿を差し出してくる。



…決して翔子に怯えているわけではないだろう。



どちらかと言えば面倒事を嫌がっているように思えたからな。


わざわざ言い争いをするつもりはないのだろう。



賢い選択だ。



それに何が言いたかったかは聞かなくても分かることだ。


この会場は100番から999番の生徒が集まる会場だからな。


本来なら2000程度の俺が来るような場所ではない。



そこを指摘しようとした係員よりも先に、

余計な水をさすなと言わんばかりに翔子が釘をさしたのだ。



翔子には翔子の目的があるからこその行動なのだろうが、

つまらない説得を聞くよりも話が早く進むのはこちらにとっても有り難い。



…さっさと話を進めるべきだろう。



翔子と係員のにらみ合いを見ていても仕方がないからな。


今回の試合相手を探すことにする。



「この生徒とは試合ができるか?」



手始めに対戦相手として選んだのは生徒番号988番の工藤美弥子くどうみやこだ。


会場内で最下位の生徒を選んだからだろうか。


係員は満足そうに頷いてから手続きを始めた。



「はい。試合の手続きをさせていただきますので、Bー3番の試合場へお向かい下さい」



指定された試合場に向かうために。


俺達は受付を離れることにした。





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