問題ありあり
《サイド:美袋翔子》
時間は午前6時20分頃かな〜?
いつもより早く目が覚めちゃったから、
男子寮に向かって歩いているところよ。
普段より30分以上早く部屋を出て寮に向かってる途中なんだけど。
頭の中は総魔とルーンのことで一杯だったわ。
久し振りに総魔を迎えに行こうかな~?
とか…。
ルーンの形で良いのがないかな~?
とか…。
色んなことを考えながら歩いていたんだけどね。
もうすぐ校舎を通り過ぎる…っていうところで、
なんとなく見覚えのある人の後ろ姿が見えた気がしたの。
「…ん?あれ?」
あれって、総魔よね?
慌てて走り出してしまったわ。
堂々とした足取りで食堂に向かう総魔に全力で駆け寄ったのよ。
「総魔〜!!」
背後から呼び掛ける私の声に気づいてくれたのかな。
足を止めた総魔がゆっくりと振り返ってくれたわ。
「翔子か」
「うん。おはよう♪総魔」
「ああ、おはよう。」
「今日は早いじゃない。何かあったの?」
いつもならまだ寮にいる時間帯だから尋ねてみたんだけど。
総魔は驚くべき答えを返してきたわ。
「実験が中断したからな。空いた時間で食事に来ただけだ。」
…ん?
実験が中断?
…って!
えええええええええええええええええっ!?
「も、もしかして、今までずっと研究所にいたの!?」
「ああ、そうだ。それがどうかしたか?」
どう、って、長すぎるでしょ?
昨日のお昼からよ?
それで今の今まで、って…。
えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?
何でそんなに平然としていられるのっ!?
「ね、ねえ?疲れないの?」
「よくあることだからな。問題ない」
思わず尋ねてしまったんだけど。
総魔は表情一つ変えずに答えてくれたのよ。
…いやいやいやいや。
問題ありありだと思うけどっ!?
「もしかして…寝てないとか?」
「ああ、一睡もしてないな。」
うわ~。
…元気過ぎ。
普通はもっと疲れた顔とかすると思うんだけど?
どこからどう見ても総魔の表情はいつも通りだったわ。
う~ん。
こうなるともう魔術師としてだけじゃなくて、
人間としてどこか普通とは違う存在なのかも知れないわね。
そう思ってしまうくらいに、
総魔が摩訶不思議な存在に思えたわ。
「まあ、総魔がいいなら別にいいけど。これからご飯食べに行くの?」
「ああ」
「それじゃあ、私も一緒に行っていい?」
「ああ」
「おっけ~!じゃあ、行こ♪」
朝一番から総魔と合流できたことで、
超ご機嫌な気分で食堂に向かって歩きだしてみる。
きっと今日は良い一日!!
そんなことを考えながら、
今日という日を迎えたのよ。




